マンションの建て替えによる立ち退きとは?基礎知識や法律・費用まで解説
2020/11/14 更新

目次
そもそもどういう理由で建て替えが行われるの?
耐震補強を行うため
地震大国の日本では、大きな地震が頻発しており、そのたびに建物の耐震性が話題に上がっています。そのため、現状の状態では耐震性に不安のある建物についての建て替えが推奨されています。
大規模な地震が発生するたびに建築基準法が改正され、耐震基準が厳しく設定されています。地震被害を少しでも減らすためにも、耐震性の補強は必須であると言えます。
住みやすさの向上
マンションやアパートは建てられてから時間が経過すると、居住者の求めている当たり前を叶えられずに住みづらい物件となってしまうことがあります。3階以上あるのに階段しかなかったり、収納スペースが狭すぎたりといった理由が重なると空室が増加する原因になってしまいます。
そこで建て替えることで、現在の居住者のニーズに合わせることを可能にし、より多くの部屋を活用することができます。年々変化する居住者のニーズにあわせるためにも、建て替えは検討される場合は多いです。
しかし建築当時は法規制に適合していたけど、変更があり、現在の法規制に合致していない建物である「既存不適格建物」を建て替える場合には、現在の法規制に合わせる必要があるため、規模が小さくなってしまうことがあります。
建て替えにかかる費用ってどれくらい?誰が負担するの?
建て替えにかかる費用
では実際に建て替えをするに当たって、どのような費用が必要になるのでしょうか?ここからはかかる費用について具体的にご紹介します。
立ち退き料
立ち退き料とは、オーナー側が所有している不動産に住んでいる方に退去してもらうために支払う費用のことを指します。これは借地借家法で定められている「財産上の給付」に当たります。
これは住宅であれば引っ越し代に気持ち少し代金を上乗せする程度が金額の目安としてあげられます。値段の決まりがあるわけではないため、絶対この金額以上ということはありませんが、「1戸あたり40~80万円」が一般的と言えます。
しかし、この金額では納得しないという住民の方がいる場合には、それ以上の金額を出すことが求められますので、一旦1戸あたり100万円程度用意しておき、40~80万円に収めることができると良いと言えます。
そのため、10戸に立ち退き交渉をする際には100万円×10戸で1000万円程度の立ち退き費用を準備することが求められることとなります。
解体工事費用
マンションの建て替えを行う際にはまず既存の建物を解体するところから始める必要があります。そのためには解体工事費がかかります。
鉄筋コンクリート造りの建物の場合、解体工事費の目安としては「坪7~8万円」程度ですので、自分が解体を考えている坪数×7~8万円を描けた金額が解体工事費の目安となります。
しかしこれは目安ですので、実際に解体を行う場合には、工事業者に見積もりを出してもらうことが必要になります。
新築工事費用
現在の耐震性基準をクリアしている建物として多く建設されているのは鉄筋コンクリート造りの物件が多く、それを新築工事をする場合には坪90~120万円程度が新築工事費用としてかかります。
例えば1000坪の鉄筋コンクリート造のマンションを建設する場合にはおよそ9億円~12億円が新築工事費用となります。
また新築工事の場合には、不動産取得や地盤調査費用などの費用も計上する必要があり、それらは新築工事費用の5%を見込んでおくと良いと考えられます。先程の例の場合だと、4500万円~6000万円程度が付随してかかる費用になると考えられます。
これらの新築工事費用は、工事会社によって幅があります。安価に受注してくれる会社を探すためには、複数の建設会社を比較検討することをおすすめします。
建て替え費用は基本的に住民負担
居住者が住みやすくするために行う建て替えの費用は基本的に居住者の負担となります。先程の例でも上げましたが、なかなかの大きな金額を負担しなくてはならないため、建て替えに反対する方も多くいらっしゃいます。
後述しますが、建て替えに納得できない場合、建て替え費用を負担することなく、他の家へと引っ越すことも可能です。なので建て替えることになったからといって、もともと住んでいた住民で割る必要はないということですね。
建て替えもマイナスなことばかりじゃない?
