コンデンサーマイクAT2020のレビューを調査!音質悪いって本当?指向性も解説
2022/11/24 更新
入門コンデンサーマイクのベストセラーともいわれるのがオーディオテクニカのAT2020です。コスパ抜群と高い評価を得ている反面、音が小さい・音質悪い・環境音を拾うなどの否定的なレビューもあります。今回はAT2020の特徴やメリット・デメリット、レビューなどを徹底分析しました。
目次
単一指向性で配信初心者におすすめコンデンサーマイクAT2020
オーディオテクニカのコンデンサーマイク「AT2020」は2006年7月に発売されて以来、15年以上に渡って初心者向けの定番マイクとして人気を誇るモデルです。1万円台前半の価格ながら音質が良く作りが堅牢で、付属品までセットになっています。
単一指向性で動画制作やライブ配信、ボーカル録りなどさまざまな用途に使え、自然でくせのない音・サッパリとした音質と好評な一方で音が小さい・音質が悪い・環境音を拾うなどのネガティブな意見があるのも事実です。
この記事ではコンデンサーマイク「AT2020」の特徴や事前に知っておきたい点、レビュー、メリット・デメリット、また上位機種についても併せてご紹介していきます。購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違い
マイクをまだよく分からない初心者は特にコンデンサーマイクとダイナミックマイクのどちらを選ぶか迷いがちです。ここでは両者の違い表にまとめましたので、ぜひ参考にどちらが自分に合っているか確認してみてください。
コンデンサーマイク | ダイナミックマイク | |
耐久性 | 繊細(湿度と衝撃に弱い) | 高い |
接続方法 | オーディオインターフェースやミキサーなどファンタム電源を供給する機材が必要 | マイク入力端子のある機材へ接続 |
音圧レベル | ダイナミックマイクよりは音の大きい音源に対応できない | 大音量に対応できる |
ノイズ |
S/N比が低いものは気になる場合もある。感度が良いのでポップノイズを拾う場合がある。 |
基本的に気にならない。野外で風の音が気になる場合はウインドスクリーンを使用すればOK。 |
スイッチ | ON/OFFではなくPADスイッチ・ローカットスイッチ。指向性切替ができる製品もある。 | ON/OFF |
用途 |
・ボーカルのレコーディング ・インターネット配信(USBタイプが人気) ・楽器の集音や会場のステレオレコーディング |
・ライブボーカル ・タム、スネア、バスドラムなど楽器の集音 |
オーディオテクニカAT2020のスペックについて
オーディオテクニカAT2020のスペックは以下の通りです。商品を検討する際の参考にしてください。
形式 | バックエレクトレットコンデンサー型 |
指向性 | 単一指向性 |
感度 | −37dB |
最大入力音圧レベル | 144dB S.P.L. |
SN比 | 71dB以上 |
出力インピーダンス | 100Ω平衡 |
電源 | ファントムDC48V |
価格 | ¥11,968 (税込) |
AT2020を使用するために必要な機器
AT2020には専用スタンドマウント・マイクポーチ・変換ネジが付属されていますが、それだけでは使用できません。ここでは必要な機器についてご紹介します。
ファンタム電源
AT2020などのXLRコンデンサーマイクにはファンタム電源と呼ばれる48Vの電源供給が必要です。オーディオインターフェースに備わっていますが、まれに低価格の製品などで機能が無いものもあるので「48V」の表記があるかしっかり確認してください。
オーディオインターフェイス
PCで音声信号を取り込むにはオーディオインターフェイス(またはミキサー)が必要です。ファンタム電源の供給源にもなります。オーディオインターフェイスのド定番といえば「YAMAHA AG03」で、何を買うか迷う方にはこちらがおすすめです。
AT2020の良いレビュー
良いレビュー①
音質の良さと周囲の音が入らない点を評価しているレビューです。AT2020の大きな魅力は1万円台前半の値段とは思えぬクリアな音にあります。自然で嫌味がなく音の一つ一つがハッキリ分かれストロークの感じも良いと好評です。
集音性が良いですが、単一指向性なのでマイクの角度や向きを調整すれば周囲の雑音はそれほど気にならないようでした。
良いレビュー②
低価格で高スペック、動画配信の定番マイクとのレビューです。AT2020はコスパ抜群で充分な音質があり、動画配信用の最初の1本におすすめします。付属品もついており、自宅でも扱いやすいサイズ感も人気の理由です。
AT2020の悪いレビュー
悪いレビュー①
環境音を拾ってしまうとのレビューです。AT2020は集音性が非常に高く、メリットである一方、録音環境によってはこうして周囲の音を拾いやすいとの意見も見られました。
録音環境が改善できない場合は単一指向性の特徴を活かして環境音の音源と向きを変えるのも対策としておすすめです。
悪いレビュー②
