和装の履物には、草履や下駄、雪駄などがありますが、女性が喪服を着用する場合は必ず草履を合わせます。男性の場合は、黒か白の鼻緒に畳表の草履です。現代では、葬儀に和装を着用するのは女性がほとんどであるため、この記事では女性用の草履について説明します。

葬儀で着用する黒喪服は、葬儀専用の着物で、日常着の着物とはさまざまな点で異なります。これに合わせる草履にも、いくつかルールがあります。急な葬儀で慌てないよう、葬儀の草履の選び方や具体例を確認しましょう。

そこで、今回は葬儀の草履の選び方やおすすめ商品をランキング形式でご紹介します。ランキングでは、葬儀の場にふさわしいかどうかと履きやすさを基準に作成しました。大きいサイズや痛くないものもあるので、草履が痛いと感じる方もチェックしてみてください。

葬儀の草履を選ぶときは、デザインや素材の好みよりも、葬儀の場にふさわしいかどうかを優先します。

故人を悼む葬儀で着用する草履は、葬儀の場にふさわしいものを選びます。マナーとして押さえておきたいポイントがありますので、確認しておきましょう。

葬儀や法事で和装の黒喪服一式を着用する際は、喪履き草履と呼ばれる専用の草履を合わせます。地味な色だからといって、おしゃれ用の草履を黒喪服に合わせると、光沢や模様などが目立ち、アンバランスに見えることがあります。

喪履き草履は黒喪服だけでなく、略喪服とも呼ばれる色喪服にも合わせることができます。色喪服は、紫や灰色など色を抑えた一つ紋の無地の着物に、黒喪服の帯を合わせたスタイルです。

葬儀ではなく、法事で着ることの多い喪服の一種です。黒喪服と異なり、喪履き草履だけでなく、色を抑えたシンプルな草履でもよいとされています。

草履台、鼻緒とも同じ黒色で揃えます。葬儀や法事だけでなく、礼装の草履は、草履台と鼻緒が同色が同素材のものがよいと言われています。光る素材はお祝い事を連想させるため、葬儀の草履には、黒色で光沢のない素材を選びましょう。

草履に使用される素材は、布製やエナメル製、本革製や合成皮革製などがあります。一般的に、葬儀の草履には布製が推奨されていますが、扱いやすく雨でも安心の合成皮革の葬儀用草履も多く見られます。

本革製の草履は耐久性に優れますが、殺生を連想させるため、仏教の葬儀には避けるべきと言われることがあります。強い光沢のあるエナメル製は、葬儀の雰囲気に合わないため、光沢が落ち着いたものを選びましょう。

葬儀用の草履には、4cm前後の通常より低めのかかとを選びます。一般的に、礼装や格の高い着物に合わせる草履は、かかとが高いものがよいとされています。しかし、黒一色の喪服には、華やかでかかとの高い草履はアンバランスさが目立ちます。

このため、高価な喪服であっても低めのものを合わせましょう。

日常的に草履や下駄を履いていないと、慣れなくて葬儀中に足が痛くなってしまうことがあるかもしれません。葬儀の草履の履きやすさにも注目しましょう。

草履の鼻緒は、足に直接当たるため、履きやすさに大きく影響します。やわらかい布製鼻緒なら足が痛くないので、長時間の葬儀でも足への負担を軽減できます。エナメル製の硬く細い鼻緒は足が痛くなりやすいため、心配な人は避けた方がよいでしょう。

葬儀の草履は、鼻緒の表生地と草履台が同じ素材で揃えられることが多いので、鼻緒の裏生地に注目しましょう。繊維をループ状に織った罠（わな）生地や、罠生地のループを切って起毛させた本天生地は、やわらかく履き心地が良いことで知られています。

底一面が接着されて鼻緒の端が見えない軽装草履ではなく、鼻緒の挿げ替えが可能な草履ならば、布製鼻緒へ交換できます。過去に葬儀の草履で足が痛くなったことがあるなら、草履専門店に相談するのがおすすめです。

草履台にクッション素材が導入された製品は、足をしっかりホールドし、歩くときの衝撃を和らげます。このため、足が疲れにくく、草履になれていない人や、葬儀など長時間履く場合におすすめです。

脱いだときに見苦しくないよう、足形が残りにくい製品を選びましょう。また、草履台のかかとからつま先にかけての傾斜が、ゆるやかなものほど、足に負担がかかりません。購入前に草履台を横から見て、傾斜の角度を確認しておきましょう。

傾斜が強い草履を履くと、足の形がハイヒールの靴を履いた状態と似た形状になります。鼻緒を挟む指の間に力がかかって痛みを感じるたり、歩きにくく感じたりすることがあるので、草履に慣れないうちは避けたほうがよいでしょう。

