自営業でふるさと納税を利用する際の控除上限額を徹底解説!【損しないコツもご紹介】
2022/05/25 更新
出典: pixabay.com
自営業の方がふるさと納税をする際、気を付けるポイントやメリット・デメリットをあらかじめ知っておきたいですよね。今回は、自営業者向けに解説したふるさと納税による税額控除の方法や上限額の計算方法をご紹介しています。ぜひ参考にして上手に税額控除してください。
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目次
また、10/1以降のふるさと納税制度改正に伴うお礼品の寄付金額の変更及び提供の終了があるので詳しくはリンク先のお礼品ページをご確認ください。
自営業でもふるさと納税できる?上限額や損しない方法を解説
給与所得者や公的年金のみを受給して生活している方だけでなく、自営業者でもふるさと納税を利用できます。しかし、自営業者は給与所得者と違いワンストップ特例制度が利用できないので不便な印象がありますよね。
実は、自営業者はもともと確定申告する必要があるので、ふるさと納税の税額控除手続きもそんなに手間はかからないのをご存知ですか?令和3年度の確定申告からは、自営業者のふるさと納税の申請方法がさらに簡易化されています。
そこで今回は、自営業にスポットを当ててふるさと納税の税額控除の申請方法をはじめ、控除上限額の計算方法や自営業でふるさと納税を利用するメリットとデメリット、損しない方法など徹底解説していきます。
ふるさと納税の仕組みをわかりやすく解説
国のお得な制度として利用されているふるさと納税の仕組みと、ふるさと納税における税金控除の仕組み、また、控除される税金の種類をわかりやすく解説していきます。
ふるさと納税による税金控除とは
ふるさと納税とは、全国から応援したい自治体を自由に選んで寄附できて、寄附額に応じた返礼品が受け取れる制度です。寄附額により税金が控除されるのが特徴で、寄附額の中から自己負担額2,000円を差し引いた分が住民税や所得税の控除対象となります。
税金の控除を受けるためには、自営業者は毎年行う確定申告の際に、追記または必要書類を添付して提出しなくてはなりません。寄附した分が全額控除されるように調整すると、支払う税金が少なくなるのでお得です。
例)寄附額30,000円の場合
例を使ってふるさと納税の仕組みを簡単にわかりやすく説明します。以下の例は、控除上限額が30,000円だった時に30,000円のふるさと納税をした場合の具体例です。
①個人資金から応援したい自治体へ30,000円のふるさと納税をする
②返礼品が届く
③確定申告の際に申請を出す
④自己負担額を差し引いた寄附額が所得税・個人住民税・住民税所得割額から控除される
例)控除上限額30,000円の場合
寄附額(30,000円)ー自己負担額(2,000円)=可能な税額控除(28,000円)
上記のように、自分の税額控除限度額に合うようにして寄附を行ってください。上記の場合は、28,000円の税額控除に加えて、寄附額30,000円のうち上限3割以内(3,000円以内)の価格帯で、自治体が提供する返礼品が受け取れます。
自営業の方向け、控除上限額の計算方法
ふるさと納税には控除される上限額があります。特に、収入に変動がある自営業の方は控除限度額をしっかりと計算し、お得にふるさと納税をしていきましょう。
その年の1月〜12月の事業所得により控除上限額が決まる
自営業者の控除限度額の上限は、その年の1月〜12月の事業所得により決定します。所得と給与所得上限額の計算方法が決まっている給与所得者と違い、自営業の事業収入には変動がある場合が多いため、毎年決まった数字で算出ができないのが現状です。
そのため、自営業者がふるさと納税に申し込みをする際は年間の所得を予測し、上限額をシミュレーションするといった計算方法がポイントになります。また、給与所得者と自営業者では控除されている税の内容が異なるため、計算方法も変わります。
控除上限額の目安は「住民税所得割額」の2割程度
控除額を厳密に計算する前に、頭に入れておいて欲しいのが控除上限額の目安です。自営業の場合、前年の収入を参考にして上限額を計算します。目安は、毎年5月〜6月頃に送られてくる「住民税決定通知書」に記載の住民税所得割額の2割程度です。
当年の収入が前年から見てあまり変動がないようだったら、その金額を参考に上限額が計算できます。万が一、年収が下がった場合を考えるなら、計算した限度額からさらに2割程度低く予算を立てておくのがおすすめです。
控除上限額の計算方法
損なくふるさと納税を利用するためにも、より正確に控除上限額を計算したいですよね。ここでは、控除上限額が算出できる計算式と、計算するのに必要な必要書類をご紹介します。
計算するための金額が記載されている必要書類2種
自分の税額を算出するためには、まず、前年の確定申告の控えと当年の住民税課税決定通知書を揃えておくと、計算しやすく便利です。住民税課税決定通知書は自営業の場合、毎年5〜6月の間に「税額決定兼納税通知書」の名称で郵送されてきます。