ここまででは建て替えは現居住者にとって、負担の大きいマイナスのものと捉えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし建て替えも損するばかりではありません。
それは建て替えることでマンションの規模が拡大する場合です。過去の建築基準では建てることのできなかった規模の建物が規制緩和によって建設可能となっているケースがあり、それによってマンションの規模が拡大すると住戸数を増やすことができます。
住戸数が増えた分を販売し、その分を建て替え費用に当てることで現居住者は建て替え費用を負担することなく、新しいマンションに住むことができるのです。こういった以前よりも物件の規模が拡大するケースには現居住者にとって建て替えはプラスになると言えます。
また不動産を所有しているオーナーは、建て替えを行うことで今までかかってしまっていた修繕費の出費を抑えることが可能になったり、新たに減価償却費を計上可能になることから節税することも可能になります。
減価償却費とは、大きな金額を一度に費用計上するのではなく、何円もに分けて費用計上するという会計上の考え方で、鉄筋コンクリート造のマンションは47年間に分割して費用計上する必要があります。
その47年を過ぎてしまうと費用を計上することができず、利益が高くでてしまい高い税金を支払う必要が出てきます。そこで建て替えをすることによって、再度物件の減価償却費を計上することができるようになり、税金を抑えることが可能となります。
分譲マンションだと建て替えが少ない?
建て替えの実施件数は非常に少ない
2019年4月の段階で分譲マンションの建て替え件数は278件と、全国的に考えると非常に少ない件数となっています。
建て替えは基本的に30年を超えると実施され始めますが、日本にある約4万棟の分譲マンションのわずか0.7%程度しか建て替えは実施されていません。
なぜここまで分譲マンションの建て替え件数は少ないのでしょうか?ここからは分譲マンションの建て替えが少ない理由をご説明します。
建て替えが少ない理由:建て替え費用が非常に高額
分譲マンションの建て替えが少ない理由の1つは建て替え費用が非常に高く、住民の負担が大きくなってしまう事が挙げられます。
先程目安の建て替えにかかる費用をご紹介しましたが、その金額を1件あたりで考えるとおよそ1800万円程度かかると言われています。これは解体工事費や新築工事費、その他経費などが含まれます。
どれだけ条件が良い場合でも1000万円以上の自己負担が必要になるため、現居住者は多額の負担を強いられることになります。
建て替えが少ない理由:建て替えプロセスが長期に及ぶ
分譲マンションの建て替えプロセスは非常に複雑で、長い準備期間が必要であることも建て替えが少ない理由の1つです。基本的にマンションの建て替えの際には、ディベロッパーと協力して、計画段階から実行段階まで行われます。
ここからはそんな分譲マンションの建て替えプロセスについてご紹介します。
建て替えの全体計画を建てる
まずはじめには建て替えの全体計画を立案するところから始まります。建て替えた後の収益性や実際に取り壊し費用から新築費用までどの程度かかるのかという金額の目安を元に計画を立た上で、実行段階へと移っていく必要があります。
既存不適格建物の場合には、現在の法規制と照らし合わせ、今物件を新たに建てるためにはどのような条件を遵守する必要があるのかも同時に検討していくことが求められます。
その際に重要となる建築基準として、建ぺい率と容積率があります。建ぺい率とは敷地面積に対してどれだけの面積に建築物を配置してよいかの割合を示しています。具体的には、100平方m、建ぺい率70%の土地には70平方mの建物を建築することができるというものです。
次に注意すべきなのは容積率です。容積率とは敷地面積に対して延床面積がどれほどを占めるかを表しています。例えば100平方m、容積率100%の土地に2階建ての建物を建てる場合には、1階と2階合わせて100平方mまでの建物であれば建築が可能となります。
現在の基準に合わせて物件を建て替えるためには、初めの計画が非常に重要になってくるため、着手前に様々なことを考慮に入れておくことが求められます。
新規入居を止める
この時点で新たに居住者を増やしてしまうと、立ち退きの手間を増やしてしまいますので、建て替えの全体計画がおおよそ定まった時点で、空室部分への新規入居者を止める必要があります。
管理会社や不動産会社へ建て替えの予定があることを伝え、新規入居者は断るように言うことが必要です。しかし、建て替えまでに一定の収入を確保したい場合には定期借家契約を活用して一時的に人を住まわせることも可能です。
