どうも服部です。昭和時代をさまざまな形で振り返っていくシリーズ記事、今回は以前も何度か紹介した、2016年4月4日スタートのNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題である雑誌のモデル、「暮しの手帖」を取り上げていきます。

今回取り上げたのは、1958年(昭和33年)発行のもの(当時は年間5冊発行)。昭和33年といえば、東京タワーが完成、巨人・長嶋茂雄選手がデビューを飾り、日清がチキンラーメンを発売、ホンダが原付バイクのスーパーカブを発売するなど、明るい話題がふんだんに詰まった年でした(そして「とと姉ちゃん」第1話の冒頭シーンも昭和33年でした)。

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まずは2月5日発行の43号から見ていきましょう。98ページ目には「A.D.2008年の暮らしの手帖 アメリカ版」と題してある、ひときわ目立つ赤色の扉が。内容は「PARENTS誌から転載」のようです。「PARENTS誌」とは現在も発行されているアメリカを代表する育児専門誌です。

ページをめくってみると、西暦2008年、この号発行の50年後の世界の青写真が綴られていきます。通勤時間の無駄を減らすため、自動車ではなくヘリコプターなどで都市へ移動するようになる、といった残念ながら現実となっていないものもありますが、「テレビは思いもよらない使い方ができるようになっていますし、もっと便利な即時通信連絡の方法もできていますから、大きな仕事をする人は郊外に事務所を建てます」と、インターネット時代を予想したような凄い想像力のものも。

こちらでは、「テレビ電話のおかげで、いちいち買物に出かけなくても、品物をえらぶことができるように」と、これまたネット社会を予想したような内容が。

続く「50年后(後)のメニュウ」という扉より、2008年の食生活予想が綴られています。食については、さすがアメリカ、この当時から冷凍食品や加工食品が多種あるだけに、予想はかなり的確。「加工された肉を買うことになる」や「将来のたべものには、もっと多くの栄養素が加えられることに」などなど。

(当時はほとんど料理をしていない)お父さんも台所へ頻繁に顔を出すようになり、「男性のための料理読本」のような本がベスト・セラーになるとまで予想しています。凄い。



続いて同号112ページからは「『流行』はなくなった」という特集。その冒頭では、戦後の生活の変化を端的に物語っています。この時代を生きてきた人にしか書けないだろうリアルさが感じられます。

ページをめくると、なぜ流行がなくなったのかを説明しています。「最も大きな原因は、商品が数多く種類も豊富に出まわって来たということと、もう一つは、買う方の側が、間に合わせの時期を過ぎて、しっかりしたものをひと通り買ってしまったということだと思います」。

「もう、これまでのような『流行』は作れなくなる」という見出しの下には、「宣伝をし、金を使っていろいろとやってはみるのですが、流行が起りそうになるだけで起こって来ません」とあります。

あれ、でもこれって、インターネット時代になってマス広告が効かなくなったって、最近聞いたような話ですね。これまた50年近く後の世の中を予想しているようにも感じてしまいます。



続いては、レモンの画像がまぶしい5月5日発行の44号を見ていきましょう。この号の巻頭特集である「電気の買い方」から。「電力自由化」の開始したばかりの現在にふさわしい内容です。

ページをめくると「あの夜をおぼえていらっしゃるでしょうか」という見出し。「あの夜」とは、戦争が終わった日の夜のことのようです。夜間空襲の目標となることなどで戦時中は「灯火管制」が敷かれ、夜間の照明は最小限にし灯りが漏れないよう努めていたものが、終戦でその必要がなくなり、戦争が終わった夜には町いちめんに灯りがともったそうです。

次のページは「もとは一つの電気が こんなにいろいろの仕事をします」という見出し。終戦時には、一般家庭ではほぼ灯りのための電気だったのが、戦後13年で電気の役割が随分と増えていったということを述べています。

「電気のねだんのつけ方は超高等数学的」という見出しと「なにがなんだか さっぱりわからないのです」という小見出し。家庭用電気代は電気を多く使うほど基本料金は上がるのに、家庭よりも断然電気を使っている工場などの電気代は、家庭用の半額程度であることを皮肉っています。うまいですね(電力自由化も、もっとわかりやすくしてほしい)。

当時の家電売り場の写真が並びます。右ページは洗濯機、左ページは上からミキサー、アイロン、トースター、炊飯器のようです。こちらでは、電化製品のスタンダードモデルがずらずら並んでいます。なんでしょう、この心安らぐデザインは。



まだまだ紹介したい内容が山盛りですが、次回以降で再び取り上げたいと思います。

(服部淳@編集ライター、脚本家)