秋はまとめ髪がかわいい季節ですが、今年も、女性の髪を流れるように持ち上げて内側に巻き込んだクラシカルなまとめ髪“ギブソンタック”が流行中のようですね。うなじのラインが美しく、男性ウケも抜群の人気の高いまとめ髪です。

そんな“ギブソンタック”は19世紀末から20世紀初頭に活躍した人気イラストレーター、チャールズ・ダナ・ギブソンが描く美しい女性“ギブソン・ガール”の髪型を真似たものです。典型的な“ギブソン・ガール”とは、ヘアスタイルから顔立ち・ボディラインまで、すべてが優美な曲線で形成された、儚げで妖精のような女性たちです。

(https://twitter.com/murguiaromildo4/status/743996562330771456)

今回は、チャールズ・ダナ・ギブソンが描くギブソン・ガールのモデル、もしくは、ギブソン・ガール的な美を具現化したような、約100年前の美女たちの姿をご紹介したいと思います。

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■子鹿のような美少女は魔性の女?イヴリン・ネズビットと三角関係殺人事件

まず1人めはイヴリン・ネズビット。1884年生まれの米国のコーラスガール兼女優です。10代でデビューした当時は、新聞に“子鹿のように華奢な肢体と百合のように美しい顔、スミレのような青緑色の瞳”とを讃えられた伝説の美少女でした。

虫も殺さぬようなたおやかな少女に見えますが、実はかなりのトラブルメイカー。2人の大富豪、建築家のスタンフォード・ホワイトと、資産家の息子ハリー・ソウを手玉にとり、あげくの果ては彼女を巡って有名な殺人事件が勃発します。当時彼女の夫であったハリー・ソウが、彼女の元恋人で、結婚後も会い続けていたと言われるスタンフォード・ホワイトをミュージカル上映中に撃ち殺すという、後に映画化もされたセンセーショナルな“スタンフォード・ホワイト殺害事件”を巻き起こした魔性の女でもあります。

(https://twitter.com/TheaGood/status/766214238692077568)


■童顔巨乳でウエストは約46センチ?アニメ並み美女カミーユ・クリフォード

2人めは、ギブソン・ガールと言えばこの人、とも言える1885年生まれの舞台女優カミーユ・クリフォード。うずたかくふわりと結い上げられた髪型はまさにギブソン・ガールの象徴です。

切なげな表情の似合う悩ましい美女ですが、顔立ちよりも特質すべきは18インチ(約46センチ)と言われた細いウエストを中心とした、流れるようなシルエット。

童顔でウエストが細くふくよかな胸……男性の夢を実体化したようなリアリティの薄い美しさで、現代のアニメの中の美少女に通ずるものを感じます。

(https://twitter.com/quintanasegism5/status/770484487339798528)


■ミロのビューナスに最も近い顔?世界最高峰美女リリー・エルシー

英国の人気女優、1886年生まれのリリー・エルシーは子役出身で、1907年のミュージカル『The Merry Widow』でブレイクし、“世界一の美女”と言われるほどの名声を得ます。

可憐で優雅なダンスと、“ミロのビューナスに最も近い”と讃えられる美貌を持ちながら、本人は極めてシャイな性格であったという記録も残されています。そんな逸話を聞くと、読書する姿に知的で物静かな雰囲気を感じてしまいます。

(https://twitter.com/lima_g_bean/status/709813625532211201)


100年前というと、まだミニスカートもショートパンツも無い時代……。現代と比べると肌の露出自体はさほど大きくはありません。しかし、引きずるほど長くふわりと流れるロングスカートをまとっているのに、不思議なほど女性の"性”がデフォルメされています。ウエストはコルセットでキリキリと絞り上げ極限まで細く、バストやヒップはマシュマロのようにふくよか……まだまだ男性優位で“美しい女性”の価値が今以上に高かった時代、比例して女性本人の“美”への欲望や執着も高くなりがちです。拷問並みの努力によって作られた夢のボディラインは滑らかな布に隠されている分、よりいっそう官能的です。


(星野小春)