値段が高く、高級なイメージのある霜降り和牛。めったに食べられないけれど、あのとろける味が忘れられないという人も多いはず。なぜあんなにおいしいのでしょう。肉のおいしさを研究する日本獣医生命科学大学の松石昌典教授にうかがいました。

脂肪が口のなかでとけるのは

「和牛のおいしさはうまみもさることながら、肉と脂肪が一体となったやわらかさが特徴です」と松石教授。国産牛は、松坂牛、神戸牛などのブランド牛で知られる黒毛和牛や乳用牛がありますが、黒毛和牛は「サシ」とよばれる赤身の中に入り込む細かい脂肪が遺伝的に入りやすい種類なのです。高級な霜降り牛では、赤身の肉の中になんと脂肪が約50%もしめるそう。そのため、繊細な肉のやわらかさをつくっています。

さらに牛肉の脂肪は、常温ではかたまっているけれど、温度が高くなるとすぐに溶ける性質があります。そのため、サシの入った肉を薄く切ることができるし、調理したり、口の中にいれたりするとすぐに脂肪が溶けだし、なめらかな舌触りを感じさせてくれるのです。

甘い香りがおいしさのきめて

「肉のおいしさには、香りも重要なのです」と松石教授は続けます。焼肉や鉄板焼きなどで、牛肉を焼いたときのにおいはとてもいいにおいがします。そして、肉を口にいれたとき、甘くてコクのある香りが、口の中にひろがるとともに鼻にぬけます。

松石教授らは牛肉の香りの成分を分析しました。すると和牛特有の甘い香りがあることをみつけ、この香りを「和牛香」と名付けました。不思議なことにこの香りは海外の牛にはありません。和牛特有の香りなのだそうです。

「和牛香は赤身と脂身が接している部分が酸素にふれるとできることがわかりました。ですから、100g1000円以上のよい肉だったら、牛肉を皿に広げて並べ、かるくラップをして一晩冷蔵庫においてみてください。和牛香をより強く感じることができますよ」(松石教授)

「しゃぶしゃぶ」や「すきやき」で

「和牛をおいしく食べるのには、しゃぶしゃぶやすきやきで食べるのがおすすめです」と松石教授はアドバイスします。和牛香のもとになる成分ができやすく、香りが感じられる温度は80~90℃だそう。100℃以上にぐらぐらと加熱すると、香りのもとになる成分が別の物質に変化してしまうし、香りも飛んでしまいます。沸騰していない状態で肉を加熱して食べるしゃぶしゃぶやすきやきなら、肉の香りが最大限にひきだせるし、肉のやわらかさも十分に楽しめます。

こんな記事を読んでいると、お肉が食べたくなってきますよね? いよいよ食欲の秋も到来。たまには奮発して、和牛をよりおいしく味わいましょう。

(サイエンスライター・佐藤成美)

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