ふるさと納税の控除限度額がシミュレーション結果と違う理由は?正確な計算ができるサイトをご紹介
2024/12/09 更新
ふるさと納税の控除限度額(上限額)は収入や家族構成によって違うため、シミュレーションを行う方は多いはずです。しかし、実際に寄附をしてみると、シミュレーションの結果と実際の控除額が違う場合があります。シミュレーション結果はサイトによって違うため、正確に計算できるシミュレーションのサイトを利用しましょう。
この記事では、ふるさと納税における限度額がシミュレーション結果と違う理由と対策を解説し、正確に計算することができるサイトをご紹介します。
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目次
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シミュレーションと実際の控除額に誤差が出る理由とは
ふるさと納税の返礼品が申し込めるポータルサイトなどでよくある「限度額シミュレーション」を使って出した寄附限度額と、実際の金額が違うという経験をよく耳にします。
なぜ誤差が出てしまうのか、考えられる大きな2つの理由は「前年度の所得で計算している」もしくは「シミュレーターに控除すべき項目を全て入力していない」という点です。以下で詳しく解説します。
前年度の所得で計算している
ふるさと納税の控除限度額額がシミュレーションと違う大きな理由の1つが、前年度の所得や内容で計算している点です。ふるさと納税の控除限度額は実際に寄附をする年の所得や控除内容などに応じて算出されるため、前年の内容では誤差が生じる可能性があります。
特に会社員の方は前年の源泉徴収票などをもとにシミュレーションを行うため、昇給などがあったり家族構成に変化があったりすると実際の控除額と違うなどのトラブルになりかねません。収入が変わったり控除内容に変動があったりする場合は気を付けてください。
もし給料のアップなどが事前に分かっている場合には、源泉徴収の内容にプラスしながら計算しましょう。また、個人事業主の方も所得が変動しやすいので、前年の内容で計算をしている場合にはシミュレーションと実際の控除額が大きく異なる可能性が高いです。
医療費控除・住宅ローン控除が含まれていない
詳しい控除限度額を知るためには給与所得や家族構成のほかに、控除条件の内容が必要となります。社会保険・生命保険等の任意保険・住宅ローン控除・医療費控除など、全ての項目を入力して算出しなければ正しい金額は計算できません。
特に最近住宅を購入して住宅ローンを支払っている方や、扶養家族が増えた方はシミュレーションと実際の金額が異なる可能性が高いです。ふるさと納税以外の所得控除がないかどうかしっかり確認し、誤差のないように計算してみてください。
給与所得以外に収入が発生している
給与所得以外に副業などで収入を得ている場合は、そのほかの所得も考慮した上で計算しなければなりません。給与所得のみでシミュレーションを行ってしまうと、実際の控除限度額よりも低く算出されてしまう可能性が高いので気を付けてください。
控除限度額いっぱいまで寄附をしてお得を楽しみたい方は、必ず給与収入以外の所得も入れてシミュレーションを行いましょう。副業の収入には不動産所得・雑所得・事業所得・譲渡所得などいろいろな種類があるので、該当するものを選んで入力してください。
副業の多くは雑所得として扱われますが、不動産の所有などで得たものは不動産所得として計算されます。株の売買などで利益を得た場合は、譲渡所得として計算してください。
非課税所得を収入に含めている
ふるさと納税の控除対象になるのは課税対象の所得のみなので、非課税の所得を加えて計算するとシミュレーションと実際の控除限度額が大きく違う場合があります。
出産手当金・育児休業給付金・子供手当などは非課税なので所得に含めないようにしましょう。また、宝くじで当たった金額も非課税となります。出張旅費・転勤旅費・通勤手当なども非課税対象なので、計算する際は細かいところにまで注目してみてください。
さらに、損害賠償などで受け取ったお金も非課税です。所得として計算してしまうと控除限度額が実際の金額よりも大きくなってしまう可能性があります。限度額以上の寄附をする事態になりかねないので、入力の際は気を付けてください。
【主な非課税所得一覧】
出産手当金・育児休業給付金・子供手当・宝くじ当選金・出張旅費・転勤旅費・通勤手当・損害賠償金など
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正確にシミュレーションをするための4つチェックポイント
シミュレーションをするごとに結果が変わったりシミュレーション結果と実際の控除額が違うことを防ぐために、以下の4つのポイントをチェックしてください。
正確にシミュレーションをするためにチェックするポイント
①前年度の所得で計算していないか
②医療費控除・住宅ローン控除が含まれているか
③給与所得以外に所得が発生していないか
④非課税所得を収入に含めていないか
楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーターは医療費や住宅ローンなどの控除や給与以外の不動産所得、譲渡所得なども細かく入力して上限額が計算できるのでおすすめです。
ふるさと納税における「控除限度額」とは
ふるさと納税は寄附をした金額から自己負担金2,000円を引いた金額が税金から控除される仕組みですが、控除限度額以上の控除はされません。給与収入ごとの基本の控除限度額は以下の通りです。
(楽天ふるさと納税ポータルサイトより一部抜粋)
給与収入 |
共働きor独身 |
夫婦のみ |
共働き+子2人(大学生と高校生) |
夫婦+子2人(大学生と高校生) |
300万円 | 28,000 | 19,000 | 7,000 | - |
500万円 | 61,000 | 49,000 | 36,000 | 28,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 | 57,000 | 43,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 | 75,000 | 66,000 |
※医療費控除など他の控除がない給与所得者の場合の目安。
表中の「夫婦」は配偶者が専業主婦/主夫の場合のことです。中学生以下の子供は控除額に影響しないため、子供の数に入れる必要はありません。上記の表はあくまでも目安なので、ご自身の状況に合わせて計算しましょう。
限度額以上のふるさと納税をしたらどうなる?
