どうも、服部です。前回記事「【約80年前】1930年代の中国の映像がいろいろと衝撃的」に引き続き、旅行ドキュメンタリー映画のナレーター兼監督「ジェームス・A・フィッツパトリック」の作品を元に、昔の世界を紹介していきたいと思います。

今回はなんと、ここで紹介するこのシリーズ初の【テクニカラー】という技術を使ったカラー映像です。

【テクニカラー】をWikipediaを参考に簡単に説明すると、『特別なカメラを使用し被写体をプリズムで分解し、赤青緑それぞれのフィルターを通した画像を三本のモノクロフィルムに別々に同時に記録し、その後「ダイ・トランスファー方式」で一本の映写用フィルムを作成すると言う方式』だそうです。

技術的には全く分からなくても、当時全盛のモノクロ映像に比べて、ものすごく手が込んだものだということが分かります。1932年制作のディズニーアニメーション短編映画作品『花と木』がテクニカラー最初の作品だったそうなので、そのわずか5年後という当時の最先端の技術を駆使した映像だったわけです。

それも昭和12年(1937年)の日本の映像ということで、この記事執筆より77年前の映像です。ワクワクします。

ちなみに、昭和12年という年をダイジェストで見てみますと「第一次近衛内閣成立」「盧溝橋事件を発端に日中戦争勃発」「中央線で車内放送開始」「日独伊防共協定成立」「日本、大本営設置」など、後の大戦争へと突入しだした時代だったということが分かります。では、早速見ていきましょう。

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タイトルは『Floral Japan(花で飾られた日本)=著者訳』。
※以後の文中「 」でくくっている部分は、著者がナレーションを翻訳したものです。

これはチューリップ畑のようです。いきなりの鮮やかな色彩に驚かされます。「桜の花で知られる日本ですが、日本派生の花だけではなく、チューリップなども栽培されています。まるでオランダにいるかと思ってしまうような、オランダと張り合えるほどの美しいチューリップの栽培技術も持っているのです」

資生堂化粧品などと書かれた街灯が並ぶ通りを、和服姿の女性たちが歩いています。「日本人にとっての最も代表的な屋外での娯楽といえば【お花見】です。この自然が与えてくれる美を観に行くためには、どんな長い距離を歩くこともいといません」

絵画とカラー写真との中間のような色彩といえます。「日本という国は、大きいものから小さいものまで公庭から私庭を含めた、ひとつの壮大な庭園だと表現することもできるでしょう」

藤のような花が咲き乱れています。

こちらの女性は池の魚(鯉?)に餌をやっているようです。水面に映り込んだ木々の姿もまた美しい。

庭園の池の飛び石を渡る女性たち。「日本庭園の美しさを日本人が感じるように味わうなら、(自ら感じ取る才能を持ち合わせていない限り)庭園に置かれてある一つ一つの石の意味から理解しなければ、芸術的意味を見いだせないでしょう」

日本文化理解のためのハードルが高すぎます。



画像は(見えにくいですが)手を取り合っている2組の男女カップルです。アメリカ風にモデル依頼をされたのでしょうか?「日本に最初に自然を活かしたガーデニングを持ち込んだ仏教の僧は、必然的にそれなりに表現されるだろうと信じていたようです。庭というものは、そこの持ち主自身に影響するものであり、平均的な日本庭園は自然(move of nature)と所有者自身(mood of man)の両方を表しているのです(※韻踏み)」

「美しさと自然に対する愛情は、疑いなく日本の自然遺産を理解する取っかかりとなるでしょう。ひとつひとつの木や庭は、奉仕の芸術であり隠しの芸術なのです」

「日本人は1年を通して驚嘆すべき自然に包まれて暮らしているわけですが、とりわけ桜の花が咲く季節は、彼らの心を魅惑し、鼓舞させることとなります」

いつの時代であっても、桜が咲く季節は日本人をうっとりとさせるようです。





続いては、外国人にとっては絶対に気になるであろう女性の日本髪について取り上げています。そりゃそうですよね、世界中の女性を見ても、これだけセットに時間がかかる髪型というのはそうそう類を見ないのではないでしょうか。

時代の差がなければ、惚れてしまいそうな美人さんが髪を結われています。もちろん、結われる側も慣れたもんでしょう、タイミングに合わせて自身で髪を押さえていきます。

髪結いが終わりました。まずは後ろ姿から点検です。

そして前からの姿です。美しい! 現代に生きる者としては、この女性が現代風な髪型・メイク・服装をしたところを見たいなと思ってしまいます。もちろん、この日本髪でもキレイなのですが。

そして、髪の毛を整え終わったら、日本の「着物」の着付けもまた一人ではできない作業であります。2人の方に着付けてもらいます。

着付けが終わって鏡で確認します。時代関係なく、女性がお洒落着を確認する作業は愛らしいです。確認を終えて、ご満悦の様子。撮影班もこの笑顔を見たら、どれだけ撮影時間がかかろうとも満足というものです。

ということで、日本の景色(だいたい桜)と女性にまつわる紹介でほぼほぼだった観光映画の終了です。



【動画】「Floral Japan(花で飾られた日本=著者訳)」


いかがでしたか? 日本に残る多くの映像が昭和40年代までモノクロだったことを考えると、当時の人々は白黒の時代(薄暗い世界)を過ごしていたのでは、と勝手に考えてしまいがちなものですが、カラー映像で見ると、現代ともそれほど変わらない美しい時代だったんだなぁと感じたのではなかったでしょうか。

(服部淳@編集ライター、脚本家)