汗が臭かったり量が多いと、「自分がワキガや多汗症だったらどうしよう！」と不安になるものです。特に、周囲の人の反応が過剰に気になってしまったり、「もしワキガや多汗症だと思われていたら…」と考え出すとキリがありません。そもそも、ワキガや多汗症はどういったものなのか、そこから解説していきましょう。

日本人の約10人に1人がワキガといわれています。白人や黒人に対して少ないものの、軽度から重度なニオイまでそれぞれ症状が異なります。また、男女問わずワキガ体質の人は存在し、先天的なもので、遺伝によるものです。

ニオイの原因はアポクリン汗腺という皮膚にある管状の腺が関係しています。この汗腺から出る汗にはタンパク質や脂質等が含まれており、皮膚にいる常在菌が分解し、ニオイのもとになります。

アポクリン汗腺の多さに比例してニオイも強まりますが、ワキガ体質かどうかは耳垢の湿り気によってもある程度判断できます。外耳道（耳の穴）にアポクリン汗腺があると耳垢がカサカサではなくベタつきを伴います。その場合、大抵はワキにもアポクリン汗腺が存在するのでワキガ体質である可能性も高いのです。

多汗症はいわゆる汗っかきとは違います。局所性と全身性のものがあり、局所性は頭部、ワキ、手のひらや足の裏など、特定の部位に汗をかく症状です。病気自体の誤解や病気と認識していなかったりする場合が多く、医療機関で診てもらわない場合が多いのが現状です。

全身性の多汗症は内分泌代謝異常や感染症、神経疾患などが関わっている場合があります。局所性とは区別され、原因が不明な場合もあります。

多汗と汗をかかない状態が繰り返されることが多く、これも多汗症の特徴です。本来汗は体温調節のためにかくものですが、その役割とは関係なく汗が多量に出るものが多汗症です。人前で汗が気になってしまい社会生活にまで影響を与えることが多く、それがさらにストレスとなり追い込まれてしまう人もいます。

完全に汗やニオイを抑えることはできないものの、生活習慣を見直すことによってある程度汗の量を抑えたりニオイを軽減することならできます。ここからは普段の生活から試せるワキガや多汗症の症状を軽減したり抑える方法をご紹介します。

食生活は真っ先に見直すべき点のひとつです。極端に辛いものや酸っぱいものなど、刺激物は控えたほうがいいでしょう。交感神経の働きを活発化させてしまい汗をかきやすくなります。また、カフェインも同様に交感神経の働きに左右します。コーヒーやエナジードリンクにも含まれるので、過剰摂取は禁物です。

特にワキガのニオイが気になる場合、肉類や高カロリー食品を摂りすぎていないか食生活を見直しましょう。高脂肪の食品を摂取し皮下脂肪がつくと、ワキガ原因のアポクリン汗腺や皮脂腺の活動が盛んになってしまうので気をつけてください。

局所性多汗症の場合、精神的要因やストレスを取り除くことが重要です。例えば汗をかくこと自体を気にしすぎてしまうこともストレスになります。また、抗うつ剤などの薬が影響している場合もあるので、気になることがある場合はかかりつけの医師に相談してください。

ワキガ・多汗症の施術は複数方法があり、症状の度合いによって選ぶことが重要です。それぞれの施術の特徴と内容について解説していきます。メリットやデメリットも詳細に書いていくので施術を考えている方は参考にしてみてください。

症状が軽度の方に用いられる施術方法です。手術とは違い、軽い処置でリスクも低い療法です。多汗症の原因であるエクリン汗腺の汗を抑えます。雑菌の繁殖を抑えるのでワキガ臭を抑える効果もあります。

一時的に汗やニオイを抑えるだけではありますが、メスを入れる手術とは違い傷跡も残りにくく、出血や色素沈着なども気になりません。また傷の治りも早いのが特徴です。部分麻酔も使えるので、施術の痛みを心配している人には最適です。

デメリットとしては効果時間の短さです。3～4ヶ月程度で効果がなくなります。また、アポクリン汗腺に対しては作用が期待できないので完全な無臭にはならない場合があります。

症状が軽度～中度の方に用いられる施術方法です。約1cmほどの小さい切開で済むのが特徴の手術です。細い削除器でアポクリン汗腺を吸引し、皮膚の合併症の危険性も低い方法です。手術時間も短く済みます。

デメリットはアポクリン汗腺を直接視認して取る方法ではないので、その点では後述の剪除法には劣る部分があります。剪除法よりは手術時間は短く済みます。

中度～重度の方に向いている施術方法です。数mm切開してからアポクリン汗腺やエクリン汗腺に超音波をあて、汗腺を潰し吸引します。傷が小さめ、ダウンタイムが短いメリットがあります。

範囲が広い多汗症には向いていないとされます。また、汗腺を直接目視しながらではないので取り切れない場合もあります。後述の剪除法と合わせた超音波ハイブリッド方法もあります。

重度のワキガ症状に向いています。約3～4cmほど切開し、皮下組織をアポクリン汗腺ごと切除する方法です。メリットはきちんと確認しながら取り去るので吸引シェービング法よりもより的確にアポクリン汗腺を除去できることです。

手術直後は傷跡が目立ちますが、時間の経過とともに徐々に目立たなくなっていきます。1～2ヶ月ほどは傷跡が安定せず傷が塞がりにくかったり違和感などを感じる場合もあります。傷跡がほとんどわからなくなるまでは1年ほどかかります。

ここからはワキガ・多汗症手術のクリニックを選ぶ際の特に重要なポイントをご紹介していきます。施術を受けてから「やっぱりやめておけばよかった」と後悔しないように、ワキガ・多汗症の施術で絶対欠かせないところを挙げました。

ワキガ・多汗症の施術費用は実は美容外科クリニックによって千差万別です。施術内容と合わない高額な請求で騙されないように、相場はきちんと把握しておきましょう。一般的には剪除法で30万円程度です。医師の診察や施術によって保険適用される場合があります。他院での術後の修正手術などは保険適用外になる場合が多いので気をつけてください。

ただ、安ければ安いほどいいというものでもありません。ワキガや多汗症の施術は再発ということがあり得ます。再発して結局費用総額が高くなってしまったということにならないために、信用性の高い美容外科クリニックを選択することが肝心なのです。

施術後のアフターフォローはとても大事です。治療の経過観察もちゃんと行ってくれるところでなくてはいけません。メールや電話相談を行っていたり、24時間対応かどうかも確認しておきましょう。遠隔で来院が難しい場合でもきちんと連絡が取れるかは重要な点です。

また、切開手術の場合は傷跡がなかなか塞がらない場合もあります。徐々に治っていくのが通常ですが、術後の経過観察を適切に行なってくれるクリニックを選びましょう。アフターフォローも施術費用に含まれる場合もあるので、事前確認を行いましょう。

ワキガや多汗症はコンプレックスになっている方も多く、人とのコミュニケーション自体が怖くなってしまったり、人生そのものに影響を与えると言っても過言ではありません。少し勇気を出して「まずはカウンセリングだけでも」という気軽な気分で相談することもおすすめです。

きちんと実績や評価の高いワキガ・多汗症のクリニックを選び、後悔のない選択をしましょう。その際は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください！