国民健康保険に一ヶ月でも空白期間が生じる際の対処法【1ヶ月だけ扶養に入るのはできる?】

国民健康保険に一ヶ月でも空白期間が生じる際の対処法【1ヶ月だけ扶養に入るのはできる?】

「次の仕事まで1ヵ月だけ空いてしまう」場合、1ヵ月だけでも国民健康保険に加入するのか疑問に思っている方も多いでしょう。この記事では国民健康保険と任意継続保険の違いや、1ヵ月だけ空白期間ができた場合の切り替えや1ヶ月だけ扶養に入ることはできるのかなど解説します。

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健康保険を理解して損のない選択をしよう

健康保険に入らないと、診療費が高くなり、病院で診療を受けにくくなります。しかし、転職などの理由で退職して未加入になった期間は、例え転職の空白期間など短期間であっても、別の保険制度へ加入しなければなりません。一ヶ月だけ入らないなどできるのでしょうか。

 

実は、離職後に加入できる健康保険は、国民健康保険だけではなく、いくらでも選択肢もあります。任意継続保険に切り替える・家族の扶養に入るなどすると保険料を大幅に抑えられる場合がありますので、積極的に利用しましょう。

 

しかし、健康保険の手続きは手間がかかりますし、選択を誤るとかえって損をします。この記事では、国保をはじめとした社会保険脱退後の保険制度について解説しますので、ぜひとも参考にしてください。

退職後の健康保険には3つの選択肢がある

企業を退職した場合、その後の保険料の支払いには3つの選択肢があります。1つずつ解説しますので、自分にはどれが最も得か、考える際の参考にしてください。

任意継続保険制度を利用する

企業を離職して社会保険を脱退した意継続保険制度」を利用する方法があります積極的に利用しましょう。

「任意継続保険」の保険料は社会保険より安くなる

任継続保険になると保険料は全額自己負担です。しかし、金額は必ずしも今までの2倍になるという訳ではありません。任意継続保険の保険料は、標準報酬月額をもとに定められた保険料率の割合で算出され、標準報酬月額には上限が決められています。

 

令和2年の標準報酬月額上限と保険料率は以下の通りです。

【保険料率】 9.63%(40歳以上の場合は10.75%)

【月額報酬金額上限】 30万円

「手続き」に期限があるので注意!

任意継続保険に加入するための手続きは、離職日(社会保険脱退日)から20日以内にする必要があります。期限を過ぎると加入資格を喪失してしまうので、絶対に期限を過ぎないようにしましょう。

 

申請場所は、自宅を管轄する全国健康保険協会の各都道府県支部です。国民健康保険のように市役所等で申請することはできませんので、日程と共にしっかりと計画を立てて行動しましょう。

家族を「扶養に入れる」ことも可能

任意継続保険の最大のメリットは、家族をしっかりと扶養に入れられるところです。して、国民健康保険には「扶養」という概念がなく、家族1人につきそれぞれの保険料を納めることになります。

 

しかし任意継続保険の場合は1人分の保険料で家族全員の保険証を発行することが可能です。扶養すべき家族がいる場合は、任意継続保険の方が毎月の保険料を大きく削減できるということを覚えておきましょう。

「2年間で失効」する

任意継続保険に加入後、次の条件に当てはまった場合に被保険者の資格を喪失してしまいます。どんな場合でも、任意継続保険は2年間しか使えません。資格喪失後は国民健康保険に入ってください。

 

・任意継続保険に加入し2年経過

・期日までに保険料が支払われていない

・就職により他の健康保険の被保険者資格を得たとき

・後期高齢者医療の被保険者資格を得たとき

・任意継続保険の被保険者が死亡したとき

国民健康保険に入る

国民健康保険は国民皆保険を実現するための大切な制度です。国民健康保険に加入するのは前日本国民の権利であると同時に、義務でもあります。

「退職した翌日」に加入している

国民健康保険は退職した翌日、以前の健康保険からの脱退と同時に加入しています。任意継続保険への加入や家族の扶養に入ることを考えている場合、ブランクが開いてしまうとその期間だけでも国民健康保険の支払いが必要です。

転職などで生じるブランクが1週間の場合でも「切り替えの手続き」が必要

国民健康保険への加入は退職の翌日に自動的に行われます。しかし保険証を発行してもらうためには、各市区町村の窓口で切り替え手続きが必要です。国民健康保険への切り替え手続きは、退職後14日以内に行うよう定められています。

 

14日を過ぎたら特別な罰則があるわけではないのですが、その間は保険証を所持していないので病院に行くとなると大変です。医療費が10割負担となってしまうので、すぐ転職する場合でも退職後は速やかに手続きをしましょう。

国民健康保険の「保険料」は前年度の所得と世帯人数で決まる

国民健康保険は各市区町村の医療財源であり、支払うべき保険料は各市区町村の定めた計算式により算出されます。その基準となるのは「前年度の世帯所得」や「世帯当たりの人数」「40歳~64歳に当たる家族の人数」です。

 

ですので、国民年金の保険料は前年の世帯所得が高く、世帯人数が多いほど高額になると考えておきましょう詳しい計算式は各市町村のホームページで確認することができます。前もって確認しておいてください。

家族を「扶養」に入れることはできない

国民健康保険には扶養に入れるという考え方がなく、世帯の中で国民健康保険に加入する人数に応じて均等に負担額が増えていく形式です。また、保険料は世帯ごとにまとまった金額で支払います。

倒産やリストラで「無職」になった場合は安くなることも

勤めていた企業の倒産やリストラ等が原因で国民健康保険に加入することになった場合、非自発的被保険者と認定されれば保険料の減額が適用されますので、当てはまりそうな方は確認をしてみることをおすすめします。

 

非自発的被保険者と認定された場合の保険料は、本来の前年所得を100分の30とみなして計算されるので、場合によっては任意継続保険の保険料よりはるかにお得です。次の条件に当てはまる方は市区町村の窓口に確認してみましょう。

 

・申請時に65歳未満であること

・ハローワークにて雇用保険受給資格者証の離職理由コードが以下の番号であること

離職理由コード 11、12、21、22、31、32(倒産や解雇による離職に該当)

離職理由コード 23、33、34(リストラによる離職に該当)

 

 

 

 

家族の扶養に入る

家族の中に会社の社会保険に加入している方がいれば、扶養に入ることで保険料を支払う必要がなくなります。被扶養者となるには条件があるので、確認しましょう。

扶養に入った場合の「保険料」について

家族の扶養に入ることで、被扶養者も会社の保険証を所持することができます。この場合、被扶養者からは保険料を徴収しない決まりので、保険料を支払う必要はありません。被扶養者が増えても、支払っていた保険料が増えることはないです。

扶養に入るには「条件」を満たさなくてはならない

被保険者の扶養に入るためには、以下の条件を満たしている必要があります。よく間違われるのは、被扶養者の年間収入に関してです。あらかじめしっかりと確認をしておきましょう。

 

・扶養者の3親等以内であること

※子、配偶者、兄弟姉妹、父母、祖父母に関しては同居不要。

・日本に住民票があること

・扶養に入った日からの年間収入見込みが130万円以下であること

・同居の場合、収入が扶養者の収入の半分以下であること

・別居の場合、収入が扶養者からの仕送り額未満であること

・失業給付金を受給していないこと

・その他各健康保険組合が定める条件を満たすこと

 

ここで言う被扶養者の年間収入とは、扶養に入ってから1年間の収入見込みを指します。扶養に入るまでのその年の収入が130万円を超えていたとしても、それ以降の収入が130万円以下であれば扶養を外れません。

扶養に入るなら「被保険者の職場に問い合わせ」をしよう

扶養に入る場合、手続きは市区町村の窓口ではなく被保険者の職場です。被保険者を通して職場に問い合わせをしてもらいましょう。住民票などの続柄が分かる書類、退職証明書などは必要なので、事前に用意しておくと手続きがスムーズです。

