水道水にカルキが入れられているのは有名です。カルキは水道局が入れているわけですが、かなり有害な物質のようにいわれる場合もあります。仮に体に害がないとしてもカルキの臭いが嫌いな人も多いです。

そもそも有害な物質だとしたら、なぜカルキを水道水に入れるのか。毒のようにいわれるカルキですが、水道水を安全に使うには必要なものです。また、カルキと塩素は同じもののようにいわれますが、厳密には同じものではありません。

カルキを抜くには煮沸が有名ですが、意外にデメリットも多いです。今回の記事ではカルキとは何なのか、水道水にカルキを入れる理由、カルキの体への影響、カルキ抜きができる方法などもご紹介します。

カルキの正式な名称は、次亜塩素酸カルシウムで塩素を含んだ成分です。カルキは塩素と酸素、カルシウムの化合物で水に入れると化学反応を起こして塩素やクロラミンなどが発生します。これらの臭いがカルキ臭と呼ばれるものです。

塩素とクロラミンに毒性があるので、カルキは体に害があるといわれるわけで、カルキと塩素は違うものですが、カルキの害の話はほとんど塩素の話なので同じと考えても不都合はありません。

水道水にカルキを入れる理由は塩素の力で、消毒を行うためです。水道水にカルキを入れるのは法律で義務付けられています。水道水の原水には病気の原因になるような雑菌が含まれていますが、カルキを入れると雑菌を死滅させられます。

有害ではないかと問題視されるケースが多いカルキですが、消毒された水道水は世界的に安全性が高いと認められており、加湿器に水を入れる際は、水道水を入れないと雑菌が発生する恐れがあるので危険です。

水道水中のカルキは人間の体に影響はあるのか。水道水にカルキを入れると発生する塩素やクロラミンには毒性があります。しかし、カルキは人体に影響がない量を計算した上で水道水に入れられるので、心配はいりません。

水道水を飲み水とする場合の残留塩素の基準値は全国で1mg/L以下です。これを基準に計算すると、一般家庭のお風呂200Lの水に含まれた塩素は0.2g以下になります。日本アトピー協会によると、お風呂を沸かす過程で塩素は抜けるので実際の量はさらに少ないです。

そのため、お風呂に入っても体への影響はほとんどありません。クロラミンも人体に悪影響を及ぼすような量は含まれてないので安心です。

水道水には、基本的に体への影響があるほどの塩素は含まれていません。ただし、敏感な人は水道水に残った塩素の影響で、肌荒れや髪の毛が傷む原因になります。肌にトラブルが起きている場合も、影響が出やすいです。

塩素に敏感な人や肌にトラブルが起きている場合は、カルキ抜きをした水道水を使いましょう。ただし、大量の水道水のカルキ抜きを行うのは難しいので、お風呂には炭を入れるのがおすすめです。

加湿器に水道水を使っている場合、加湿器の底が白くなるケースや、白い粉が噴射されるケースがあります。それは、水道水中のカルキやミネラルが原因かもしれません。人体への影響はありませんが、精密機器の故障の原因になる可能性はあります。

スチーム式やハイブリッド式の加湿器を使うと、こうした問題を防げるケースが多いです。

メダカなどの生き物の水槽に入れる水は、カルキ抜きしたものがよいです。水道水は人体への影響がほとんどないレベルの量のみカルキが入っています。しかし、人間以外の生物へは影響が生じる可能性があるためです。

煮沸するとカルキ抜きできますが、水中の酸素がなくなってしまうため生き物用の水には使えません。パイポなどでカルキ抜きしましょう。

カルキが癌と関連性があるのかははっきりしたデータはありません。ただし、水道水にはトリハロメタンなどの発がん性のある物質が含まれています。とはいえ、発がん性物質はごく微量なのでほとんど影響ないといわれています。

水道水中のカルキは人体にほとんど害はなく、カルキがないと雑菌が繁殖しやすくなるなどデメリットもあります。ただし、カルキを抜いたほうが良い場合もありますし、カルキ臭いと水を飲むのが嫌な人も多いです。

カルキは簡単な方法で水道水の中から抜けます。簡単にできるカルキの抜き方をまとめました。

水道水を沸騰させるのは、カルキを除去するのはもっともよく知られた方法です。燃費や良くないといわれますが、10分ほど煮沸させてカルキを取り除けます。カルキ臭のなくなった冷たい水を飲みたいなら冷蔵庫で冷やしましょう。