定期借家契約とは、定められた契約期間を更新できず、契約期間後は必ず退去する必要のある賃貸借契約のことで、この契約を活用することで、建て替えまで一時的に人を住まわせることが可能となります。
しかしその際には、建て替えが予定されていること、定期借家契約のみでの契約であることを明示する必要があります。更新可能である普通借家契約よりも新規入居者に不利な契約ですので、賃料も下げる必要があるかもしれません。しかし建て替えまでの一時的な入居者であるため、仕方ないと言えます。
どうしても貸さなければばならないという状況でもない限り、建て替えをスムーズに進めるためには空室のままにしておくことが良いでしょう。
立ち退きの開始
現居住者の立ち退きは建て替えを進めていく上で非常に重要ですが、実際に居住者がどのような反応をするかは行ってみないとわからないものでもあります。基本的に借主の権利は保護されていますので、立ち退きを進めることはなかなか難しいと言えます。
そのため、現居住者がある程度少なくなってから立ち退きを始めるとスムーズになるといえるでしょう。現居住者が多い場合には、立ち退き料として多額の費用を準備する必要が出てきてしまいますので、立ち退きを行うタイミングには注意しましょう。
工事計画を策定し、費用の確定
立ち退きや現入居者への対応を含んだ建て替え全体の計画を考えることと同時に、工事の具体的な計画も建てる必要があります。またその設計計画が定まったら工事費を確定させましょう。
具体的な工事計画を立てる際には居住者が今よりも住みやすい環境になるようにしましょう。例えば3階以上ならばエレベーターの設置を行ったり、オートロックシステムの導入を行うことが挙げられます。住みやすい住居づくりを行わなければ建て替えたとしても新しく入居する方がいなくなってしまいます。
工事計画を練り上げる際には、今の住民の不満の解消とともに、新しく入居する方々のニーズをしっかりと捉えるようにしましょう。
工事依頼をする
立ち退きが完了し、工事計画も完成したら、解体工事・新築工事を依頼しましょう。解体工事と新築工事を別々の会社にお願いすることもできますが、同じ会社に任せるとスムーズに工事が進むでしょう。
トラブル防止の観点からも、同一の業者に依頼することが良いと言えます。工事の際には騒音対策が重要になりますが、同一の業者に依頼することで、一貫した防音対策が行われることとなり、トラブル防止の繋がります。それらを踏まえて、工事費用を比較して業者を吟味しましょう。
それらに加えて、工事の開始前には近隣の住民や建物に工事を行う旨を伝えるのが常識的です。これは必ず行わなくてはいけないものではありませんが、トラブルの抑制や理解を得ることに繋がりますので、行うことをおすすめします。
管理方式の確定(管理委託・パススルー型サブリース・家賃保証型サブリース)
工事を開始してしまえば、しばらくは時間に余裕があります。その期間に新しい管理方式を決める必要があります。マンションの管理方法としては管理委託・パススルー型サブリース・家賃保証型サブリースが存在します。
管理委託はその名の通り、管理会社に管理を委託してしまう管理方式で、およそ家賃収入の4~6%程度が管理料の相場として考えられます。
次にパススルー型サブリースとは管理会社にマンションを賃貸し、管理会社がさらに新規居住者に貸し出す管理方式で、管理会社が第3者に貸し出すことで回収した賃料に応じてオーナーに賃料を支払うというものです。
建物オーナーには管理費として5%程度が差し引かれた分が振り込まれるため、管理委託と同程度の収益を得ることができます。
家賃保証型サブリースもパススルー型サブリースと同様、管理会社へと物件を貸し出すモデルですが、管理会社へと支払う費用は一定となる管理方式です。その際の割合は会社ごとに異なりますが、基本的に満室想定賃料から一定の金額が費用となります。
管理方式ごとに特徴がありますので、物件にあった管理方式を選ぶようにしてください。
建て替えが少ない理由:法律上建て替えにくい分譲マンションも多い
分譲マンションには法律上建て替えにくい「既存不適格」となってしまっている物が多く存在しており、それによって建て替えの決断に踏み切れないという理由があります。
現在に法律に不適格な部分がある「既存不適格」な物件は違法な物件というわけではありませんが、現在の基準を超えてしまっているため、建て替える際には規模の縮小が見込まれてしまいます。
規模の縮小とは具体的に「住戸の数を減らす」か「床面積を減らす」事が必要になり、どちらを行う場合にも、減らした住戸・床面積分の費用負担が大きくなってしまい、建て替えにくくなってしまいます。
建て替え以外にはどうなる?
