重要なミーティングの前など、ストレスを感じると、いつもお腹が痛くなり、冷や汗をかきながらトイレに駆け込む……。「お腹が弱い体質だから」と思いがちですが、それは「過敏性腸症候群」という病気かもしれません。

ストレスにより下痢や便秘になる


日本人のおよそ7人に1人が該当すると言われているのが「過敏性腸症候群」。ストレスにより、下痢や便秘を慢性的に引き起こすもので40代以下に多く見られる疾患です。過敏性腸症候群は、大きくわけて4つのタイプがあります。

1)下痢型

泥状や水のような便で、こういった下痢症状は男性に多くみられる。


2)便秘型

硬い便や、コロコロとした便。女性に多い。

3)混合型

下痢と便秘を繰り返す状態。


4)その他、どれにも当てはまらない

下痢は、細菌やウイルスの感染による腸炎、乳頭不耐症、大腸炎、大腸がんなどが考えられますが、検査してもこういった特定できる原因がわからない場合、下痢型の過敏性腸症候群だと考えられます。一般的な下痢と、過敏性腸症候群による下痢の違いは、原因がストレスということです。また、腹痛やお腹が張る、お腹が鳴るといった症状をともなうことも特徴で、排便により症状が緩和します。

実は、脳と腸には密接な関係があり、「腸は第二の脳」とも言われています。腸の動きは脳からの指令によって変化しますが、脳が不安を感じると、腸にもその影響が起きてしまうのです。そのため、ストレスを感じると下痢に。

まず、脳がストレスを感じると、腸の粘膜からセロトニンという物質が分泌。それが腸内にあるセロトニン受容体と結合すると、腸のぜん動運動が異常をきたすことがわかっています。特に、過敏性腸症候群の人は、この脳と腸の信号が伝わりやすくなっているため、より敏感に腸が反応してしまうのです。

ストレスを感じるとお腹が痛くなったり、急にお腹がくだることからトイレが不安になり、ひどい場合は不眠や抑うつ症状になる人もいるほど。「お腹が弱い体質」だからと諦めず、消化器内科を受診しましょう。不眠や抑うつ症状がつらい場合には、その後に心療内科を紹介される場合もあります。

生活習慣の改善が最善の治療法


過敏性腸症候群と診断された場合に、医療機関で行われるのは、主に生活習慣の見直しと、薬物療法です。まず、食事は決まった時間にとる、香辛料や脂っこいもの・乳製品・アルコール類を避ける、水分や食物繊維を多く摂るなど、基本の健康的な食生活にシフトをすること。また、散歩や軽い体操などの運動も取り入れることも効果的です。軽い運動は、腸の働きを整えるほか、気分転換にもなりストレスの解消にも。ほかにも、朝必ずトイレに座って排便を習慣づける、睡眠を十分にとるということも必要です。

薬物療法では、下記のような薬を用いることがあります。
  • 乳酸菌洗剤・・・腸内の善玉菌の働きを助け、腸内環境を改善
  • 消化菅運動調整薬・・・消化管の動きを整える
  • 抗コリン薬・・・腸の異常な運動を抑えて腹痛を改善
  • 下剤・・・腸の運動を活発にして便を柔らかくする
  • 高分子重合体・・・便の形状を改善し便通を整える
  • セロトニン3受容体抗薬・・・腸で分泌されるセロトニンの分泌を抑える

ストレスが強い場合には、心療内科でカウンセリングをした後に「抗不安薬」や「抗うつ剤」を処方される場合も。過敏性腸症候群は医師と相談しながら、生活習慣を少しずつ改善し、根気よく治していくのが近道です。

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