検診は自覚症状が出てから受けるもの? 自覚症状がない人が受けるのが検診。症状がある人は病院で受診しましょう。

「健診」と「検診」は目的が違うが、どちらも無症状の人が対象


「健診」と「検診」。どちらもケンシンですが、それぞれの違いは意外に知られていないもの。健診(健康診断)は個人の健康の確認と病気の早期発見を目的としており、学校や職場で実施が義務付けられているもののほか、任意で受けるものもあります。また2008年から始まった特定健康診査(特定健診)は、病気の一歩手前の人も含め保健指導が必要な人を選び出し、病気を予防することが目的です。

一方、がんや骨粗しょう症、歯周病など、ある特定の病気の発見を目的としたものが「検診」です。「検診」の場合は「乳がん検診」「大腸がん検診」「骨粗しょう症検診」「歯周疾患検診」など、病気の名前がついているのが特徴です。
どちらも共通しているのは、無症状の人を対象にしているということ。自覚症状が出てから受けるものではありません。

自覚症状があった場合には、健診や検診ではなく、病院を受診して必要に応じた検査を受けることが必要です。よく、「検診は無料だから、検診を受ければいい」と言う人がいますが、検診は特定の病気を見つけるためのものなので、その病気以外で異常があった場合は発見することができません。また、自覚症状がある場合には、検診で行われる検査とは異なる検査が初めから選択される場合もあります。例えば対策型検診(次項参照)で行われる大腸がんの検査は便潜血検査ですが、急に便秘になった、便が細くなったようだといった自覚症状があって受診をすれば、初めから大腸内視鏡検査が予定されることもあるでしょう。また、検診のタイミングを待っているうちに病状が進み、早期発見であれば治ったものが治らなくなるということもあるので、症状があればなるべく早く受診することが大切です。自覚症状があって受診すれば、保険診療となります。

検診には「対策型検診」と「任意型検診」がある


ところで、検診の代表であるがん検診の場合、がんの死亡率を下げるために公共政策として行われる「対策型検診」と、人間ドックのように受診者が自分の目的によって選ぶことのできる「任意型検診」の2種類があります。

市区町村の住民を対象としたがん検診などは対策型検診で、基本的には国の指針に基づいて有効性が確立された5つのがん検診が行われており、費用は無料または少額の自己負担ですみます。

検診には「利益」と「不利益」があることを知って


例えば大腸がん検診の場合、対策型検診では便潜血検査を行い、便潜血陽性であれば精密検査として内視鏡検査などを行います。大腸の内視鏡検査は大変正確ですが、対策型検診としては推奨されていません。その理由は、大腸を空にする前処理に時間がかかる、一度に大勢の検査ができない、検査を行える医師が足りない、大腸からの出血や穴があくなど検査により合併症が起こることがあるなどのデメリットがあるから。
一方、任意型検診では、受診者がメリットとデメリットを十分に理解した上で、はじめから便潜血検査ではなく内視鏡検査を受けることもできます。

どのような検査も完璧なものはありません。病気を見逃すことがないとも言い切れませんし、異常がないのに病気かもしれないといわれる可能性もあります。どんな簡単な検査も利益(メリット)と同時に不利益(デメリット)があるのです。この不利益とは検査の合併症などだけを指すのではありません。異常がないのに精密検査を受ける可能性があることなどもデメリットなわけです。対策型検診はこうした点も考慮し、がんの死亡率を減少させることができるかを十分評価した上で有効な検診方法が選択されています。しかしもちろん、今後の医学の進歩とともに、そうした対策型検診の内容が変わっていくこともありうるわけです。

【参考】
『医師に聞けないあんな疑問 医師が解きたいこんな誤解』

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