悪い座り方が腰痛を招いている

現代人は1日の半分近くを座って過ごすと言われています。現在、日本には2800万人の腰痛患者がいると言われていますが、その大きな原因の一つが「座り方」であると指摘するのは、腰痛の専門家である伊藤和磨さんです。
「もともと人間の骨盤は、座ることに不向きな形状をしているため、姿勢への意識を働かせ続けないとすぐに骨盤が後ろに傾き、猫背になってしまいます。この猫背姿勢が腰痛の元となります」

日本人はイスに座るのが苦手

床に座る生活様式が長く定着していた日本人は、イスに座ることに慣れていない上、身体特性上、イスに座る姿勢が悪くなりやすいと伊藤さんは指摘します。
「農耕民族である日本人は前かがみの作業が多く、欧米人に比べて体の重心が前面に偏りがちという特徴があります。そのため、イスに座る時にはお尻全体で浅く腰をかけ、背もたれに体を預けて猫背になって座る人が多いのです」
こうした悪い姿勢の方が楽に感じるのですが、実際は筋肉にダメージを与え続け、血流を滞らせることで腰痛をはじめとする不調を引き起こす原因になっています。この悪循環を断ち切るためには、正しい座り方を身に着けて、「良い姿勢=ラクな姿勢」にしていくことが大切です。

まずは骨盤を立てた「立腰姿勢」で座る

背骨はS字カーブを描いている時に体への負担が最小になります。この理想的な姿勢は、骨盤を立てた「立腰(りつよう)姿勢」と呼ばれる状態。まずはこの姿勢をキープできる座り方を身に着けましょう。

立腰姿勢は、次の3ステップで作ります。

【1】脚を開いて座り、足裏を地面につける
開脚によって骨盤を立て、上半身の重さを足裏で支えます。

【2】あごを引く
頭の位置を安定させ、骨盤をロックします。

【3】肩甲骨を下げる
上体を起こして腹圧が上昇、体幹が安定します。

立腰姿勢をとるのが難しいという人は、こうした姿勢に強制的に導くイス(アーユルチェアーなど)や姿勢矯正座面シートを使うのもおススメです。

立ち座りでは「お尻」を使いこなす

イスから立ち上がる時に椎間板にかかる重さは、男性800kg、女性600kgと言われています。この負担を軽減するには、「お尻」を使いこなすことがポイントです。
立ち上がる時は、基本の立腰姿勢から、目線を上に、太ももに手を当ててお尻を突き出すようにしながら立ち上がります。