せっかくシミュレーションを行っても、実際の控除限度額と違うと上限額以上に寄附をしてしまう方もいます。限度額以上に寄附をした際、どうなるのか以下で詳しく見ていきましょう。
寄附できないわけではない
控除限度額を超えても寄附は可能です。ふるさと納税における寄附の金額制限は特にないため、たくさん寄附をして自治体を盛り上げたい方は自由に寄附を行いましょう。
ただし控除限度額を超えた寄附をしても、限度額以上の控除は受けられないので注意が必要です。また一度寄附をしてしまうと基本的にはキャンセルができないためよく考えてから寄附をしてください。
加えて、控除限度額を超えた寄附の場合でも申請は必要となります。寄附を行った金額に関わらずワンストップ特例の申請書、もしくは確定申告で必ず申請をしてください。
自己負担額が増える
控除限度額を超えた寄附をするのは自由ですが、その分だけ自己負担額がアップします。基本的には自己負担金2,000円を引いた金額が住民税などから控除されますが、控除限度額を超えた分は控除されないので自己負担です。
自己負担を増やしたくない方は限度額より少し少ない金額で寄附を行うか、できるだけ正確なシミュレーションをして正しい控除限度額を算出してください。上限額以内なら控除多少ですが、申請をしなければせっかくの寄附が無駄になってしまいます。
ふるさと納税を行った方は、ワンストップ特例か確定申告で必ず申請しましょう。実際の控除金額は、翌年6月頃に送付される住民税決定通知書で確認できます。
控除限度額以下の寄附は問題なし
限度額以下の寄附は何の問題もありません。よりお得にふるさと納税を楽しみたいなら控除限度額ギリギリまで寄附をするのがおすすめですが、超えてしまうのが心配な方は少なめに見積もりましょう。
寄附額が控除限度額より少ないと控除される金額が限度額より少し少なくなりますが、それ以外には特に問題ないので安心です。何度かシミュレーションを行いながら寄附をし、実際の控除額との違いを見極めていけば徐々に正確な金額で寄附ができるようになります。
サイトによってシミュレーション結果が異なる?
ふるさと納税における控除限度額のシミュレーションはさまざまなサイトが行っていますが、実はサイトごとに計算方法が違う場合があります。ご自分に合ったものを選びましょう。
各ふるさと納税サイトの簡易シミュレーションで算出した「控除限度額の目安」の違い
(2023年11月16日時点)
条件A:給与収入500万円・既婚・配偶者控除あり・他の扶養家族なし
条件B:給与収入300万円・独身・他の扶養家族なし
シミュレーター | 条件Aの結果 | 条件Bの結果 |
楽天ふるさと納税 かんたんシミュレーター(2023年分) |
54,825円 | 29,717円 |
ふるさとチョイス かんたんシミュレーション |
約48,000円 | 約28,000円 |
さとふる 簡単シミュレーション |
47,000円 | 27,000円 |
ふるなび 控除限度額シミュレーション |
46,000円 | 25,000円 |
ふるさとプレミアム 控除限度額シミュレーション |
49,000円 | 27,990円 |
ふるさと本舗 寄附可能額をしらべる 簡易版 |
49,000円 | 28,000円 |
ふるぽ かんたんシミュレーション |
52,758円 |
28,267円 |
au pay ふるさと納税 控除額シミュレーション(簡易版) |
50,000円 | 28,000円 |
ふるさとパレット 寄附上限額シミュレーション |
49,705円 | 28,267円 |
楽天はシミュレーション精度が高い
楽天ふるさと納税のページで行えるシミュレーションでは、より詳細な控除限度額の算出が可能です。一般的なふるさと納税サイトでは給与所得のみの入力欄しかありませんが、楽天ふるさと納税のシミュレーションには譲渡所得・事業所得・不動産所得なども入力できます。
また、控除の入力欄にも小規模企業共済等掛金控除(iDecoなど)・医療費・保険・住宅ローン・などさまざまな項目が用意されていのが特徴です。会社以外に副業等で収入のある方や、特別な控除が多い方は楽天ふるさと納税を活用してみてください。
項目が細分化されているので入力するのは少し大変ですが、より正確な内容でシミュレーションできるのでふるさと納税上級者の方におすすめです。
ふるさとチョイスはシミュレーションが簡単
ふるさとチョイスのページには、簡単シミュレーションと詳細シミュレーションの2種類が用意されています。簡単シミュレーションでは家族構成と年収だけで控除限度額を計算できるため、おおよその限度額を知りたい方におすすめです。
詳細シミュレーションでは年収や家族構成のほか、住宅ローン控除や医療府控除を入力する項目が設けられています。より詳細な控除限度額を計算したい場合には、詳細シミュレーションを活用してみてください。
年収の部分に入力できるのは給与収入のみなので、会社に勤めていて給与収入のほかに副業などで収入を得ている方は、ほかのサイトを使うのがおすすめです。どちらのシミュレーションも少ない項目の入力で算出できるので、初めての方でも手軽に使えます。
さとふるは簡易シミュレーションが可能
さとふるにも簡易シミュレーションと詳細シミュレーションが用意されていますが、どちらも比較的簡単なシミュレーション内容となります。簡易シミュレーションは年収や家族構成のみなど、簡素な内容のみでの算出が可能です。
詳細シミュレーションは保険料の控除や住宅ローン控除などの項目はなく、ほかのサイトと比べると少ない入力で算出できます。正確性はやや低めですが、手軽に詳細シミュレーションをしたい方におすすめです。
会社などの給与のみを得ており、住宅ローン控除など特別な控除のない方なら手軽に使えます。たくさんの数字を算出するのが大変な方や、初めてシミュレーションを行う方にもピッタリなサイトです。
ふるなびは控除欄が豊富
ふるなびのシミュレーションは、より詳しく正確なシミュレーションを行いたい方におすすめです。控除の入力欄が豊富なので、自分の状況に合わせて正しいシミュレーションが行えます。家族構成や給与の入力はもちろん、社会保険・地震保険・医療費控除などの入力も可能です。
給与収入のみを得ていて、控除の入力内容が多い方はふるなびのシミュレーションをチェックしてみてください。特に医療費控除がある方は入力の有無によって控除限度額が大きく変動する可能性があるので、必ず入力欄のあるシミュレーションサイトを選びましょう。
ふるさとプレミアムは早見表が見られる
ふるさとプレミアムでは、控除限度額の早見表がチェックできます。詳しい数字ではなく、おおよその控除限度額が知りたい方におすすめです。家族構成・扶養家族の有無・年収などによる控除限度額の違いを一覧で見られるので面倒な計算は必要ありません。
ただし、早見表の内容は医療費控除などの特別な控除を含まない内容となります。そのため、それぞれの金額はあくまでもおおよその目安となるので気を付けてください。自分の状況などに合わせて細かく算出したいなら、必ずシミュレーションを活用しましょう。
また、会社の所得以外に収入がある方も早見表でのチェックはおすすめしません。副業をしていたり、不動産所得があったりする方はできるだけ詳細なシミュレーションができるサイトを選んでください。