ここまで分譲マンションの建て替えにくい理由について説明してきましたが、建て替えられずにそのままというわけではありません。建て替えが実施されない場合には「大規模修繕」か「敷地売却」という選択肢があります。
ここからはその「大規模修繕」と「敷地売却」についてご説明します。
大規模修繕
マンションは適切なメンテナンスを施すことで、30年を過ぎても住み続けることができると言われています。
特に劣化の激しい配管などの水道設備や不安が積もる耐震性の補強をしっかりとした修繕によって回収することができれば建て替えることなく、安全性・快適性を保つことができます。
また改修するだけでなく、改良を加えていくことで、住民の住みやすさを向上することに繋がり、空室率を減らすことに繋がります。建て替えほど全体を一新することはできなくとも、大規模修繕を行うことで、住みやすさを向上しつつ、マンションの寿命を伸ばすことができます。
耐震性が劣る場合には敷地売却も
2002年の法改正により、「マンション敷地売却制度」が活用できるようになったことから、耐震性が不足しているマンションを敷地売却することが可能となりました。
具体的には、マンションの耐震性を確認し、その不足が確認されたときには建て替えの際のように現居住者の5分の4の賛成を得ることができた場合には、敷地売却を行うことができる様になりました。売却した代金は各世帯の持分割合に応じて配分されます。
建て替えのように大きな費用負担がない分、この敷地売却は実行しやすく、建て替えの費用負担ができない方が多い場合に有効な手段であると言えます。
建て替えが決まったらどうすべき?
建て替えが決定されてしまった場合には建て替えに賛成して再入居するか建て替えに反対して立ち退くという選択肢があります。
建て替えに賛成なら再入居
建て替えに賛成し、費用負担も行うこととした場合には、建て替えが完了するまでの一時的な住まいを探して一旦移り住み、新居完成後に再入居することになります。
再入居する前に一時的な住居へと引っ越すために費用や仮住まいの家賃を負担する必要がありますので、建て替え費用とともに多額の負担がかかります。
それらを負担しきれない場合には、国や自治体が補助金してくれる場合があり、費用負担を軽減することができることがあります。東京都は建て替え中の仮住まいとして、都営住宅を提供していたり、満60歳以上の場合には住宅金融公庫による返済特例制度を活用し、お金を借り入れることも可能です。
しかし大きな金額負担は消えるわけではなく、最終的には自分で負担する必要があることに注意しましょう。
建て替えに反対なら、立ち退いて別の家へ
多額の金額が負担できない場合やそもそも建て替えに納得できない場合には、建て替えに反対し、立ち退くことが適切だと言えます。
建て替えに賛成せず、立ち退く場合にはマンションの権利を時価で売り渡さなくてはならない「売渡請求件」が使用されます。時価はマンション全体の評価額と住戸の配分割合で計算され、その計算に基づいた金額での取引が実行されます。
自分が建て替えに納得していなかったとしても、建て替えが決まってしまえば覆ることはありません。そのため、時価で物件を売り渡し、次の物件を探すことをおすすめします。
立ち退きに関する基本情報
自分の契約内容では立ち退き交渉が不要の場合も
物件の賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類が存在します。
普通借家契約と定期借家契約はどちらも物件の賃貸借契約ですが、期間後に契約更新ができるかどうかという違いがあります。普通借家契約の場合には契約更新が可能ですが、定期借家契約の場合には契約更新することができません。
近年一般的な契約は普通借家契約ですが、もし仮に定期借家契約を結んでいた場合には現居住者の立ち退き交渉をすることなく、建て替えを行うことが可能となってしまいます。契約書を確認し、自分はどの形態で契約をしているのか確認してみることをおすすめします。
更新できるかどうかを確認し、更新できるようでしたら普通借家契約だと言えます。
どんな理由なら立ち退くべき?
