女性アイドル・グループのカテゴリにいながら、センターでは口ひげをたくわえたアフロの伊達男が軽快にステップを踏んでいる――これ、誰かの冗談交じりの妄想ではなく現実です。

こんなグループが本当に存在するのです。はじめて目にする人の違和感はどれほどでしょうか。

第三回目は、清竜人25をご紹介します。
清竜人25(きよしりゅうじんトゥエンティーファイブ)は、清竜人とその妻6名による一夫多妻制アイドル・ユニットです。

もう一度いいます。
清竜人25は、清竜人とその妻6名による、一・夫・多・妻・制・アイドル・ユニットです。

夫である清竜人と、清咲乃(第1夫人)、清桃花(第2夫人)、清亜美(第3夫人)、清美咲(第4夫人)、清可恩(第6夫人)、清優華(第7夫人)の7名で構成されています(第5夫人は活動休止)。2014年夏に結成され活動期間はまだ1年と少し。

女性アイドル・グループのなかに男性が混じっているだけでもすさまじい異物っぷりですが(しかもセンター)、さらに女性メンバーがすべて妻(という設定)なのですから、“色物”と思われても仕方がない。でもそれが決して単なるにぎやかしではなく、いままさにアイドル界の中心に躍りでているところなのです。

それだけではなく――TOKYO IDOL FESTIVALや@JAM EXPOなどの大型フェスにも出演するなど女性アイドル・グループのイベントを主戦場にしながら――ROCK IN JAPAN FESTIVALといったいわゆるロック・フェスにも姿を現すなど、活動の場は広がるばかり。オタクのみならず一般の音楽ファンの認知度も急上昇中です。


■奇才・清竜人

女声パートを切り裂くように放り込まれるしゃがれた美声が特徴の“不動の”センター清竜人。
プロデューサーも兼ねる(要するに首謀者の)この人物については、「天才シンガーソングライターである」という紹介だけにとどめておきます。以下、動画をふたつほど。

この人が数年後――

(YouTube動画)
清竜人「痛いよ」(2010年)

こうなります。

(YouTube動画)
清竜人25「Will You Marry Me?」(2014年)

清竜人ソロと現在のグループとのギャップも楽しいものですが、「Will♡You♡Marry♡Me?」のPVをご覧いただければ、そもそも1stシングルからすでにグループのコンセプトが練り上げられていたことがわかるはずです。

なお、ちょっと恣意的に動画を並べてしまいましたが、「痛いよ」と「Will♡You♡Marry♡Me?」との間には、女優の多部未華子や声優の堀江由衣などが参加した『MUSIC』(2012年)という奇妙なアルバムがありまして、この時期の活動を思い起こせば、清竜人にとってはこのグループをつくった必然性があるんだろうな、と納得してしまったりします。


■音楽が彩るラブコメの世界

PVでの夫と夫人たちのいちゃいちゃぶりは、ステージ上でさらに加速していきます。お姫様だっこ、甘い口づけなどが振り付けに組み込まれているのですが、夫である竜人のアドリブはとどまるところを知りません。ついには、寝転がって夫人のスカートのなかを覗こうとしたりとやりたい放題。でも、会場は拍手喝采です。

一言でいってしまえば、清竜人25において夫と何人もの妻たちが見せるのは、ハーレムのなかで繰り広げられるラブコメの世界です。ラブコメなのだから、男女がいちゃいちゃするのは当たり前なのです。そこに「Will♡You♡Marry♡Me?」をはじめとするミュージカル調の心浮き立つ楽曲たちが彩りを添えていきます。

楽曲の鑑賞、ライブへの参加――そのどちらでも、流れに身をまかせているうちに、“絵づら”やコンセプトから受けた違和感が軽く吹っ飛んでいきます。その感覚が消え去っている――つまり世界観を自然に受け入れていることに気づいた瞬間、オタクでない人たちも、とんでもなく幸せな心地がからだのなかを満たしていることに気づくでしょう。

清竜人25未体験の方は、まずは音楽とビジュアルの両方を備えたPVから入ることをおすすめします。聴覚と視覚、両方一気に行ってしまってください。

この9月には、折よく結成1年を迎える節目に合わせ、1stアルバム『PROPOSE』がリリースされています。“結婚”から“死別”までの夫婦生活を封じ込めた完璧なコンセプトのもとにつくられた“前代未聞の”傑作をぜひ。

また、去る9月6日からは全国ツアー、その名も「ハネムーン♡ツアー」がスタートしています。僕も初日のTSUTAYA O-EASTに足をはこびましたが、デビュー時から完成されていた様式美はワンマンライブでさらに魅力を増していたことを記しておきます(これは間違いなく、夫人たちの努力のたまもの)。

■まだいる、男性メンバー所属グループ

調子に乗って一応補足しておくと、男性が混じっている女性アイドル(のカテゴリで活動する)グループはまだまだ存在します。でも、AAAとか、ようかい体操のDream5とかではありません。

女装シンガー(オーストラリア出身、金髪ロン毛にひげの大男)のビアードを含む三人組LADYBABYや、押井守の「ケルベロス」に登場するようなパワードスーツに身を包んだこれまた巨漢の“神崎部長”を擁するデスラビッツなどがそれにあたります。

両者とも、かわいいを表現する楽曲のなかで突如、男性メンバーがデスボイス(メタルでお馴染みのがなり声のこと)を放つのが特徴です。アイドル・ソングなんですけどね。

(YouTube画像) ちなみにデスラビッツはこんな感じです。

清竜人25とは異なり、なにをどうやっても違和感が拭い去れません。これで楽曲が良いのだから始末に負えない。最高です。

さらに、福岡を拠点に活動する青SHUN学園にいたっては“オカマ”が2名所属しています。2名です。

女性アイドル業界、どうかしてますね。

(小池啓介)