西洋医学と東洋医学の違いは、木と森で例えられます。西洋医学は木。体が異変を起こすとその症状を抑えたり、悪くなった部分を切り落とします。つまり部分的な治療。それに対して東洋医学は、体(森)のバランスを考えるもの。つまり治療で体全体のバランスを取り戻していき、健康体にするのです。

その考えに基づき、漢方では、更年期障害の原因を「腎虚(じんきょ)=下半身の筋力・血流低下」と考えて治療をします。

下半身に集まった血液を下す漢方薬の働き

卵巣は、閉経期になるまで排卵し、毎月妊娠に備えます。妊娠が成立しなければ子宮内膜がはがれて月経になります。卵巣と子宮は、閉経を迎えるまでフル稼働しているのです。

「しかし閉経を迎えると、卵巣と子宮の血流は急激に減少します。卵巣と子宮は下半身にある臓器ですから、卵巣と子宮の血流が減るということは、下半身へ供給される血流が減るということです」と教えてくれたのは、石原クリニックの石原新菜先生です。

「今まで下半身を流れていた血液が十分に流れないと『頭熱足寒』になり、下半身が冷えるのに上半身がのぼせる『冷えのぼせ』、ホットフラッシュ、突然の発汗、動悸、イライラなどの症状が現れます」(石原先生)。
その時、血の異常である「血虚(けっきょ)」や「瘀血(おけつ)」を伴うことも多いそうです。

「また、漢方では上につきあげてくる症状を『昇症(しょうしょう)』と言いますが、これは下半身の血流が低下し、上半身に血液が集まるために起こります。そのため、下半身をよく動かして血液を集めることが大事です」(石原先生)

更年期障害に効く漢方薬

更年期障害に効くとされる漢方薬には以下のようなものがあります。ただ、その人の体質や状態は自分ではわかりにくいので、自己判断はせず、漢方医や漢方薬局、漢方を処方する婦人科で相談しましょう。

●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)……更年期障害で、うつ症状がある場合。冷え性で疲れやすい体質、神経質な人。気分が塞いで、のどに何か詰まっているように感じがする、めまい、動悸、吐き気などの症状がある

●八味地黄丸(はちみじおうがん)……下半身の筋力低下が著明な場合。体力がなく、高血圧、糖尿病、腎臓病がある人。疲れやすい、だるい、足腰の冷えや痛み、しびれがある、頻尿、乏尿などの排の異常がある

●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体力がなく、色白で皮膚がやわらかいタイプの人。冷え症、肩こり、頭痛、めまい、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力があり、赤ら顔で体格がよいタイプの人。肩こり、頭痛、のぼせ、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●四物湯(しもつとう)
体力がなく、顔色が悪く(茶色っぽい)、しもやけになりやすい、肌が乾燥しやすいタイプの人。冷え症、肩こり、頭痛、めまい、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●加味逍遥散(かみしょうようさん)
体力がないタイプの人。不安、不眠、イライラなどの精神症状がある。冷え症、肩こり、頭痛、めまい、足が冷えるのに上半身だけ熱い、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●六味丸(ろくみがん)
比較的体力が低下した人。疲れやすい、足腰の冷えや痛み、しびれがある、頻尿、夜間頻尿、乏尿などの排尿異常がある場合。

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