▼控除上限額の計算に揃えておきたい書類
①前年の確定申告の控え
②今年の住民税課税決定通知書(税額決定兼納税通知書)
控除上限額の算出方法
①住民税所得割額を算出する
税額決定兼納税通知書に記載されている「市民税の税額控除前所得割額」と「都道府県民税の税額控除前所得割額」を足して、住民税所得割額を算出します。
市民税の税額控除前所得割額+都道府県民税の税額控除前所得割額=住民税所得割額
②前年の確定申告書に記載された課税所得額をチェック
前年の確定申告書の控えに記載されている「課税所得額」をチェックします。または、算出する方法は以下の通りです。自営業者には基礎控除と所得控除のほか、青色申告特別控除があります。
収入ー必要経費=所得
所得ー(所得控除+基礎控除+青色申告特別控除)=課税所得額
③ふるさと納税で控除される控除上限額を算出する
上記の①と②で算出された住民税所得割額と課税所得額を使って、以下の計算式に当てはめると、ふるさと納税で控除できる上限額が算出できます。
(住民税所得割額×課税所得額)ー自己負担額(2,000円)=ふるさと納税でできる控除上限額
ふるさと納税の寄附による税金控除可能上限額計算式早見表
課税所得額 | 納税控除上限額 |
195万円以下 | 住民税所得割額×23.559%+2,000円 |
330万円以下 | 住民税所得割額×25.066%+2,000円 |
695万円以下 | 住民税所得割額×28.744%+2,000円 |
900万円以下 | 住民税所得割額×30.068%+2,000円 |
1,800万円以下 | 住民税所得割額×35.520%+2,000円 |
4,000万円以下 | 住民税所得割額×40.683%+2,000円 |
4,000万円以上 | 住民税所得割額×45.398%+2,000円 |
住民税所得割額=課税所得額×10%
課税所得額に応じた納税控除上限額の計算式を早見表にしました。下記の住民税所得割額の算出方法を参考に、自分の納税控除上限額の算出もできます。課税所得額をしっかりチェックして、間違いのないよう計算してみてください。
例)課税所得額が400万円の場合
400万円×10%=40万円(住民税所得割額)
40万円(住民税所得割額)×28.744%+2,000円=116,976円(控除上限額)
当年の税額決定兼納税通知書が手元になくて住民税所得割額が算出できない場合は、上記の計算式を利用して計算してみてください。また、以下のサイトでは、所得額や保険の支払い額などを記入するだけで税額控除の目安がわかります。
シミュレーションを利用する場合の注意点
ふるさと納税が利用できるポータルサイトでは、控除上限額の計算ができるシミュレーション機能がついています。しかし、注意しないといけないのは、これらのシミュレーションは給与所得者用である場合が多い点です。
自営業者が利用する場合、事業所得からさらに青色申告控除を差し引いた金額を給与所得控除後の金額欄に記入しなくてはなりません。所得金額の計算方法が異なるため、給与所得者用のシュミレーションを利用する際は注意してください
自営業の方がふるさと納税を利用するには「確定申告」が必要
以下では、自営業が確定申告する時にあわせて行うふるさと納税の税額控除申請方法のお得な情報と注意点を挙げています。
確定申告は寄附金受領書の添付と記入だけなので簡単
自営業者はふるさと納税を利用していなくても、毎年確定申告をする必要があるため、確定申告をせずにふるさと納税の寄附金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」は、自営業者は使えません。
しかし、確定申告の際に改めて用意する書類はなく、寄附金受領証明書の添付とふるさと納税に関する必要事項を追記するだけなので、とても簡単です。ただし、受領証明書を失くすなどして申告漏れが出ると控除が無効になってしまうので気をつけましょう。
電子申告「e-Tax」ならデータ読み込みで確定申告
令和3年分の確定申告からは電子申告のe-Taxを使うと、寄附金受領証明書の送付や添付が不要になりました。そのため、寄附金の受領証明書を収集・保管しておく必要もなく、寄附金の受領書等の記載事項に転記する手間もなくなります。
令和3年分の確定申告から寄附金受領証明書をプリントアウトできる
これまでは、寄附額をはじめ、寄附年月日や寄附先の所在地・名称など、面倒な手続きが多くありました。令和3年分の確定申告からは、申告書の提出を紙で行う場合でも特定事業者のポータルサイトからプリントアウトできるようになり、申請手続きが簡易化されました。
今後はポータルサイトから寄附金受領証明書のデータをダウンロードすれば、国税庁が取り扱っているQRコード付き証明書作成システムで簡単に読み込めるようになります。
ふるさと納税を利用する場合は特定事業者に該当しているサイトが便利
いくつかの大手のポータルサイトがふるさと納税の特定事業者に指定されており、これからももっと増えると予想されています。令和3年の時点で特定事業者に指定されている事業は、ふるさとチョイス・ふるなび・さとふる・楽天ふるさと納税等です。
