見た目が変わっていたり、強烈なにおいを放つものを食べる時には、誰もが相当の覚悟を必要とします。ましてや「まだ誰も食べた事がない」ものを人類史上初めて食べるとなれば…。「食べたら絶対ヤバいって!」「これ食べ物じゃないよね?」——そんな思いと戦いながらも覚悟を決めて口へと運び、見事に勝利した先達の中で、最も多くの人の尊敬を集めたのは、果たして何を食べた人なのでしょうか。

 「人類で最初に食べた人を尊敬したい食べ物ランキング」でトップに選ばれたのは《くさや》でした。《くさや》は、 アジトビウオなどの魚を塩水に漬けて作る干物で、 伊豆諸島の特産品です。この塩水は長年にわたり繰り返し使用されて自然発酵した通称 「くさや液」と呼ばれるもので、これが独特の強いにおいを放つ素となっています。「くさや液」は熟成に時間が掛かることでも知られていますが、 室町時代から保存食として食べられていたため、中には400年物のくさやもあるのだとか! その正確な由来は明らかにされていませんが、当時の人がにおいを嗅いだ時のショックは想像を絶するものだったことでしょう。

 2位の《納豆》も、においの強い食品としておなじみです。納豆には 奈良時代に伝来したとされる 「塩辛納豆」と、その後に普及した 「糸引き納豆」がありますが、一般的に知られている「糸引き納豆」の由来には諸説あるようです。最も有名なのは、平安時代末期に起きた 「後三年の役」で、遠征中の 源義家が農民から差し受けた煮豆が数日後に俵の中で発酵して糸を引いたというもので、 秋田県横手市には 「納豆発祥の地」という記念碑が建てられています。

 見た目の強烈さならやはり3位の《ナマコ》でしょうか。縁起物として正月のおせち料理で食べられるほか、卵巣を塩漬けにして干した能登半島特産の高級珍味 「くちこ」が酒の肴として親しまれています。《ナマコ》も、その口先に肥大化した状態で付いている卵巣も非常にグロテスクで、初めて口に入れた人の勇気には頭が下がるばかりですね。グロテスクさなら引けを取らないのものといえば、 旧約聖書では食べることすら禁じられている 「悪魔の魚」こと《タコ》も忘れていけませんが、こちらは意外にも13位にとどまりました。世界のタコ消費量の実に6割を占めるという日本人にとって、《タコ》はもはや食べた人を尊敬するほど特別なものではないということなのかもしれませんね。