付属品の変換ネジに気づかずあやうく購入するところだったとのレビューです。付属品はポーチと専用スタンドマウントが注目されがちですが、ネジも入っていますので重複して購入しないよう気をつけてください。
AT2020を購入する前に把握しておきたい点
AT2020は単体では使えません。ここでは接続方法やほかに必要なものについてご紹介します。上位機種やシリーズ製品との比較もしていますのでぜひ購入前の参考にしてください。
接続方法について
AT2020はPCに直接接続できず、XRLケーブルを使用しオーディオインターフェースを介して接続する必要があります。またファンタム電源の供給が必須で、ほとんどの場合オーディオインターフェースに備わっていますが、無い場合は別途用意するのも必要です。
一緒についてくる付属品
セットでついてくる付属品は以下の通りです。
- マイクポーチ
- 専用スタンドマウント
- 変換ネジ
マイクポーチはソフトケースで厚みがあり質感がしっかりしているのが特徴です。コンデンサーマイクは繊細な機器なので保管時はポーチに入れておくのをおすすめします。湿気に弱いので乾燥剤を入れておくとなお良いです。
専用スタンドマウントと変換ネジはマイクとマイクスタンドを接続するためのアイテムで、マイクスタンドは別売りになります。自宅で普通に録るならマイクスタンドで充分ですが、振動音が気になるなら吊り下げタイプのショックマウントがおすすめです。
自分で用意しないといけないもの
AT2020は本体と付属品だけでは使用できません。ほかに用意しておかなくてはいけないアイテムをご紹介しますのでセットで買っておくのがおすすめです。
ケーブル
AT2020とオーディオインターフェースをつなぐためには3ピンのXLRコネクタを使った「XRLケーブル」が必要です。一般的なものでOKですが、マイクやスタンドのレイアウトに応じた長さのものを選んでください。
マイクスタンド
AT2020はサイズも重さも標準的なので一般的なマイクスタンドなら問題なく使えます。XLRケーブルがアーム内部に内蔵されているマイクスタンドを選べば別途ケーブルを購入する必要が無く、見た目もスマートなのでおすすめです。
ポップガード
ポップガードは無くても使用できますが、息で「ボッ」とポップノイズが入るのを防ぐのであると便利です。また唾がマイクに飛ぶのを防ぐ効果もあります。コンデンサーマイクは湿気に弱いのでヴォーカル録音やナレーション使用なら買っておきたいアイテムです。
ショックマウント
AT2020には専用スタンドマウントが付属されていますが、より振動が気になる場合はショックマウントを使用するのがおすすめです。購入時はサイズに気をつけて必ずAT2020に対応したものかチェックしてください。
なお上位機種のAT2035や2050には、付属品として専用のショックマウントがついています。AT2020とショックマウントを購入するのであれば、上位機種の購入も比べて検討するのがおすすめです。
環境音を拾いやすいノイズキャンセリング機能無し
AT2020は非常に集音性に優れたコンデンサーマイクですが、その分環境音も拾いやすいとの声も聞かれます。ノイズキャンセリングが付いておらず、収音力が高い分音を拾いやすいためです。
対策としてはなるべく静かな場所で使用したり、正面の音を拾う単一指向性マイクでなので正面に環境音の音源が来ないよう調整するのをおすすめします。
USB接続でつかえるAT2020USB-Xがある
AT2020はオーディオインターフェースやファンタム電源が必要ですが、同シリーズでPCへUSB接続できる「AT2020USB-X」もあります。ゲームやテレワーク用に使うなら接続がスッキリするのでおすすめです。
ゲームやライブ配信メインで考えているなら「AT2020USB-X」がおすすめですが、音響ミキサーでは使えないので音楽制作ならAT2020などのXRLマイクを選んでください。
PCにつないだら音が出ない場合は設定をチェック
パソコンにAT2020をつないで使用する際、音が出ない場合があります。その場合、サウンドの再生タブを確認してみてください。AT2020にはヘッドフォンがつなげられるのですが、出力先がヘッドフォンになっていると、パソコンのスピーカーからは音が出ません。
そのため再生機器を選び直せば、直る場合があります。故障している場合もゼロではありませんが、パソコンの設定を変えれば直る場合もあるので、ぜひ試してみてください。
上位機種についてもチェック
AT2020にはいくつかの上位機種もあります。価格は上がりますがそれだけ機能も向上しますので必要に応じて検討してみてください。
AT4040
中級者向けの商品で、マイクカプセルがラージダイヤフラムなのが特徴です。高い感度や豊かな中低域を得意としており、ボーカル録りを高品位に行いたい方におすすめします。ノイズの入りが少なく付属の専用ショックマウントでより防振性が高いのも魅力です。
PCを使った音楽制作に慣れ、さらに本格的にレコーディングしたい方におすすめします。
AT2035
AT2035はコンデンサーマイクの中でもS/N比が82dBと高く、ノイズが少ないのが魅力です。また専用ショックマウントを付属し床や机からの振動ノイズを抑制できるのでより繊細な録音にもおすすめします。
