秋の夜長にじっくりと読んでみたいものと言えば日本を代表する文豪たちの作品。 ケータイ小説を読み慣れた世代に向けて横書きの作品が出版されるなど、若い世代にも徐々にその魅力は広まりつつあります。そんな文豪たちの作品を読んでいてふと気づくのが、著者近影に写る彼らの意外なイケメンぶり。近年の作家では 島田雅彦神崎京介などが女性人気を集めていますが、文豪と呼ばれる男たちのイケメンぶりもかなりスゴいみたいです……。

 イケメンだと思う日本の文豪を聞いた今回のランキングでダントツの1位に選ばれたのは、1927年にわずか35歳でこの世を去った《芥川龍之介》。左手でほおづえをつきながらまるで映画俳優のように流し目のポーズをとっている彼の写真は、誰もが国語や歴史の教科書などで一度は見たことがあるはずです。2位につけたのは、この《芥川龍之介》の師にあたる明治・大正の文豪《夏目漱石》。実父と養父の確執、相次ぐ近親者との死別、教え子・ 藤村操の投身自殺と、決して幸せとはいえない人生を歩んだからでしょうか? 写真に写る彼の表情は何かを悟ったような、そしてどこか寂しげな雰囲気を漂わせています。ちなみに、《夏目漱石》は自著 『吾輩は猫である』の中で「打ちゃって置くと巌頭の吟でも書いて華厳滝から飛び込むかも知れない」という一節を残しています。この一節は 華厳滝に飛び込んだ藤村操に対する複雑な思いを表したもので、同時期に彼がうつ病を患ったのも、これが原因ではないかと言われています。

 上位にはこのほかにも、鍛え上げられた肉体美で写真家・ 細江英公の写真集 『薔薇刑』のモデルとなり、時代劇映画 『人斬り』では役者として 勝新太郎石原裕次郎との共演も果たした《三島由紀夫》や、39年の生涯に多くの女性と浮名を流した《太宰治》など、一癖もふたクセもあるイケメンがランク・イン。タイプこそまったく違いますが、男性ならではの色気を備えたこの2人、実は互いに嫌い合っていたとのこと。2人の写真を見比べると、それも何だかうなずけてしまいますよね。

 この《三島由紀夫》とも《太宰治》とも違う中性的な色気を感じさせる文豪が、その生涯を詩作活動にささげた夭折の詩人《中原中也》です。現在でも、山口県山口市にある 「《中原中也》記念館」などで彼の写真を見ることができますが、彼が18歳の時に撮影したと言われるお釜帽子をかぶって正面を見据えた写真は数ある文豪の写真の中でも最も印象的なもののひとつと言えるでしょうか。