ふるさと本舗は状況に応じた算出が可能
ふるさと本舗のシミュレーションページには簡易版・詳細版・源泉徴収版・個人事業主版など、さまざまなタイプが用意されています。シミュレーションの多くは会社員を想定したものですが、ふるさと本舗では個人事業主の方でも使える内容が用意されているのが魅力です。
フリーランスで働いている方や起業している方でも利用しやすく、詳細なシミュレーションができます。源泉徴収版と個人事業主版では入力項目が少し異なり、それぞれの状況に合わせた算出が可能です。また、家族構成だけでなく控除の内容も入力できます。
簡易版では少ない情報でおおよその控除限度額を算出できるので、ふるさと本舗のシミュレーションは初心者の方から上級者の方まで使いやすい内容です。
ふるさと納税における控除限度額の計算方法
シミュレーターなどを使ってみても、やっぱり自分で計算したい方もいますよね。ここでは、控除限度額の計算方法を解説します。
計算に必要なものを用意
控除限度額の計算に必要なもの
・給与所得金額or事業所得
・個人住民税所得割額
・所得税率
ふるさと納税における控除限度額を算出するためには、所得金額が分かるものが必要となります。
給与所得金額や事業所得金額は、源泉徴収票や確定申告の控えなどで確認できます。個人住民税所得割額は、住民税決定通知書に記載されているのでチェックしておきましょう。所得税率は所得などによって違うため、以下の国税庁サイトを参考にしてください。
控除限度額の計算式
住民税の所得割の20%を算出(×0.2)し、「100% -10% -(所得税率×復興税率1.021)」の数値で割りましょう。さらに自己負担金分の2000円をプラスすると、控除限度額が算出できます。
控除限度額= 住民税の所得割×0.2÷【100%-10%-(所得税率×復興税率1.021)】+2,000円 |
控除限度額シミュレーションでよくある質問
ここでは、ふるさと納税の控除限度額シミュレーションでよくある質問をご紹介します。
ふるさと納税の控除額を確認する方法は?
実際に控除が受けられたのか、控除額はいくらなのかは、住民税の場合「住民税決定通知書」、所得税は「国税還付金振込通知書」で確認することができます。
会社員の場合、「住民税決定通知書」はふるさと納税をした翌年6月頃に勤め先経由で届きます。住民税決定通知書の摘要欄に「寄付金税額控除◯◯円」と記載されます。個人事業主の場合も、同じ時期に市町村役場から「住民税決定通知書」が届くので確認しましょう。
所得税は確定申告後に届く「国税還付金振込通知書」で、還付金額と入金日を確認できるので、比較的わかりやすくなっています。
ふるさと納税後にはどんな申請が必要?
ふるさと納税の税金控除を受けるには、申し込み後に確定申告またはワンストップ特例制度の申請手続きが必要になってきます。以下ではそれぞれの申請方法を簡単にご説明します。
確定申告
基本的に企業に勤める会社員の方は、年末調整により手続きが完了しているので、確定申告は不要です。しかし、会社員でもふるさと納税をする年に初めて住宅ローン控除を受ける人や医療費控除などふるさと納税以外の控除を受ける場合は、確定申告が必要なのでご注意ください。
ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度は確定申告なしで税金控除の手続きができる制度です。基本的に企業から給与をもらっている会社員がこの制度を利用できます。
手取り額から控除限度額を計算できる?
控除限度額は手取り額(年収)×1.2で額面支給額を求めて算出できます。
おおよその額面支給額を求めて、ふるさと納税の控除限度額を算出しましょう。
ただし、手取り額からの算出はあくまでも目安です。より正確な控除限度額を算出したい場合は、前年度の源泉徴収票を用意し、額面支給額から控除限度額を算出しましょう。
不動産所得で控除限度額は変わる?
不動産所得で利益が出る場合・赤字がある場合どちらでも、控除限度額は変わる可能性が高いです。
不動産所得がプラスの場合、課税対象となる所得が増えるので、本来納めるべき所得税と住民税も増えます。それに伴い、ふるさと納税の控除限度額も増えます。
一方で、不動産所得が赤字の場合、所得から赤字分の不動産所得が引かれます。そうなると、先ほどとは逆で所得が少なくなり、本来納めるべき所得税と住民税が減ってしまいます。そのため、ふるさと納税の控除限度額も少なくなってしまうのです。
母子家庭の場合の限度額・家族構成は?
母子家庭の場合の上限額は「母親の収入と子どもの年齢」家族構成は「子どもの年齢」によって変わります。
中学生以下の子どもがいる場合、限度額は家族構成「独身・共働き」と同額で、高校生以上の子どもがいる場合は、年齢に応じて扶養控除が適用されるので、控除額が少なくなります。
まとめ
今回はふるさと納税における控除限度額のシミュレーション方法とともに、実際の金額と違う理由などを紹介しました。控除限度額は家族構成や所得に応じて異なるため、できるだけ正確なシミュレーションをしながらお得に寄附を楽しんでみてください。
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