ふるさと納税とiDeCoは併用できる?控除限度額の計算方法や併用するメリットを解説
2024/11/18 更新
出典: pixabay.com
税制優遇制度が魅力のiDeCoとふるさと納税の併用ができるのをご存じでしょうか。これら2つの制度を併用することによって、ふるさと納税の控除限度額が変わってくるので正しく理解することが必要です。
この記事では、各制度の概要と、併用する場合のメリット・デメリット、注意点などをまとめました。ポイントを押さえて、2つの制度を有効活用しましょう。
・当サービスに掲載された情報は、編集部のリサーチ情報を掲載しております。記載の内容について(タイトル、商品概要、価格、スペック等)不備がある場合がございます。詳細については、各EC/サービスサイトでご確認の上ご購入くださいますようお願い申し上げます。 なお、当ウェブページの情報を利用することによって発生したいかなる障害や損害についても、当社は一切責任を負いかねますので、予めご理解いただけますようお願い申し上げます。
・商品PRを目的とした記事です。gooふるさと納税は、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。 当サービスの記事を経由してふるさと納税をすると、売上の一部がgooふるさと納税に還元されます。
目次
また、10/1以降のふるさと納税制度改正に伴うお礼品の寄付金額の変更及び提供の終了があるので詳しくはリンク先のお礼品ページをご確認ください。
ふるさと納税とiDeCoを併用するとふるさと納税の限度額が下がる
結論から言うと、iDeCoを利用するとふるさと納税の控除限度額自体は下がります。
ただし、iDeCoとふるさと納税の併用はおすすめです。
【iDeCoの特徴】 ・年収から、掛金分を全額所得控除できる(課税所得から控除される) ・iDeCoで出た利益は、非課税対象になる ・利益の受取時も「退職所得控除」「公的年金等控除」扱いで税負担が軽減する |
【ふるさと納税の特徴】 ・ふるさと納税の控除限度額は当年度の年収から算出される ・ふるさと納税の控除限度額は課税所得に比例して増える |
iDeCoを利用すると、課税対象の年収から掛け金分が減った扱いになります。
そのため、課税対象の年収減った分、ふるさと納税の控除限度額が下がってしまったわけです。
ふるさと納税の限度額が下がってしまいネガティブな印象を受けますが、トータルを考えると非常にお得な併用方法です。
iDeCoやふるさと納税のより詳細な仕組みについては、記事の後半で解説しています。
iDeCo併用用の詳細シミュレーションをする
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」に入力してシミュレーションを行いましょう。
\「小規模企業共済等掛金控除」に入力 /
\iDeCo併用にも対応したシミュレーションはこちら/
iDeCoの仕組みから学ぶ、ふるさと納税への影響。NISAとの併用は?
iDeCoとふるさと納税はどちらも税制優遇を受けられる制度ですが、併用自体に制限はありません。また、2つの制度は全く仕組みが異なるため、それぞれの制度ごとに控除を受けられます。
iDeCoで税金が控除される仕組み
iDeCoとは、個人型確定拠出年金の愛称です。私的年金の制度で、国民年金や厚生年金とは別に任意で掛け金を拠出・運用できます。
積み立て時・運用時・受給時の3段階にわたって税制上の優遇措置を長く受けられ、老後への資産運用と現役中の節税の両方に向いています。
iDeCoで税金が控除される仕組み
・積み立て時:掛け金が全額所得控除
・運用時:運用益が非課税
・受給時:受け取り金に控除が適用される
積み立て時:掛け金が全額所得控除
1年間にiDeCoで積み立てた掛金は全額が所得控除として所得から差し引かれ、その年度の分(翌年に納める分)の所得税と住民税が軽減されます。年収や掛金によって節税の効果は変わりますが、積み立て期間中はずっと控除を受けられるため、トータルでは大きな節税効果が得られます。
運用時:運用益が非課税