1ヵ月だけ空いてしまった場合は国民健康保険に入ろう

転職をする場合、1日のブランクもなく次の職場に移行できることは稀で、1カ月程度の間隔が空いてしまう際は国民健康保険がおすすめです。

「空白期間が1ヵ月」なら国民健康保険がおすすめ

原則として健康保険料を一切納めなくてもいい、という月はありません。会社の保険も任意継続保険も、加入した月に1か月分の保険料支払いが発生します。しかし国民健康保険は加入後、月をまたいだ時に保険料が発生するのが特徴です。

 

仮に3月31日に退職し、4月30日に次の職場に就職したとします。4月1から29日までの期間は国民健康保険に加入してしますが、月をまたがないので保険料は発生しません。次の職場へ就職した時点で、その会社での健康保険料を支払うだけで済みます。

健康保険料は「日割り計算」されない

健康保険料は国民健康保険・企業の健康保険共に日割り計算がされることはありません健康保険料は例え1日だけの加入であっても1カ月分の保険料が徴収されることを覚えておきましょう。

 

つまり、3月30日に退職して翌31日に国民健康保険に加入した場合でも、3月分の保険料は丸々1カ月分の納入が必要ということです。月末を待たずに退職することは決して得をしているわけではないので注意しましょう。

空白期間が1ヵ月だけでも「切り替え手続き」をしよう

国民健康保険の切り替え手続きは、例え空白期間が1カ月だけだったとしても必要です。国民切り替え手続きを行わないと保険証が発行されません。保険証のない期間にケガや病気をしてしまった場合、高額の治療費を支払うことになります。

どれが得か分からない場合は保険料を比較しよう

健康保険料は個人の状況によって大きく変わるため、一概にどれが得と断定することはできません。それぞれの保険料を算出し、比較したうえで判断しましょう。

「任意継続保険と国民継続保険」を比較する

退職に加入する健康保険に悩まれている方は、それぞれの保険料を比較したうえで安い方へ加入しましょう。健康保険料の算出には決まった計算式が用いられますが、基準となる年収が把握できていない場合は相談が必要です。

 

正確な保険料を知る為に該当機関に問い合わせをしてください。問い合わせ先は、国民健康保険であれば市区町村の役所や窓口任意継続保険であれば全国健康保険協会の都道府県支部です。

国民健康保険は「保険料が変わる」可能性がある

保険料に関して、任意継続保険では2年間の期間中に変更となることはありません。しかし国民健康保険の場合は、1年目の年収に応じて2年目の保険料が変動します。年収が著しく下がった場合は任意継続保険から国民健康保険への乗り換えが有効です。

各種健康保険の手続きについて

ここからは、退職から次の健康保険への切り替え手順について解説します。加入する保険によって手続き場所が異なるので注意しましょう。

使っていた「保険証を会社に返す」

退職をしたら、それまで使用していた保健証は速やかに返却しましょう。返却方法は会社の担当者に尋ねてください。また、止むを得ず直接返却が適わない場合でも、郵送で必ず返却をしましょう。書留郵便にすると間違いがありません。

 

また最終出勤後に有休を消化してから退職される方は、有休消化が終わるまで保険証は手元に残しておきましょう。最終出勤日に保険証を返却してしまうと、有休期間中に怪我や病気をした際に保険適用ができなくなってしまいます。

任意継続保険に加入する場合は「協会けんぽ」に申請

任意継続保険に加入を希望する場合、手続きは管轄の全国健康保険協会支部で行います。こちらは各都道府県に1か所しかないので、住まいによっては遠方になってしまう場合もあるので注意しましょう。

 

申請の際は以下の書類が必要となるので、事前に準備しておいてください。

・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書

※全校健康保険協会のホームページでダウンロード可能です。

・被保険者の収入を確認できる書類

・退職日の確認できる書類

・住民票

・印鑑

 

