差しつ差されつ心が和らぐ友とのひと時、それは日本酒の情趣ではないでしょうか。手酌もまた然り、徳利を傾けお猪口（おちょこ）でチビリと呑む晩酌も、一日の終りを告げる穏やかな憩いの時です。酒器の優美な形姿（なりかたち）に酔うのも日本情緒でしょう。

徳利には必要な分だけを冷やしたり熱燗用に熱したりできるので、簡単に温度調節ができて、日本酒を好みの温度で楽しむことができます。デザインもおしゃれなものや風情のあるものなどさまざまです。

そこで今回は、徳利の選び方やおすすめの情緒あふれる徳利をランキング形式で紹介します。ランキングは容量・素材・機能性を基準に作成しました。徳利の形と特徴にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

徳利は自分好みの見た目で選んでもいいでしょう。しかし、呑むスタイルによって素材や形を決めると、さらに情緒豊かになります。

徳利の素材で雰囲気も大きく変わります。基本的には好みで選びますが、冷酒か熱燗かなどの飲み方に合わせた素材で選ぶのもおすすめです。

熱燗ならおちょこと一緒に信楽焼などの陶器や有田焼などの磁器がおすすめです。熱を逃さない性質から、特に燗酒と相性が合います。陶磁器の純朴な美しさや手触りの良さも人気の理由です。

陶磁器は歴史が古く、縄文土器から始まり、古墳時代では埴輪（はにわ）などが作られています。陶磁器には他に備前焼や唐津焼が有名ですが、その他の産地でも徳利作りは行われています。

和の情緒が香る陶磁器の徳利は、酒器としても最も相性が良いといえます。来客をお酒でもてなす時に陶磁器の酒器を使うと、酒器の見た目や手触りと合わせてお酒を楽しむ粋な計らいを感じるでしょう。

ガラス製の徳利は冷酒との相性が非常に良いですが、耐熱ガラスを使用しているモデルであれば熱燗でも使用できます。透明なものだけではなく、着色や装飾を施されたデザイン性の高いものも多く、その見た目から清涼感を感じさせます。

冷酒用として作られたガラス製の徳利の中には、長く保冷時間を維持するために氷を入れるポケットを備えているモデルもあります。清涼感のある華やかなモデルが多く、暑い夏に頂く冷酒の風物詩とも言えるでしょう。ガラス製の徳利は風鈴の音によく合います。

冷酒用にガラス製の徳利を1つ用意しておくと、夏場のおもてなしにも活躍するでしょう。冷酒を嗜むときにとても使いやすい素材です。

従来より、金属製の徳利の素材としては錫や銅、真鍮が一般的でしたが、近年では軽量で安価なアルミ製のものも多くなりました。金属は熱伝導率が高く、燗を早くお好みの温度にすることができます。しかし、電子レンジの使用ができないので注意が必要です。

金属製の酒器は古くから使われてきました。特にお酒をまろやかにする性質のある錫製のものは、腐食に強いため錆びにくく、抗菌性も高いことから多く使われてきました。

首が細く、そのすぐ下から太くなっているのが特徴です。親指と人差指で首を握ると、胴体を手のひらで包むように持てます。手取りがしやすくお酒を注ぎやすい形状で、熱燗にも冷酒にも合います。幅広く使える形なので、迷ったらこの徳利を選ぶと良いでしょう。

らっきょう徳利の有名な産地は唐津と備前ですが、それ以外の地域でも作られています。焼き物が主流なので、熱燗を嗜む時には冷めにくく便利です。容量の小さならっきょう徳利は、懐石でお預け徳利として好まれています。

熱燗や冷酒で飲む可能性があるのであれば、温め方や冷やし方も考慮しましょう。熱燗で飲む場合は、そのまま湯煎をしても大丈夫な素材や形状であるかを確認しましょう。電子レンジの使用が可能なものを選んでおくと便利です。

冷酒で飲む場合は、そのまま冷蔵庫に入れて冷やせるものを選ぶと便利です。ほかにも、氷ポケットがついているデザインを選ぶと、お酒が薄まることもなく常に氷で冷やされた状態で楽しむことができます。

また、金属製の徳利の中には、二重構造になっていて保温性の高いデザインのものもあります。お好みの飲み方や温度調節の仕方、シーンに合わせて使いやすいものを選びましょう。