通常、預貯金の利息や投資信託の運用益には、20.315%の税金が課されます。しかしiDeCoを通じた金融商品での運用益は例外で、課税がされません。別の資産運用の方式だと税金として差し引かれてしまう運用益の一部が、差し引かれることなく再び運用に充てられるため、より有利です。
受給時:受け取り金に控除が適用される
iDeCoで築いた資産は、60歳を過ぎてから一時金としてまとめて受け取るか、60~75歳の間に年金として分割で受け取るか、選ぶことができます。そして一時金の場合は「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」が適用され、いずれも税負担が軽くなります。
ふるさと納税で税金が控除される仕組み
ふるさと納税は、各自治体に寄附をすると、その年の合計の寄附額から2,000円を差し引いた金額が所得税と住民税から控除され、事実上「戻ってくる」制度です(ワンストップ特例制度を利用した場合は住民税のみから全額が控除されます)。
さらにふるさと納税では、寄附のお礼として返礼品が設定されています。この返礼品は大半の場合、最低でも2,000円以上の価値があるため、お得にさまざまなモノを受け取ったり、サービスを体験できるのです。
▼以下のサイトではふるさと納税について動画で詳しく説明しています
ふるさと納税には「控除上限額」がある
ふるさと納税では、その年の所得などに応じて「控除上限額」が決められます(サイトによっては「限度額」など別の呼び方をしている場合があります)。1年間の寄附金総額のうち、控除上限額を超えた分はふるさと納税における控除の対象にならず、自己負担の支出が増える可能性があります。
つまりふるさと納税では控除上限額を守って、より多く寄附をするのがお得ということになりますが、この控除上限額はiDeCoによる所得控除など、他の控除がある場合には下がります。詳しくは後の項目で解説していきます。
まずはご自身の控除上限額を調べたい!という方は、iDeCoの掛け金も入力して計算できる楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーターがおすすめです。
▼「小規模企業共済等掛金控除」にiDeCoの掛け金を入力する
NISAとの併用は?
NISAとふるさと納税を併用する場合も、考え方はiDeCoと同じです。
一定の期間、一定の投資額内であれば、株式や投資信託の運用益が非課税になるため、NISAの運用益が所得から控除されることになります。結果全体の所得も低くなり、ふるさと納税の限度額も下がるということです。
▼NISAの種類と非課税の条件
種類 | NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA |
非課税期間 | 5年 | 20年 | 5年 |
非課税限度額 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
非課税対象 | 分配金、値上がり益 |
ふるさと納税とiDeCoを併用すると節税・税優遇効果が高い
iDeCoとふるさと納税を併用する最大のメリットは、条件さえ守れば単純にそれぞれの節税・税優遇措置が上乗せされる点です。具体例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
所得税率と住民税率が10%/iDeCo毎月20,000円/ふるさと納税30,000円の場合
【iDeCo】 毎月20,000円ずつ、1年で240,000円を積み立て 年間掛け金(240,000円)×{所得税率(10%)+住民税率(10%)}=(a)
【ふるさと納税】 1年間で30,000円を寄附 寄附額(30,000円)-2,000円(自己負担額)=(b)
この場合の合計の控除額は以下のようになります (a) 48,000円+(b) 28,000円=76,000円 |
iDeCoの240,000円の支出は将来の資産形成の元となり、かつ単純に預貯金などに回した場合と比べて税金が (a) 48,000円分軽減され、節税になります。
