「日本茶AWARD(アワード)」のお披露目大茶会「TOKYO TEA PARTY」が、12月6日(土)、7日(日)に渋谷ヒカリエ8階COURTで開催されました。2日間とも全国からお茶好きの方々が大勢詰めかけました。入り口入ってすぐには、試験管にディスプレイされているプラチナ賞受賞茶がずらり。お茶の葉を見たり、栓を抜いて香りを嗅いだりと、展示されている受賞茶に興味津々の方も。すぐ横には出品茶の販売スペースや、徳島県三好市の幻の「天空の山茶」のブースがありました。受賞者の方みずから呈茶してくれるサロンも大盛況で、予約不要ということでどの回も多くの方が詰めかけ、回によっては黒山の人だかりだったとか。

連日多くの来場者でしたが、中でも一般の方の人気投票によりグランプリを決めるテイスティング(試飲会)は、毎回多くの方が参加していて、皆さん真剣にきき酒ならぬ“きき茶”をされていました。テイスティングでは、「うまいお茶」「香りのお茶」各部門のプラチナ賞の19点のお茶を飲み比べます。どのお茶が何という情報は一切なしで、いわゆるブラインド審査です。試飲するお茶に関する情報がない先入観なしで、その場で見て飲んだ印象でマイベストティーを決めるわけです。2日間のテイスティングは全11回、参加者は約350人もいたそうで、下は9歳から老若男女のお茶好きの方々が参加されたとか。


■入賞茶19点を飲み比べ!テイスティングに参加

19点のプラチナ賞のお茶を飲めるということで、お茶好きの記者もテイスティングに参加してきました。あらかじめWebから予約しておいたテイスティング回の開始10分前までに会場にて受付を済ませ、お茶碗と審査票をもらいます。時間になったらテイスティング会場に移動し、指定されたテーブルに座ります。席は全部で5卓。1つのテーブルに6~7人ほど着席されていました。記者のテーブルは全員女性でしたが、全体的にはやや女性が多いかんじでした。

審査茶碗はビニールの袋の中にふきんに包まっています。袋からとり出してふきんを開くと、白い茶碗と一緒に甘い干菓子が2つ入っていました。参加者全員が同じ茶碗なので、審査の前にテーブルにあるシールをおのおの貼って見分けられるようにしておきます。

そうこうしていると、開催の挨拶がはじまり、審査方法の説明がされます。説明が終わると、いよいよテイスティング開始!!前方で日本茶インストラクターによって淹れられたばかりのお茶が、配茶スタッフによって各テーブルに運ばれ、テーブル中央のお盆の上に置かれた審査用茶碗に注がれていきます。茶碗に注がれたお茶は透き通った緑色だったので、おそらく普通煎茶かな、と色々と考えながら試飲していきます。水色の次は香気、そして滋味。
「お、おいしい!!」
待ちに待ったお茶だからか、なんだかとっても美味しいのです。体中に染みわたるお茶の旨み。この後のお茶の期待感がいやがおうにも高まるはじまりの1杯でした。

しかし、ゆっくり味わっている時間はありません。1個のお茶にかける時間は約1分。お茶ごとに、味、香り、全体の印象を1~4(1とても好き、2好き、3あまり好きでない、4好きでない)の4つの段階で○をつけていきます。飲んでは審査票に記入して、お茶碗をお盆に戻すと、また次のお茶が注がれます。それが全部で19回。さながらお茶の“わんこそば”状態です(笑)

最後の1杯を飲み終わると(走ったことはないですが)マラソンを完走したかのような、(登ったことはないですが)富士山を登頂したような達成感とすがすがしさに包まれました。最後に19種類の中からマイベストティーを1つ選んで記載します。正直19種類の中から1つを選ぶのは悩みました。どれも美味しいのです。それでもなんとか選んで投票しました。投票の1つ1つが集計され、今年の“日本茶大賞”グランプリが決まります。


「TOKYO TEA PARTY」の2日目、18時から受賞式が開かれ、【うまいお茶部門】と【香りのお茶部門】のプラチナ賞受賞者と、審査員特別賞の【ナチュラル・フレーバー部門】の方々が表彰されました。各賞が表彰された後、本日のテイスティング投票によって決まった日本茶大賞グランプリと日本茶大賞特別賞が発表されました!