オーナー側が立ち退きを要求するためには正当な事由と立ち退き料が必要になります。ではこの正当な事由にはどのようなものが当てはまるのでしょうか?
借地借家法では正当な自由は「建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況」をもって考えられるとされています。
具体的には、建物が建物の老朽化が進んでおり、すぐにでも崩れる、または崩れてしまう可能性があるという状況ならば建て替えが認められることとなります。
これを保管する役割を果たすのが財産上の給付である立退き料です。立ち退き料は借地借家法状も明記されているものであり、払う必要のあるものなので、ごまかすことなく、支払われることが求められます。
正当な事由と財産上の給付は合わせて立ち退きに必要な要素であるため、しっかりと抑える必要があります。
立ち退き料ってどう決まるの?
立ち退き料は財産上の給付として支払うことが求められていますが、明確な計算方法は指定されていません。
一般的には前述しましたが、「1戸あたり40~80万円」、現在の賃料の6~10ヶ月分が一般的とされています。しかしこれらはあくまで一般的な金額であるだけで、細かい部分は賃借人とオーナーでの交渉で決めていく必要があります。もし次の新居の家賃が現状よりも高い場合には、それらの理由も説明して交渉していくとより良いでしょう。
土地の評価額が上がった場合のように土地を売却することでオーナーに多分の利益を出すことができる場合には早めの立ち退きが求められるため、高額な立ち退き料となる場合があります。そのような状況を踏まえ、しっかりと話し合うことをおすすめします。
オーナー側が建て替えの際に注意すべきこと
建て替えはオーナー・賃借人ともにデリケートな問題です。その際にオーナー側が特に注意すべきことがどのような事があるのでしょうか?
立ち退きは賃借人が行う必要がある
立ち退きは細かい交渉が求められ、お互いの妥協点を探すことは非常に大変です。それらの仕事を専門家に依頼したいという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし立ち退きは専門家に代理を任せることはできない決まりとなっています。管理会社や建築会社に任せるのではなく、基本的に自分が行うことが求められます。
しかしその例外として唯一認められているのが弁護士です。弁護士の方ならば代理人として立ち退きについて任せることができます。弁護士以外の方が代理人として法律行為に立ち会ってしまうと「非弁行為」と呼ばれてしまい、認められていません。
弁護士への依頼はもちろん費用もかさみますので、基本的には賃借人が行う必要があります。
裁判は避け、早期解決を目指そう
マンションの立ち退きの際には、交渉の段階でトラブルに発展してしまう可能性があります。トラブルが自分たちの間だけでは解決できない場合には、裁判も1つの手段ではありますが、あまり良い手段とは言えません。
マンションの建て替えの際に判断基準として用いられる借地借家法は賃借人の権利保護のために制定されている法律であり、裁判を行うとどのような状況であっても借主に有利になってしまいます。
そうなると裁判の費用を負担したとしても、立ち退きはうまく行かずに疲労のみが溜まってしまう結果となりますので、できるだけ裁判を行わないことをおすすめします。多少は立ち退き料を高く設定してでも裁判は避けるようにしましょう。
相手に嘘をつくことなく、本心で話し合うことで、裁判に発展することなく、立ち退きについての交渉を進めることができます。電話やメール、文書で済ますのではなく、しっかりと交渉の場を設けて対面で話し合うようにしましょう。
定期借り入れへの契約変更をすれば立ち退き料は必要ない
立ち退きは今後更新が可能な普通借家契約の居住者に対してのみ行う必要があります。そこで契約を更新して住み続けることのできる普通借家契約から契約更新を行うことのできない一時的な契約である定期借家契約に切り替えることで立ち退き自体が不要となります。
2000年3月以降に締結された普通借家契約は、借主と貸主の合意のもとであれば定期借家契約に切り替えることが可能です。そうすることで立ち退き交渉や立ち退き料の支払いが必要なくなり、建て替えをスムーズに進めることに繋がります。
しかし契約内容の変更は借主にしてみればメリットが存在しないため、定期借家契約への変更の際には、借主にメリットを作り出すことが必要となります。具体的には、賃料の減額が挙げられます。
減額する金額は決まりがないため、その部分は交渉となりますので、立ち退き料の支払いと比較して考える必要があります。もしも減額の交渉がうまく行かない場合には、定期借家契約への変更ではなく、立ち退き料の支払いを行うことをおすすめします。
建て替えを見込んでの物件購入は確実ではない?