葬儀の草履を準備する方法としては、大きく分けてレンタルと購入があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、喪服の準備と合わせて検討しましょう。

お悔みごとはいつ起こるか予測がつきにくく、急に必要なものが出て慌てることも多いでしょう。葬儀会社によっては、草履を含めた喪服一式をレンタルしている場合があるので、上手に活用するのもおすすめです。

葬儀会社でレンタルできない場合は、一般的な貸衣装店を利用しましょう。ネットで注文できるサービスもあるので、チェックしてみてください。最近ではレンタルのほうが経済的という意見もあります。

ただし、喪服は急に必要になる場合があり、希望するものがちょうど欠品しているリスクもある点を確認しておきましょう。

呉服店・デパート・ショッピングモールなどの和服売り場では、おしゃれ用だけでなく葬儀の草履も取り扱っています。実物の草履を手にとって試着しながら選べるので、足に合ったものが選べる点がメリットです。

そのため、通常よりも大きいサイズのものが欲しい方も安心して着用できます。地元の呉服店なら、不明な点を尋ねることも可能です。また、店舗の営業時間内ならいつでも購入できるため、急に必要になってもすぐに対応できます。

最近では、葬儀会社などで黒喪服一式をレンタルするサービスが充実しています。しかし、レンタルのセット品に含まれる草履は、サイズや鼻緒の硬さが選べない場合が多いため、草履だけは自前で購入しておくのがおすすめです。

近くに葬儀の草履を扱う店舗が無い場合や、気に入った商品が見つからなかったときは、ネット通販を活用するのもおすすめです。幅広い商品の中から検討して選べる点がメリットですが、店舗で購入する場合と違って、すぐに手元に届かない点に注意しましょう。

また、ネット通販では試着して履き心地を確認することができないため、レビューや商品説明をよく読んで検討してください。葬儀の草履はデザインがシンプルなので、商品写真と実物との差が少ないことから、意外とネット通販での購入に向いています。

葬儀の草履など喪服一式は、準備するタイミングに注意が必要です。身内に体調が悪い人がいるときに購入するのは失礼にあたる場合があります。ネット通販なら購入したことが気づかれにくいため、トラブルの回避にも役立ちます。

各通販サイトの売れ筋ランキングもぜひ参考にしてみてください。

※上記ランキングは、各通販サイトにより集計期間・方法が異なる場合がございます。

葬儀で黒喪服と草履を着用する場面では、参列者に挨拶したり人前に出たりする機会が多くなります。草履に慣れない人でも、姿勢や身なりがきれいに見えるポイントを紹介します。

草履は足全体を包み込む形状でないため、靴のように厳密なサイズ選びが必要ありません。一般的には、草履台からかかとが1cm程度はみ出るサイズが美しく見えると言われています。

「小さくて歩きにくいのでは」と心配になるかもしれませんが、着物の裾を踏みにくく、泥のはね上げを軽減します。また、歩くときに気になるパタパタという音を軽減できます。縦幅と同様、横幅も足がはみ出る履き方で問題ありません。

女性らしく見える横幅の狭い草履もありますが、慣れないうちは避けたほうがよいでしょう。横幅が8cm前後の台は比較的安定しており、見た目のバランスもよいのでおすすめです。

草履の鼻緒には、足の指をしっかり差し込むのではなく、親指と人差し指で軽くひっかける履き方が美しいと言われています。草履に慣れていないと鼻緒がきついと感じることが多いようですが、必ずしもそうでないこともあります。

逆に、鼻緒がゆるいと指の間に力がかかりやすく、痛みを伴うことがあります。また、歩いたときに音がしやすく、美しく見えません。どうしてもきついと感じるときは、鼻緒に手を入れ、上に持ち上げるように引っ張ってみましょう。

鼻緒が多少緩むので、痛いときの応急処置として試してください。また、鼻緒は履いているうちに自然と緩むので、しばらく様子を見てみましょう。

着物を着て歩くときは、着物の裾がめくれないよう、洋装のときよりも小股で歩きましょう。洋装のときは太ももから足を動かしていますが、着物のときは膝頭をつけ、膝から下を動かすイメージで歩くときれいに見えます。

足の指で鼻緒を掴み、やや内股気味にすると草履のかかとが離れにくく、歩くときのパタパタという音が軽減できます。靴を履いたときのようにつま先で勢いよく踏み切らず、足の裏全体を滑らせるように動かすとよいでしょう。

葬儀の草履には、専用の喪履き草履を着用するのが望ましいです。葬儀の草履には、色は黒・素材は布製など細かいマナーがいくつかあります。事前に葬儀の準備をするのは失礼に当たる場合もありますが、いざというとき慌てないよう確認しておきましょう。