■日本茶AWARD2014 第1回日本茶大賞グランプリが決定!!

栄えある第1回の日本茶大賞グランプリは、長崎県の茶友さんの蒸し製玉緑茶(49票)が受賞されました!

蒸し製玉緑茶(むしせいたまりょくちゃ)は、別名「グリ茶」とも呼ばれ、主に九州北・中部でつくられ、佐賀の嬉野茶などに代表されるお茶です。製造工程は途中までは普通煎茶と変わりませんが、最後に形を細長く整える精揉工程を行わないので、丸まった茶葉の形が特徴的です。お茶に癖がなく、渋味が少なく口当たりがまろやかなお茶です。関東では比較的深蒸し茶などが人気ですが、蒸し製玉緑茶が人気を集めたのは意外でした。

さらに、長崎の東彼杵町(ひがしそのぎちょう)という地域。茶の生産地としてはすごいメジャーではないかもしれませんが、東彼杵町は長崎県一のお茶(そのぎ茶)の産地です。隣接する佐賀県嬉野市(嬉野茶)と同様に茶の栽培が盛んな地域で、歴史的にみても室町時代までさかのぼります。

蒸し製玉緑茶「そのぎ茶」を今回はじめて飲みましたが、これまで飲んだことのないお茶との出会いも、「日本茶AWARD」の楽しさの1つかもしれません。


・(有)茶友
住所:長崎県東彼杵郡東彼杵町一ッ石郷874
http://chayou.jp/
※ネットでの注文やメールでのお問い合わせは対応していないとのことです。


■日本茶大賞特別賞【うまいお茶部門】は八女茶!

日本茶大賞特別賞【うまいお茶部門】には、熊谷光玉園さん(福岡県)の普通煎茶さえみどり(41票)が受賞。

熊谷光玉園さんはテイスティング開始後1つめのお茶で、最初に飲んでおいしー!と感動したお茶でした。やっぱり他の方も美味しいと感じたようで、みごと日本茶大賞特別賞を受賞されていました。

福岡県の八女は高級玉露の3大産地の1つですが、玉露だけでなく良質なお茶の産地でもあります。熊谷光玉園さんは、明治4年から続く八女茶の茶問屋です。入賞茶は品種「さえみどり」(普通)煎茶。「さえみどり」は、味の「やぶきた」を母に、天然玉露とも呼ばれる「あさつゆ」を父親に持つ交配品種で、味と色の分野で、それぞれ一番優れているという2つの品種を親にもつ、いわばお茶界のサラブレッドです。枕崎の茶業試験場で1965年に選別され、1990年に品種登録された品種です。全国の生産量の約7、8割を占める「やぶきた」と比べると、少し早く収穫できる早生品種。色が明るく冴えた鮮緑色で、渋味が少なくうま味があるお茶です。


スーパーなどで販売している一般に流通しているお茶では合組み(ブレンド)されているお茶が多いので、品種茶を飲んだことのない方は一度試してみては。それぞれの品種ごとに違う風味もおもしろいものです。


・(株)熊谷光玉園
住所:福岡県八女市井延187-3
http://www.kougyokuen.com/
※電話・FAXで注文可能。詳しくは上記ホームページをご覧ください。


■日本茶大賞特別賞【香りのお茶部門】は花の香りの釜炒り紅茶!

日本茶大賞特別賞【香りのお茶部門】からは、宮﨑亮さん(宮崎県)の発酵系のお茶(36票)が選ばれました。

品種「みなみさやか」の二番茶で作った紅茶で、花や果実のような華やかな香りが特徴です。水色は紅茶やほうじ茶の赤めの色で、飲むとお花のような香りが広がるお茶です。

そして、この紅茶、ただの紅茶ではありません。あえて言うなら、神級のレア紅茶なのです。
「みなみさやか」は全国でも希少な品種の為、あまり出会うことのない品種茶です。宮崎県総合農業試験場の育成品種で、平成3年に品種登録されました。アッサム種とコーカサス種の系統をもち、「やぶきた」より摘採期が遅いやや晩生品種。とにかく病気に強い品種で、ミルクティーを連想させる花香とさっぱりとした味が特徴です。