ふるさと納税の30,000円の寄附では、2,000円を引いた (b) 28,000円が控除として事実上「戻って」くる上、通常2,000円以上の価値がある返礼品が自治体から届きます。
所得税率20%・住民税率10%/iDeCo毎月23,000円/ふるさと納税50,000円の場合
【iDeCo】 毎月23,000円ずつ、1年で276,000円を積み立て 年間掛け金(276,000円)×{所得税率(20%)+住民税率(10%)}=(a)
1年間で50,000円を寄附 寄附額(50,000円)-2,000円(自己負担額)=(b)
この場合の合計の控除額は以下のようになります (a)82,800円+(b)48,000円=130,800円 |
iDeCoとふるさと納税以外にも併用できる制度がある
iDeCoはふるさと納税以外にも、住宅ローン控除・医療費控除・NISAなどの併用できる制度があります。NISAでの投資の際に、譲渡益や投資信託の分配金などで収益が発生した場合、収益には税金がかからないため効率的な資産形成ができます。
ふるさと納税はiDeCoと併用すると控除限度額が下がる
ふるさと納税・iDeCo併用のデメリット
・ふるさと納税の控除上限額が下がるのを計算に入れ忘れ、控除上限額を上回る寄附をしてしまいがち
・ふるさと納税の控除上限額が下がることそのものが損か得かは、場合による
ふるさと納税の控除上限額はおおむねその年の「所得」に応じて上下します。iDeCoは掛け金が所得控除の対象となっており、全体の所得額を下げる効果があります。ふるさと納税の控除上限額は、iDeCoによる控除を受けた後の所得額で計算する必要があります。
この計算を忘れて、ふるさと納税でうっかり控除上限額以上の寄附をしてしまうと、自己負担の支出がかえって増えてしまうため注意が必要です。各ふるさと納税サイトでは詳細なシミュレーションができるページがありますので、そちらもチェックしましょう。
また控除上限額が下がれば、単純にふるさと納税の寄附がたくさんできなくなりますが、ふるさと納税は1年ごとの税制優遇である一方、iDeCoのメリットは長期間持続するため、一概に「ふるさと納税が多くできない=損」とは言い切れません。
iDeCoの控除分を引いた所得で計算した、ふるさと納税の控除限度額(目安)
以下の表は、ふるさと納税の控除上限額の目安です。iDeCoの掛け金は所得控除の対象となるので、控除分を引いて計算しないと損をしてしまいます。ふるさと納税ポータルサイトなどでシミュレーションを行う際は、iDeCoの控除額を引いた所得額で計算するように注意しましょう。
年収 | iDeCo あり | iDeCo なし | |
掛金 月1万円 | 掛金 月2万円 | ||
300万円 | 26,000円 | 23,000円 | 28,000円 |
400万円 | 40,000円 | 37,000円 | 42,000円 |
500万円 | 59,000円 | 56,000円 | 61,000円 |
800万円 | 128,000円 | 124,000円 | 129,000円 |
1,000万円 | 175,000円 | 172,000円 | 180,000円 |
(参考:総務省ふるさと納税ポータルサイト)
年収 | iDeCo あり | iDeCo なし | |
掛金 月1万円 | 掛金 月2万円 | ||
300万円 | 18,000円 | 15,000円 | 19,000円 |
400万円 | 31,000円 | 29,000円 | 33,000円 |
500万円 | 47,000円 | 44,000円 | 49,000円 |
800万円 | 118,000円 | 115,000円 | 120,000円 |
1,000万円 | 162,000円 |
160,000円 |
171,000円 |
(参考:総務省ふるさと納税ポータルサイト)
医療費控除や住宅ローン控除なども把握しておく
iDeCoと同様に、所得控除を受けられる制度を利用する場合は、ふるさと納税の控除上限額に反映されます。特に医療費控除や、住宅ローン控除など控除額の大きくなるものを利用する場合は、注意して控除上限額を計算しましょう。
ふるさと納税の控除限度額をもし超えて寄附してしまったら?