後々建て替えられると見込んで物件を購入すれば、費用負担は大きいですが新築の家に住むことができます。そう期待して物件を購入しようとしている方も多いのではないでしょうか?
しかし建て替えを見込んだ物件購入には注意すべきポイントがあります。ここでは建て替えを見込んだ物件購入の際に注意したいポイントについてご紹介します。
建て替えを期待した物件購入で考慮すべきポイント
建て替えが行われやすい物件の特徴として、容積率が高いことや好立地の物件であることが挙げられます。容積率に余裕があったり、好立地な物件であれば、建て替えることで現在よりも多くの入居者を期待できます。
しかし建て替えが行われるまでの期間については、古い状態の家に住み続ける必要があることや建て替えの際には多額の費用を負担する必要があることも認識し、考慮に入れましょう。
建て替えを見込んでの物件購入の際には、建て替えが実際に行われるかどうかということは確約されていませんが、上記のポイントを考慮しておくことをおすすめします。
建て替えに必要な条件とは
建て替えは貸主が建て替えたいからと言ってすぐに行うことができるものではなく、マンションの組合員及び議決権総数の5分の4以上の賛成が必要になります。そのため建て替えを期待して購入したとしても、現住民の多くが建て替えに反対の場合には建て替えは実施されません。
また近隣住民や周辺地域の条件に応じて建て替えの計画は立てられるため、期待通りの建て替えが行われるかどうかということもわかりません。そのため、建て替えを期待してに物件購入はリスクが高いと言えるでしょう。
どういう物件が建て替え間近?見分けるポイントとは
建て替えの実施件数は少ないですが、行われる場合ももちろんあります。その場合にはどのような物件が建て替えられているのでしょうか?
ここからは建て替え間近物件を見分けるポイントをご紹介します。
人気エリアにある
建て替えは収益性の改善を見込んで行われるため、建て替えたとしても新規入居者が少なくては意味がありません。そこで注目したいのが物件の立地です。
人気エリアにある物件の場合だと、建て替えることによって資産価値が高まり、その後の新規入居者を見込むことができます。
周囲の建物と比較して階数が低い物件
周囲と比較して階数が低い建物は建て替えを実施することで現時点以上の部屋数を確保することができ、より多くの居住者を確保することにつながるため、建て替えられやすい物件であると言えます。
もちろん、地域ごとにどれだけの高さの物件を建てられるかという決まりがあるため、具体的な階数を指定することは不可能ですが、周辺地域の物件よりも高さがない建物を探すことで建て替えが近い物件を見つけることができます。
管理組合がしっかりと活動している
マンションを建て替えるためには計画立案から立ち退きの実施、工事依頼までを管理組合が行います。その管理組合が機能していなければ、そもそも建て替えが計画されることもありませんし、住民の賛成を募ることもありません。
管理組合が直近どのようなことをしているのかや過去どのようなことをしていたのかというポイントを見ることで、管理組合が機能しているかどうかを確認することができます。物件を確認する際には物件自体だけでなく、そのようなポイントにも気を配るようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回はマンションの建て替えによる立ち退きやそれに関する費用・法律をご紹介しました。全国的に数は少ないとはいえ、建て替えが行われている物件も存在します。突然建て替えとなっても焦らないよう、しっかりと知識をつけておきましょう!
本サービス内で紹介しているランキング記事はAmazon・楽天・Yahoo!ショッピングなどECサイトの売れ筋ランキング(2020年11月14日)やレビューをもとに作成しております。