お酒の飲み方と徳利の相性はとても大切です。お酒を長い時間置いておくとアルコール分が飛んでしまいます。そのため、飲む人数やペース、飲み方に合う容量の徳利を選びましょう。

1～2人などの少人数で飲む場合や冷酒を飲むときは1合（180ml）や2合（360ml）のサイズが適しています。このサイズは徳利の中でも一般的なサイズです。特に冷酒の場合は、ぬるくなってしまう前に飲み切れるサイズにしましょう。

大人数で飲む場合や、熱燗の温度変化を楽しみながらゆっくりと飲みたいときは大きめの徳利を選ぶと良いでしょう。徳利によっては1.8L程度までの容量のものもあります。

徳利はデザインが豊富です。有名な焼き物やブランド、高級感のあるものから女性に人気のかわいいものまでさまざまです。お好みの1つを見つけてください。

お客様をおもてなしするときには、雰囲気も大切にしたいものです。日本酒を通して四季を感じたり、和の雰囲気でゆったりとした気分を楽しめるとお客様にも喜ばれそうです。若い方向けやにぎやかな場面では、カラフルでポップなデザインも良さそうです。

冬場であれば温かみを感じる陶磁器の徳利が、夏場であれば切子やビードロ、琉球ガラスなどの涼やかなガラス製の徳利がぴったりです。春や秋であれば、桜や紅葉などのデザインが描かれているものだと季節を感じられます。

美濃焼などの重厚感のある陶磁器製の徳利であれば落ち着いた雰囲気を、高級感のある切子の徳利であればおしゃれな雰囲気を楽しめそうです。ほかにも工房で手作りされた逸品やオーダーメイドのものだと特別感が出ます。

こだわりの徳利には高級な日本酒がぴったりです。以下の記事では、高級日本酒の人気おすすめランキングを紹介しています。好みの日本酒と一緒に楽しんでください。

贈り物には高級感のある徳利やおちょことセットになっているものがおすすめです。日本酒好きの方はもちろん、これから徳利やお猪口を揃えてみようと考えている方へのプレゼントにもぴったりです。

父の日や敬老の日、還暦祝いなどのプレゼントには、名入れされたものやメッセージ入りの徳利も人気です。自分の名前が入っている徳利は特別感があり、贈り主の気持ちも伝わりやすいです。また、使うたびに贈ってくれた方のことが思い出されます。

徳利には数種類の形があります。ここではらっきょう徳利や芋徳利など形での選び方について紹介します。

芋徳利は芋のような形状からこの名が付いています。なで肩で胴が丸みを帯びており、短めの首が特徴です。容量的には大きめの物が多く、数人でお酒を飲む時に向いています。焼き物の芋徳利に入っていると、飲み慣れた銘柄も一味ちがう地酒のような気がしてきます。

お酒を粋に飲むなら、雰囲気でも上手に酔いたいものです。この形は酒器としてだけではなく花器にも使われていますが、派手に飾らない素朴な美しさには品位さえ感じます。お正月など来客が多く共に酒を交わす機会が多い方は、一つ用意しておくといいでしょう。

冷酒にも合いますが、冷めにくい形なので熱燗を飲むときには便利な徳利です。

瓢徳利は、瓢箪（ひょうたん）の形に似ていることからこの名が付いています。この徳利もよく見かけるポピュラーな形で、中央付近にくびれがあるので非常に持ちやすくお酒を注ぎやすいです。

また、下に行くほど太くなる末広がりの形で縁起が良いとされる事から、瓢箪の形は徳利以外にも使われています。瓢箪はたくさんの実を付けるので子宝に恵まれるとし、子宝祈願のお守りにも使われている形です。

ほかにも、瓢箪が3つ揃うと三瓢で三拍とかけて「三拍子が揃う」、6つ揃うと六瓢で無病とかけて「無病息災」とも言われています。縁起物の形ですからお祝いの席やプレゼントには最適です。

鶴首徳利は鶴のように細長い首を持っている形状が特徴で、首長徳利とも言われます。鶴首の優美な姿は一輪挿しにも使われています。鶴首徳利の首の長さは作品によって違いがあり見栄えも変わってきますので、全体的なバランスを見て好みで選ぶと良いでしょう。

