横山秀夫のベストセラー小説を映画化した「64-ロクヨン-前編」が5月7日より公開されます。わずか7日間しかなかった「昭和64年」に起こった少女誘拐殺人事件をめぐる人間ドラマです。


いっぽうTwitter界隈では、平成生まれと思しき方がまとめたこんなページが話題です。

・「昭和64年が存在していたらしいっていうNAVERのページがマジであって笑うんだが。昭和64年が7日間で終わったのは常識だと思ってたんですがね...」


リアルタイムで「大喪の礼」を見た世代にとっては衝撃ですが、無理もありません。もう27年も前の話です。
当時の日本の総理大臣は竹下登。そう、DAIGOのおじいちゃんです。

1989年をふりかえる場合、たいていは1月7日に開催された“平成おじさん”こと小渕恵三官房長官(当時)の記者会見映像からスタートしてしまうため、「昭和64年」の印象はどうしても薄れがちです。
そこで今日は、あらためてこの7日間に起きた、皇室関連以外の出来事をふりかえります。

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■1月1日(日):BARBEE BOYS「目を閉じておいでよ」発売

のちにBARBEE BOYS最大のヒット曲となるシングルは、昭和64年の元日、しかも日曜日の発売でした。当時の彼らのイケイケぶりが伝わってきます。
同じくこの1月1日には朝日麦酒株式会社が「アサヒビール株式会社」へ商号を変更。また夜8時には大原麗子主演のNHK大河ドラマ「春日局」の放送もスタートしました。


■1月2日(月):「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」放送開始

衝撃的な演出の数々でいまだに語り草となっているこの番組は、もともと昭和64年の正月特番として企画されたものでした。前年の秋には昭和天皇の体調悪化が伝えられ、世間はすでに“自粛”ムード一色。「笑っていいとも!」からはオープニングの「ウキウキWatching」が消え、「明けましておめでとうございます」の挨拶は「謹んで新年のご挨拶を申し上げます」へと変わっていた中で、なぜこんな番組が放送できたのかは謎です。

またこの日には、昭和64年で唯一のオリコンチャートが発表されています。1位の顔ぶれは以下のみなさん。

・シングルチャート1位:長渕剛「とんぼ」(1988年10月26日発売)

・アルバムチャート1位:BOOWY「“SINGLES”」(1988年12月24日発売)


長渕剛「とんぼ」は、自身の主演したドラマ「とんぼ」の主題歌として大ヒットし、この週で5週連続1位を獲得。いっぽうのBOOWY「“SINGLES”」は、1年前の1987年12月24日の解散発表、1988年4月4日、5日の「“LAST GIGS”」を経て発売された、事実上のベストアルバムでした。


■1月3日(火):体操・内村航平選手の誕生日

当然ながら、昭和64年生まれの有名人もいます。出世頭は体操・全日本選手権9連覇中の内村航平選手(コナミスポーツ)。同じ1月3日には、さきごろAKB48グループからの卒業を発表した梅田彩佳も生まれています。またボクシングの亀田大毅選手も1月6日生まれ。2004年に弱冠15才で阪神タイガースからドラフト指名され話題となった辻本賢人投手(1月6日生まれ)は、現時点で唯一の「昭和64年生まれの(元)プロ野球選手」です。


■1月4日(水):ファミコンソフト「がんばれゴエモン2」発売

ファミコン初期の名作アクションゲームに続編が誕生。このころ小学生にとってファミコンソフトの発売日は一大イベントでした。それにしても内村航平の誕生日の翌日に発売とは…コナミとの運命を感じます(偶然)。


■1月5日(木):高橋良明 バイク事故

将来を嘱望されていたアイドル、高橋良明は1月5日深夜、プライベートでバイクを運転中に歩行者と接触し、バランスを崩して駐車中の自動車に激突。翌日にはいったん意識も回復したのですが、1月23日、16才の若さでこの世を去ります。
高橋は1日に始まったばかりの「春日局」にも出演していました。すでに出演シーンは収録済みで、ストーリーに影響はなかったのですが、後日放送された総集編では彼のシーンがカットされました。


■1月6日(金):ドラマ「はいすくーる落書き」放送開始

斉藤由貴演じる新米教師と、工業高校の不良少年たちの成長を描いたドラマの第一作もこの年でした。ドラマの世界観にマッチした主題歌、THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」も好評だったのですが、「工業高校に対する偏見を助長する」という趣旨のクレームが寄せられたことから、現在では再放送、ソフト化が困難な状況に。


■1月7日(土):第68回全国高校ラグビー大会決勝が中止。両校優勝に

昭和天皇はこの日の午前6時33分に崩御。これをうけ、近鉄花園ラグビー場で開催予定だった第68回全国高校ラグビー大会決勝は中止が決定。茗溪学園(茨城県代表)と大阪工大高(大阪府第一代表、現・常翔学園)の両校優勝という措置が取られました。いっぽうこの日に準決勝が予定されていた全国高校サッカー選手権は、日程を2日延長して開催されました。

なお全く関係ありませんが、当時「ニュースステーション」のサブキャスターとして人気だったテレビ朝日アナウンサー(当時)の小宮悦子はこの日、1度目の離婚をしています。仕事とプライベートでさぞ忙しかったことでしょう。



■バブル絶頂に訪れた一瞬の静寂、それが「昭和64年」だった

1月4日、株式市場も幕を開けます。この日の日経平均の終値は30,244円。株価はこの年の年末まで上昇を続けます。まさにバブル絶頂ではありましたが、前年から続く"自粛"ムードの中、世間にはどことなく騒ぐことが許されない空気が漂っていました。真相は定かではありませんが、ロッテ「V.I.P.チョコレート」のCMでは、新作チョコレートがいよいよ登場することを意味する工藤静香のセリフ「その日が来ました」が、いわゆる『Xデー』を連想させるとして差し替えに。また日産「セフィーロ」のCMでも井上陽水の「みなさんお元気ですか~?」のセリフが消され、しばらくの期間、陽水が口をパクパクさせるだけのシュールな映像が使用されました。

「昭和64年」は、人々が日常と非日常の間で揺れうごいた、不思議な7日間だったのです。


(バブル時代研究家 DJGB)


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