宮崎さん曰く、「もともとミルキーな香味の品種ですが、萎凋(いちょう)をかけるとクチナシ系の香りが発揚する面白い品種です。この品種の萎凋の香りは、発酵茶を作らずにはいられない魅力があります。」とのこと。葉を摘採後、日本の緑茶の多くはすぐに蒸して熱を加えます。しかし、摘採後ある一定の気温で葉を放置をするのが「萎凋」という工程で、そうすることで葉の酸化を進ませ、葉の中の香気成分が増えます。香りの高い中国茶・台湾茶の青茶(ウーロン茶)や紅茶で行われる工程です。

そして、受賞茶は釜炒りの紅茶です。これが、実にレアな作り方なのです。通常、紅茶の製造工程は「萎凋 ⇒ 揉念/揉切 ⇒ 発酵 ⇒ 乾燥」と、摘採後、葉に熱を加える工程(殺青)=釜炒りはありません。でも、この紅茶は製造工程のどこかで「釜炒り」をしているのです…謎です。

宮崎さん曰く、せっかく釜炒り茶の本場、五ヶ瀬で紅茶を作るのでどうしても炒り工程を入れたかった、とのこと。香りが特徴の品種「みなみさやか」を、萎凋・釜炒りしているので、さらに香りがよい紅茶になっているんですね。

とにかくすばらしい紅茶ですが、それもそのはずこの釜炒り紅茶は誕生する際にアイドル並みの選抜オーディションを通っているのです。宮崎県の茶業試験場とカワサキ機工が共同開発している最新の(萎凋)揺青機械で作った試験茶100サンプルの中から、最も香りが良かった紅茶として選びぬかれたお茶だったのです。

花香漂う謎に包まれた希少な釜炒り紅茶。「飲んでみたい」と思っても製造数も多くなく、「日本茶AWARD」のヒカリエでもすぐに完売になってしまいました。宮崎茶房さんのお茶はネットショップや東京都内のお茶屋さんで取り扱っています。詳しくはお店のホームページをご確認ください。


◆宮崎茶房
住所:宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町桑野内4966

・ジークレフ(TEA MARKET Gclef) 中国茶・台湾茶・日本茶
http://www.gclef.co.jp/tea/china.php
・九州・沖縄こだわりの特産品のお取り寄せ「銘品九州」
有機釜炒り茶(五ヶ瀬茶) みやざき紅茶のお取り寄せ 宮崎茶房
http://www.meihin-kyushu.com/mall/miyazakisabo/


■お茶は嗜好品。お茶の好みは人それぞれ

今回、1位の茶友さんが49票ということで、総投票数358票からみると全体の約14%になります。1位から3位で投票総数が126票、全体の35%だったわけです。上位の圧倒的な票数というよりも全体的に票がばらけているようなかんじがします。お茶は嗜好品なので好みもそれぞれ分かれて当然かもしれません。

実際飲み比べをしてみて、他の入賞茶ももちろん美味しかったです。加えて、日本茶とひとことで言っても、その個性の多さにも改めて驚きましたが、やはり審査を通ったお茶だけあってどれも美味しいのです。
あとは、「煎茶がいいわ」とか、「ほうじ茶が好き」とか、ほんとに好みによるかなーと思います。さらには、「ぬるめが好き」「やっぱりお茶は熱めがいい!」とかもあるので、一概には言えないのが日本茶の奥深いところでもあります。中には、家のお気に入りの急須や湯のみで飲むのが一番美味しいという方もいるでしょう。

また、お茶は農作物なので、お米やワインなどと同じように、その土地の条件や、その年の気候によっても変わってきます。
色々なところのお茶を、その年々で味わってみるのが、日本茶とのよい関わりあい方なのかもしれません。


また次回も「日本茶AWARD」に美味しいお茶が集まって、飲み比べできるのを楽しみにしています。


◆Event Data:
「日本茶AWARD 2014」
http://nihoncha-award.jimdo.com/


会場の画像を見るには元記事へ


・1月と2月に「日本茶AWARD」の受賞茶を飲むお茶会を開きます。申込み受付中!詳細は元記事よりご覧ください。


(satomin@日本茶インストラクター)