ナレーション録りやASMRなど小さい音を扱うなら、ノイズの少ないAT2035がおすすめです。価格はAT2002より数千円高いので予算と用途を考えて選んでください。
AT2050
AT2050は下位機種に比べてノイズなどのスペックが高いのはもちろん、指向性の切り替えできるのが特徴です。AT2020・AT2035は単一指向性のみですがAT2050は単一指向性・双指向性・無指向性から選べ、より幅広い用途で使えます。
音が小さい・音質悪い場合は向きをチェック
AT2020は1万円台前半のコンデンサーマイクではかなり音質の評判が良い製品です。しかしポップガードを付けずにボーカル録りをすると、ポップノイズが気になったり音質悪いと感じる場合があります。
また、AT2020は単一指向性マイクで真正面の感度が高いです。そのため、環境音の音源と同じ向きで録った際に音を拾っている可能性もあります。また、正面以外だと収録した音声の音が小さいので注意しましょう。
マイク本体の劣化による音質低下も考えられ、コンデンサーマイクは精密機器なので扱いや保管には気をつけてください。
音質向上したいならポップガードも有効
一緒に用意するものでご紹介したポップガードですが、使用すると音質向上できます。息やマイクに向かって話す際の破裂音が軽減され、ノイズが除去できるためです。また、マイクを湿気からも守れます。
志向性に合わせて選べる!AT2020の使い方
AT2020の使い方は、まずXRLケーブルで接続しファンタム電源を供給し、次にファンタム電源をONにし、ロゴを前にしてマイクの正面から音声を入力します。AT2020は単一指向性のコンデンサーマイクのため左右にずれると音量が減るので気をつけてください。
さまざまな志向性に合わせて使用できるのがポイントです。
保管する際出しっぱなしは避ける
保管する際、なるべく出しっぱなしにするのはやめてください。AT2020を含め、コンデンサーマイクは湿気に弱いです。特に梅雨や夏場など、湿度の高い時期は出しっぱなしにすると故障する恐れもあります。
専用ケースなど、湿度の影響を受けないところに収納して保管しておくのがおすすめです。
AT2020のQ&A
Q1:周りの音を拾ってしまう?

編集部
AT2020は非常に感度が高いので周りの音を拾ってしまう場合もあります。スタジオなど静かな場所で録音するのがベストですが、自宅で使用するなら真正面の音を拾う単一指向性マイクである点を踏まえて環境音の音源に対し向きを調整するのがおすすめです。
Q2:ホワイトノイズは気になる?

編集部
オーディオインターフェース接続は他の接続方法よりもホワイトノイズの発生が抑えられ、実際AT2020もホワイトノイズがかなり少ないと言われています。気になる場合に考えられるのは、AT2020の集音性の高さから暗騒音を拾っている可能性です。録音環境を見直すのも一つの方法と言えます。
Q3:サードパーティー製のショックマウントは使える?

編集部
手頃に購入したい方はサードパーティー製のショックマウントでも良いですが、必ず対応サイズかチェックしてください。不安な場合は純正のショックマウント「AT8458a」がおすすめです。
AT2020のメリットとデメリット
ここではAT2020のメリットとデメリットをご紹介します。それぞれしっかり確認してAT2020を選ぶべきかよく検討してください。
AT2020のメリット
AT2020のメリットは何と言っても1万円台前半と安価なのに高品質な点です。初心者でも手軽に購入でき、充分な音質と丈夫な作りも魅力になります。動画制作やライブ配信、ボーカル・アコギ録りにも充分対応可能です。
この価格帯では珍しくポーチやスタンドマウントが付属しているのも魅力で、どれも単なるおまけではなくしっかりした作りである点も高ポイントです。また大きさや重さなどサイズが標準的なので多くの周辺機器と適合します。
- 1万円台前半で買えるマイクなのに音質が良く丈夫な作り
- エントリークラスには充分な品質でコスパ抜群
- 付属品が充実している
- 標準的なサイズで周辺機器の選択肢が広い
AT2020のデメリット
AT2020のデメリットはS/N比が71dBとコンデンサーマイクの中では若干低めな点があげられます。S/N比が低い=ノイズを拾いやすく、71dBあればボーカル録りなどでは問題ないレベルですが小さい音を録るとノイズ気になる場合があるかも知れません。
ノイズを懸念する方は上位機種のAT2035ならS/N比が82dBとコンデンサーマイクの中ではかなりの高スペックなので、ぜひ検討してみてください。
- 若干ノイズを拾いやすい
- 小さい音を扱うなら上位機種のAT2035も検討
まとめ
入門機として高い人気を誇るAT2020をご紹介しました。AT2020は1万円台前半とは思えぬ音質の良さと、堅牢な作りでコスパ抜群です。音楽制作・動画撮影・ライブ配信用の入門マイクをお探しの方は本記事を参考にぜひ購入を検討してみてください。
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