もし控除上限額の計算を誤り、上限額を超えて寄附をしたらどうなるのか、理解しておくと安心です。上限額を超えた場合の控除や手続きは、以下のようになります。
上限額を超えても「寄附金控除」がある
ふるさと納税において控除上限額を超過分は、ただちに全額が自己負担となるわけではありません。通常の寄附金控除が適用されるためです。ただし特例的に大きな控除が設定されているふるさと納税と比べれば、率は小さくなるほか、通常の寄附金控除にも上限があります。
手続きとしては通常のふるさと納税と同様に、超えた金額も含め、ワンストップ特例制度の申請または確定申告を行うだけで済みます。ただし原則、ワンストップ特例制度よりも確定申告のほうが、超過分の寄附金控除は大きくなります。
返礼品の価値まで含めれば損していない場合もある
たとえば、控除上限額50,000円の方が、寄附金額60,000円の返礼品を注文してしまったとします。翌年納める分から控除されるのは、上限額の50,000円からさらに2,000円を引いた48,000円のみとなり、12,000円がふるさと納税における控除対象から漏れます。
しかし60,000円の寄附で手に入れた返礼品はその3割、つまり18,000円前後の価値を持っている可能性が高いと考えられます。単純に「12,000円の負担で18,000円の品を手に入れた」と計算すれば、まだ損はしていないことになります。
3割という数字は、「返礼品の調達価格(商品でいう仕入れ値にあたるもの)は寄附金額の3割以下にする」というルールに基づきます。実際に、返礼品と同じ商品を市販で購入しようとすると寄附金額の3割前後である場合が多いため、60,000円の寄附で手に入る品物の価値は18,000円前後と考えられます。
ふるさと納税とiDeCoを併用する方法は?
ふるさと納税とiDeCoを併用するにあたって、特別な申請などは不要です。それぞれの手続きを手順通り行うだけで済みます。
ふるさと納税の申し込み・控除の手続き
ふるさと納税の申し込みは原則、各ふるさと納税ポータルサイトで返礼品を選び、寄附金を納めるだけです。直接自治体に申し込む方法もありますが、ポータルサイトはネット通販と同じようなデザインで返礼品が探しやすく、複数自治体の返礼品を申し込んだり比較したりする際に便利です。
ふるさと納税で控除を受ける手続きには「確定申告」と、確定申告が不要な「ワンストップ特例制度」の2つがあります。「ワンストップ」には利用条件があり、それを満たさない方は確定申告を行うことになります。原則的に、ふるさと納税の申請の手続きはiDeCoの有無で変化することはほぼありません。
手続きについて詳しく知りたい方は、楽天ふるさと納税の「ふるさと納税はじめてガイド」がおすすめです!
iDeCoの申し込み・控除の手続き
iDeCoは金融機関での申し込みが可能です。20歳以上60歳未満の方が加入可能ですが、国民年金の被保険者種別などで掛け金の限度額が異なります。詳しくは各金融機関のホームページなどをご覧ください。
申し込み以外の手続きとしては、積み立て時・受給時の控除を受けるために、年末調整または確定申告が必要になります。ただし支払方法が「事業主払込」の場合は、控除にも年末調整・確定申告が原則不要です。また運用益は非課税のため申告不要です。
iDeCoの加入制限と掛金額
iDeCoは20歳以上60歳未満であれば、原則として誰でも加入できることはすでにお伝えしましたが、月の掛け金額は5,000円以上から1,000円単位で決められます。掛金の変更は年に1回可能です。掛け金の上限額は以下の表の通りです。
加入区分 |
掛金の上限額 |
第1号被保険者 (自営業者や学生など) |
月額68,000円 |
第2号被保険者 (会社員や公務員など) |
企業年金なし:月額23,000円 企業型DCに加入:月額20,000円 公務員など:月額12,000円 |
第3号被保険者 (専業主婦など) |
月額23,000円 |
ふるさと納税/iDeCoどちらかで確定申告が必要になった場合、どちらも確定申告が必要
会社員・公務員などは年末調整を行い、確定申告が不要になる方が多いですが、以下の条件に1つでもあてはまれば確定申告が必要になり、ふるさと納税とiDeCoの両方の控除を確定申告で申請することになります。
- ふるさと納税で、6自治体以上の寄附をした場合
- iDeCoの加入タイミングが遅れ、年末調整に間に合わなかった場合
- 医療費控除など、年末調整で申告できない項目がある場合
まとめ
税制優遇制度には複雑な文言が並びますが、ふるさと納税の控除上限額さえ確認すれば、iDeCoとの併用はそれほど難しく考えずにできます。この記事を参考に、シミュレーションサイトなどを上手に利用して、より多くのお得感を感じてもらえたら幸いです。
ランキングは楽天・Yahoo!ショッピングなどECサイトのランキング(2024年11月18日)やレビューをもとに作成しております。