これらのサイトは寄附金受領証明書の発行が自分でできたり、電子申請のみで受け付けてもらえたりするため、今後、ふるさと納税のポータルサイトを利用する際は、特定事業者に該当しているサイトを利用すると便利です。
領収書やレシートは5年間の保管が義務付けられているので要注意
近年では徐々にシステム開発が進んできています。税金関係なども確定申告をはじめ、いろいろな申請が簡易化され始めてきました。しかし、確定申告の領収書やレシートはこれまで通り必要書類に定められています。
自営業者の場合、領収書やレシートは7年間(白色申告の場合5年間)の保管が義務付けられているので、紛失・破棄してしまわないように大切に保管しておきましょう。
自営業でふるさと納税をするメリット
ふるさと納税の税金控除には、自営業である場合のメリットとデメリットがあります。ここでは、自営業者がふるさと納税をするメリットをご紹介します。
自営業だと確定申告へのハードルがあまりない
自営業者は給与所得者とは違い、もともと確定申告が必要なので、ふるさと納税の控除申請の手間はそれほどハードルが高いと感じない方が多いようです。年々システムも進化していっており申請しやすくなっています。
給与所得者より控除上限額が大きくなる
同じ収入でも給与所得控除がない自営業者は、所得金額が大きくなるケースが発生し、ふるさと納税の控除上限額も多くなる場合があります。つまり、自己負担額2,000円で、よりお得にふるさと納税が行える仕組みです。
自営業でふるさと納税をするデメリット
ここでは、自営業でふるさと納税をするデメリットをご紹介します。メリットとデメリットを見極めて、お得にふるさと納税を利用しましょう。
「ワンストップ特例制度」が利用できない
ワンストップ特例制度とは、確定申告を行わずにふるさと納税の寄附金控除が受けられる仕組みです。とても便利で簡単な制度ですが、自営業者はふるさと納税の有無に関わらず確定申告が必要であるため、ワンストップ特例制度が使えません。
自営業は所得の変動が大きいため控除上限額に注意
ふるさと納税は当年の収入で控除上限額が決まります。自営業の場合、年毎に収入が変動するため、寄附額が控除額を上回るケースが出てきて上限額が把握しづらいのがデメリットです。
なるべく損をしないためには、年間収入の目処が立つ頃までふるさと納税の申し込みを待つのがポイントになります。年間収入が見通せる11月〜12月の間にふるさと納税を利用すれば、ある程度の控除額の目処がつく頃なのでおすすめです。
ふるさと納税の確定申告申請方法と期間
自営業者の申請方法は、通常の確定申告にふるさと納税の情報を追記するだけです。ここでは、確定申告申請方法と期間の説明をしています。
確定申告適用期間に税務署または電子申告を
ふるさと納税の寄附金税額控除を受けるための確定申告適用期間は、ふるさと納税をした翌年2/16〜3/15までです。税務署へ提出する場合には、確定申告書にふるさと納税受領証明書の内容を追記した上で提出してください。
国税庁のHPから申請を行う場合は、確定申告作成コーナーから入れます。申請方法は紙の申請方法と同様です。通常の資料作成にプラスして、寄附をした自治体から送られてきた寄附金受領証明書をもとに、情報を書き込んで提出してください。
寄附金受領証明書に記載されている情報を記入する
ふるさと納税をした自治体から送られてくる寄附金受領証明書には、寄附年月日をはじめ、寄附先の所在地や寄附額などの基本情報が記載されているので、それを参考にして申告書類を作成していきます。
確定申告書類には、「所得から差し引かれる金額」の欄があり、その欄の下に寄附額控除の金額を記載する欄があるので、ふるさと納税で寄附した合計を記入しましょう。
上限額枠内を超えない範囲で寄附するとお得
事業所得と家族構成により決定される自営業者の控除限度額を計算したら、控除上限額内で算出した税額に近い寄附額の返礼品を選ぶやり方がおすすめです。自己負担額2,000円で地域の物産品を受け取りつつ、全額税金控除を受けるためのお得なポイントになります。
ふるさと納税の申込期間はその年の1/1〜12/31です。ふるさと納税をした年度分の寄附額が、翌年の6月以降に納付予定の住民税・所得税の還付の税額控除対象になります。
控除額の計算方法がキーポイント
自営業者が気を付けるポイントは、年毎に変動する事業所得に対応した控除額の計算方法です。自営業は給与所得とは計算方式も違い、収入も毎年大きく変動する傾向にあります。控除上限額を正しく計算して、無駄なく税額控除をするのがキーポイントとなります。
まとめ
自営業のふるさと納税についてやメリットデメリット、控除上限額の計算方法などをご紹介しました。ふるさと納税は自治体への寄附額を税金控除対象にするもので、自営業の場合、確定申告と一緒に申請できてとても便利なのでぜひ利用してみてくださいね。
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