ネズミの好物といえばチーズ。往年の名作アニメーション「トムとジェリー」でもチーズを巡ってジェリー(ネズミ)がトム(猫)に追い掛け回される光景が繰り返し描かれているように、ネズミがチーズに目がないという事実はもはや人類の共通認識でしょう。


(ネズミ。可愛い)


けれども、チーズのバリエーションは千差万別。固形のものからクリーム状のもの、マイルドな味わいのものから塩気が強いもの、ほぼ無臭のものから鼻栓が欲しくなるようなものまで多岐に渡り、一説によると世界には1000種類以上のチーズがあるんだとか。実際、「チーズは全体的に好きだけど匂いがキツいブルーチーズは苦手」というように、種類によって好き嫌いがある人も少なくないのではないでしょうか。

で、次の疑問に至るわけです。


ネズミが一番好きなチーズはどれなのか?


とはいっても相手は物を語ることのない動物。インタビューするわけにもいかないので、

ネズミ自身に選んでもらいました。


(アクリルケージにチーズを配置し、ネズミを解き放つ)


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実験用のチーズは、スーパーなどで買い求めやすい身近でメジャーなものから10種類をピックアップ。下にそれぞれの特徴を記します。




ゴーダチーズ
オランダを代表するチーズ。比較的マイルドな味わいが特徴で、最も日本人の口に合うチーズとも。

チェダーチーズ
15世紀にイギリスで作られ始め、現在では世界で最も愛されているチーズのひとつに。やや酸味を伴う芳醇な旨味が特徴。

カマンベールチーズ
とろりとして濃厚な味わいが魅力のフランスチーズ。表面を覆う白い膜は白カビ。18世紀末に考案され、後にナポレオンに献上されたことで一躍世界的な人気を博すようになったそう。

パルメザンチーズ
パスタなどにふりかける粉チーズといえば大体これ。数年に渡る熟成を重ねてつくられるため濃厚で風味豊かな味わい。イタリアチーズの王様とも呼ばれます。

ブルーチーズ
2000年以上の歴史があるといわれるフランス産の青カビチーズ。強い塩味と、カビのピリリとした刺激、そしてなにより強烈な匂いが特徴。人類で最初にこれを食べた人は勇者か自殺志願者だと思われる。

モッツァレラチーズ
イタリア原産のフレッシュチーズ。チーズ独特の臭みやクセが少なく、ミルク本来の美味しさが味わえる。トマトと一緒に食べるとより幸せ。

エダムチーズ
オランダ生まれのハードタイプ(硬め)のチーズ。豊かなコクと酸味が伴う後味が特徴。ダニを付着させることで発酵させるという製造方法がユニーク。

マリボーチーズ
デンマークを代表するチーズ。酸味がありつつ、まろやかでおだやかな味。製法的にはオランダのゴーダチーズを踏襲しているんだとか。

サムソーチーズ
マイルドでクセがないのでピザ用のチーズとして人気。日本にも早くから輸入されているため、知らず知らずのうちに食べている人が多いかも。こちらもデンマーク生まれ。

プロセスチーズ
ここまで紹介してきたチーズを総称して「ナチュラルチーズ」と呼びますが、それらを何種類か混ぜあわせ、加熱してつくるのがプロセスチーズ。とろけるチーズやさけるチーズなどもこれ。日本人にとって一番身近なチーズかもしれません。



一応事前に予想を立てると、クセが少ないゴーダやモッツァレラ、サムソー、プロセスあたりが有望でしょうか。一方でブルー、カマンベール、エダムあたりは匂いが強く、嗅覚が鋭いネズミには敬遠されそうな気配がありますが……、

ともかく準備が整ったところで、実験開始です。


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ケージにネズミを移し、観察することしばし。ちょうど普段エサを与える時間だったのでまっしぐらにチーズに齧りつくかと思っていたのですが……、


じー、

キョロキョロ、

ぬっ(にっこり)。


いや、チーズを食べてくださいよ。

チーズに興味がある素振りすら皆無。ただ、慣れない環境に神経質になっていると思われるので、息を殺して観察を続けます。そして実験開始から十数分後、


ネズミがチーズに接近!


口にはしなかったものの、チェダー、カマンベール、パルメザン、プロセスの順に匂いを確認。とりあえず緊張がほぐれてきたようで、期待が高まっ、……てきたと思ったのですが……。


めっちゃ毛づくろいを満喫し始めたネズミ。

さらにチーズをガン無視して、ケージの突起を齧りまくるばかりか、

チーズを足場にして脱出を試みる始末(もはや食い物として認識してない)。


え、どういうこと? 君チーズ嫌いなん?


最初に数種類のチーズの匂いを嗅いだ以降、時折チーズに接近するものの、食べる素振りは完全にゼロ。なんだろう、近所のスーパーで買った格安チーズだからダメなのだろうか。もっとデパ地下とかの1個1200円くらいするチーズじゃないと食いたくねえという意志表示なのだろうか。ペットを値段で語りたくないが、それ君より高いんですけど(ハツカネズミはペットショップにて500円前後でお買い求め頂けます)。

こんな感じでなんやかんや、実験開始から2時間が経過(途中、ネズミへの負担を考慮して休憩と給水を挟んでいます)。

チーズを食べない理由として考えられるのは、お腹が空いていないからか、もしくは慣れない環境にまだ戸惑っていて食事どころではないからか。

そこで普段与えているひまわりの種をチーズの横に並べてみることに。


これでも何も食べなければ、実験の環境自体を再考する必要あり。


などと考えながら再びネズミをケージに戻した途端、


えぇぇ!?

めっちゃ食っとりますがな!


一心不乱。


まるで1週間漂流した後に初めて食事にありついたかのようながっつきっぷり。滅茶苦茶お腹が空いていたということか。え……、でもこれって、

ひまわりの種>各種チーズ

どころの話じゃなくて、お腹が空いていてもチーズなんか食べたくもなかったということ? ネズミってチーズ嫌いなの?

疑問を解消すべく、都内のあるペットショップのオーナーに話を聞いたところ衝撃的な事実が明らかに。

ペットショップのオーナー「ネズミは雑食だから基本的にはなんでも食べるんだけど、どちらかというと草食性が強いから好物は穀物や果物。チーズを積極的に食べることはないね。ネズミはチーズが好きっていう誤解って、中世のヨーロッパで貯蔵してあったチーズがネズミに齧られる被害が多発したことから生まれたんだけど、それはエサとして齧ったんじゃなくて、巣を作るためだったっていう説が有力。むしろチーズは塩分が高いから、あんまり頻繁に食べさせないほうがいいよ


……、えー、結論になります。ネズミが一番好きなチーズは何か?


ネズミはチーズが苦手です。



●おまけ

苦手な中でも、強いてどのチーズが好きかというと、

(ひまわりの種を食べた後に、ほんっっっの少しだけ齧った)

マリボーチーズかもしれません。



(ニノマ)