また、被扶養者がいる場合は以下の書類も必要です。

・続柄の確認できる書類

・被扶養者の年収が確認できる書類

・同居を証明できる書類、もしくは仕送りの事実を証明できる書類

国民健康保険は「役所」に申請

国民健康保険に加入する場合の手続きは市区町村の役所窓口で行います。資格焼失証明書は前職の会社が発行する書類になるため、退職前に総務部もしくは人事部に依頼をしておいてください。

 

必要書類は以下のものを用意しましょう。

・健康保険の資格喪失証明証

・印鑑

・その他各市区町村で定められた書類

手続きをしなかった場合

健康保険料は、転職時のブランク期間や、そもそも切り替え手続きを行わず払っていない方がいるも事実です。そのような場合には以下のようなことが起こります。

国民健康保険料は「退職日から遡って請求」される

国民健康保険は自身が加入手続きをしなくても、会社の保険から脱退した翌日から自動的に加入しています。原則として以前加入していた健康保険の脱退から14日以内に切り替え手続きを行うよう求められていますが、それ以降でも加入手続きは可能です。

 

国民健康保険に加入する立場になったら、速やかに切り替え手続きを行い保険料を納めましょう。国民健康保険は過去に遡って請求することが可能な為、空白期間の保険料も後日請求されることになるからです。

 

健康保険料の支払いは2年間で時効(自治体によっては健康保険税とする場合は5年)ですが、請求書が届いた時点で時効のカウントはリセットされますので、実質、時効を待つのは難しいのが事実です。

健康保険に加入しないとデメリットがいっぱい

国民健康保険への加入手続きをしなかった場合、以下のようなデメリットがあります。いずれ請求されることを考えると、健康保険料の滞納にはメリットはありません。ルールに則ってきちんと切り替え手続きを行いましょう。

 

・保険証がない為医療費は全額負担

・自由診療となる為治療法に制限がなく、医者の言い値で医療費が決まる

・保険証がないと診察を受け付けてもらえない場合もある

・滞納が続くと資産の差し押さえもあり得る

・健康保険料の未払いは法律違反であり、罰則もある

国民健康保険には軽減制度がある

諸所の理由により、経済的に国民健康保険料の納付が難しいということも起こりえます。そのような場合は国民健康保険料を軽減する制度を積極的に利用しましょう

「世帯年収」が激減したりしたときに使える軽減制度

先述の章でも紹介している通り、勤め先の倒産やリストラ等により非自発的に失業した場合は保険料の軽減を受けることが可能です。それ以外にも年収が一定額に満たない場合に受けられる、段階的な軽減措置がありますので、困った時は役所に相談しましょう。

 

保険料7割減額・・・世帯年収が33万円以下

保険料5割減額・・・世帯年収が33万+(28.5万×国民健康保険加入者数)以下

保険料2割減額・・・世帯年収が33万+(52万×国民健康保険加入者数)以下

災害などで収入が激減した場合の「特別減免制度」

災害などの理由で保険料の支払いが困難になった場合、個別に保険料の減免を受けることができる制度があります。こちらは、適用されるかどうかの明確な基準は公開されておらず、申請後の審査によって決定します。

転職で期間が開く場合は年金手続きも必要

転職で空白期間がある場合、年金手続きを忘れないようにしましょう。前の会社を退職した後、その月のうちに新しい会社に入社するのであれば、厚生年金に継続して加入することになるので、切り替え手続きは会社側が行ってくれます。

 

しかし退職後から新しい会社への入社までに月をまたぐ場合は、自分で国民年金に切り替える手続きが必要です。原則として、14日以内に手続きをするルールとなっているため、期限内に着手しましょう。

まとめ

退職したら必ず健康保険の切り替え手続きをしましょう。会社の被保険者である家族の扶養に入る、任意継続保険・国民健康保険のどれが最も得かはケースバイケースです。ケガや病気になっても安心して医療を受けられるように備えてください。

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