ただし、沸騰させると水に溶けた酸素がなくなってしまうので、生き物を入れる水として適していません。人体に影響がないレベルですが、有害なトリハロメタンが何倍にも増える問題もあり、ミネラルも壊れるといわれています。

汲んだ水道水を放置するだけでもカルキを抜けます。6時間から2日ほど時間をかける必要がありますが、ほとんど手間をかけずにカルキ抜きが可能です。容器に入れた水道水を日光に当てると5時間ほどに時間を短縮できます。

短時間でカルキ抜きをするには向いていませんが、デメリットがほとんどない方法です。

水道水の中にビタミンCを入れると、塩素とビタミンCが酸化ビタミンCに変化するのでカルキ抜きが可能です。ビタミンCが入ったものなら何を入れても除去でき、レモンなど柑橘類の輪切りや果汁を入れるのでも効果があります。

ただし、水質そのものが変わってしまう可能性もあるのが難点です。カルキ抜きに使うビタミンC粉末も販売されています。

水道水に炭の塊を入れると、カルキを取り除きミネラルウォーターを作れます。備長炭や竹炭は消臭剤で有名ですが、活性炭は浄水器にフィルターとしても使われるものです。カルキだけでなく、トリハロメタンなども除去できます。

水道水1リットルに150gの炭を入れれば、半日でカルキ抜きは終わりです。炭を水道水に入れる前に煮沸消毒して乾かしてから、使用しましょう。炭は一度だけでなく、通常使用なら1ヶ月ほど繰り返し使えます。

パイポと呼ばれる市販の中和剤を入れて5分ほどでカルキ抜きをする方法もあります。短時間でカルキ抜きを行うには便利な方法です。人体には無害な物質が使われていますが、魚の飼育用の水を作るためのものなので飲料用には使えません。

水道水のカルキ抜きを行う一番簡単な方法は浄水器を取り付ける方法です。取り付けるための費用はかかりますが、蛇口を捻るとすぐにカルキが除去された水が出てきます。一度取り付けると定期的なメンテナンス以外に手間はほとんどかかりません。

ただし、カルキ抜きされた水は雑菌が繁殖しやすいので、浄水器も清潔に保つのが大切です

おいしい水道水を飲みたいなら、水道直結型や給水タンク型のウォーターサーバーも便利です。ろ過した水道水を使うウォーターサーバーなので、カルキのない水道水がたっぷり使えるのが魅力で、浄水器一体型や飲み放題ウォーターサーバーとも呼ばれます。

水道水の料金は非常に安いので、ウォーターサーバーの水をたっぷり使いたい人にもおすすめです。ただし、お風呂にウォーターサーバーの水を使うとフィルターがすぐにダメになるので、強制解約される場合もあります。

おすすめの飲み放題ウォーターサーバーをご紹介しますので、ぜひチェックしてください。

カルキの臭いが好きな人は多くありません。ここではカルキ抜きを行わずにカルキの臭いを抑えて、水道水を飲む方法をご紹介します。

適温に冷やして飲むだけでも、水道水のカルキ臭は感じにくくなります。人間がおいしく感じるといわれる水の温度は10℃～15℃です。冷蔵庫に入れて冷やしたり、氷を入れるだけでもカルキ臭を感じにくくなるので試してみましょう。

朝起きて最初に水道を使う時に、30秒～1分ほど水を流すと水道水の臭いを取れます。水道水は、カルキだけでなく水道管の鉄サビの臭いが染みついている場合があり、飲むと鉄の味やサビの臭いがするケースも多いです。

水道管の中の水を入れ替えると、臭いが少ない水が出てきます。量にするとバケツ一杯くらいの水は出しましょう。流した水は飲料水以外に使えるので、無駄にはなりません。カルキ臭を取る方法ではありませんが、水道水は飲みやすくなります。

水道水を水筒やペットボトルなどの密閉容器に入れて振るだけでも、カルキの臭いはかなり少なくなります。10秒間振った後に新しい空気を入れて、もう10秒間振るのがポイントです。ミキサーに入れて数分間かき混ぜても、臭いを取れます。

塩素はなくなりませんが、カルキ臭を取るには有効な方法です。

水道水にカルキが入れられる理由やカルキ抜きの方法などをまとめました。水道水に入っているとが問題になるカルキですが、人体にはほとんど影響はなく安全な水を飲むためには大切な成分です。