長所は重心が低いので安定感があることと、首が長いため香りが逃げにくいことです。しかし、首が細長いため気をつけないと注ぎ口から勢いよくお酒が出てくるので、注意と慣れが必要です。

鶴首徳利の上品な立ち姿は、香りの広がりを楽しみつつ、じっくりとお酒を味わいたい時におすすめです。

その名の通り利き酒用の徳利です。利き酒徳利の二本の線を蛇の目といいますが、これには意味があります。この蛇の目は利き酒徳利に必要なものではなく、実は徳利と一緒に使う酒器、利き酒用のお猪口の蛇の目に大きな意味があるのです。

伝統的に青い二重丸を蛇の目といい、魔除けの意味があります。そして、利き酒用のお猪口の蛇の目は、日本酒の透明度を見る大切な印になります。この青い色が透明度を見るときに都合が良いです。

決まった銘柄を飲む方でも、頂き物で違う銘柄のお酒を飲む機会もあるでしょう。その時は利き酒徳利とお猪口で透明度や香り、そして味わいなどを見るとなかなか粋な飲み比べができます。

片口は片側に注ぎ口が付いています。口が広いため日本酒の香りを堪能しやすく、冷酒や常温で飲む時に向いています。香りの高い大吟醸などを飲むときには特におすすめです。また、洗いやすいので手入れが面倒な方にも向いています。

熱燗用にはちろりがおすすめです。ちろりには細長いコップ状のものに取っ手が付いているタイプと、急須（きゅうす）のような形状のタイプがあります。以下の記事では熱燗・酒燗器の人気おすすめランキングを紹介しています。ぜひご覧ください。

かわいいものが好きな方には、動物の形をイメージしたものや動物柄の徳利もおすすめです。かわいさとともに、ほっこりとした雰囲気も感じられるので、日頃の疲れも癒されそうです。

かわいすぎるものには抵抗がある、もう少し大人なかわいさを求めたいという方は、花柄やカラフルな徳利もおすすめです。ポップな色合いの徳利でお揃いのお猪口と一緒に飲めば、疲れも吹き飛びそうです。

徳利選びに迷ったら、有名なメーカーやブランドから選ぶのも手です。例えば、ほっこりとかわいいデザインが揃う「サンアート」や錫100％の酒器を扱う富山県のメーカー「能作」も人気です。

酒器に関わらず様々な食器を販売しているメーカーでも徳利を扱っている場合があります。気になるメーカーやブランドの商品をチェックしてみるのもおすすめです。

各通販サイトの売れ筋ランキングもぜひ参考にしてみてください。

※上記ランキングは、各通販サイトにより集計期間・方法が異なる場合がございます。

徳利で注ぐときにはいくつかマナーがあります。手のひらを上に向けたまま注ぐ逆手注ぎ・酒の残量を除いて確認するのぞき徳利・酒の残量を振って確認する振り徳利・2つ以上の徳利の中をまとめるあわせ徳利・空の徳利を倒す倒し徳利の5つです。

徳利は口が細くて中が広い形のものが多いため、きれいに洗うのが難しいです。通常の食器用スポンジではきれいに洗い切れていない可能性もあります。徳利を洗うときは専用ブラシを使用しましょう。ここではブラシを使った洗い方を紹介します。

まずは、残っているお酒の成分を抜くために徳利をお湯に浸け置きます。その後、徳利専用ブラシで中を洗い、カビの発生を防ぐためにきちんと乾燥させてから食器棚へ片づけましょう。

専用ブラシがない場合は、食器用の細長いブラシやスポンジ、急須の注ぎ口を洗うためのブラシでも洗うことができます。食器用の細長いブラシやスポンジは、背の高いグラスを洗うときにも使えるので、1本持っていると便利です。

せっかく好みの徳利で飲むのなら、お猪口も好みのものを使用したいですね。セットで販売されているものでも自分好みに合わせるのも楽しみが広がります。以下の記事では、おちょこの人気おすすめランキングをご紹介しています。ぜひご覧ください。

日本酒には歴史と文化がありますが、それを入れる酒器にも歴史と文化があります。侘び寂びを感じながらお酒を頂くのもまた風情です。酒器にもこだわることで自分流が見つかります。