「3年ぶりのツアーへ、ようこそいらっしゃいました」

オープニングからMCまでの約45分間、生演奏のバンドを背に、歌い、激しくも美しいダンスを披露した堂本光一。4枚目のソロアルバム『Spiral』を引っ提げて行われた3年ぶりのソロコンサートは、驚くほど濃厚なステージだった。

堂本光一の単独コンサートツアー「KOICHI DOMOTO LIVE TOUR Spiral」は、7月12日の札幌を皮切りに、5会場12公演。8月21日の名古屋まで、153,000人の動員を予定している。たった一人でアリーナクラスを埋められる堂本のステージには、どんなものが詰まっているのだろうか。ひと目見たくて7月31日(金)に行われた横浜公演の初日に行ってきた。


■一人でアリーナを埋める!グッズ列に何千人ものファン

14時30分ごろ会場へ到着すると、すでにグッズを買い求める長蛇の列。一人のためにこんなに列をなしてるかと思うと胸が熱くなった。そして気温35℃はあるだろう炎天下の横浜。とにかく暑い! 最後尾のプラカードを見つけて並び始めるも、すぐに列が伸びていった。アイスコーヒーの氷もどんどん溶ける。

暑さと長蛇の列に、自然と前後の方たちと会話が生まれた。後ろのご婦人が警備員に尋ねると、ざっと見積もって4,000人は並んでいるのではと話す。驚愕の数字に気が遠のいたが、「ファン歴20年」という女性の話が興味深くて、暑いことを除けば楽しく並べた2時間半だった。

グッズとしては珍しい懐中時計が売り切れとのこと。翌日も即完売したというからすごい。ひとまず、コンサートに欠かせないペンライトと普段使いできそうなトートバッグを購入。グッズ列の次は、立ち見席の誘導列へ。すでに立ちっぱなしだが、弱音を吐いてもいられない。今回のチケットは立ち見席。ここからさらに約3時間立ったままステージを見るのだ。


■堂本光一らしい上品で豪華なステージ

会場に入ると、ぎっしりと座席で埋め尽くされたアリーナ席が見えた。メインステージの上には三重の大きな円形の照明。そこから客席の中央まで張りだすように設置されたセンターステージがあり、バックステージはなし。トロッコで一周できるほどの余裕はなさそうだ。

開演の18時30分ごろ、照明が暗転するとフードを被った堂本光一が登場した。

「Fame」からスタート。特効の炎にスモーク、照明とレーザーを巧みに使い、始まったばかりなのにまるでクライマックスのような豪華な演出が続く。レーザーもこれまでに見たことのない淡い色調で、オーロラのような光りの波を演出していた。ところどころで堂本が光を操っているようにも見えて、照明使いにもこだわりを感じる。

6月にリリースしたDVD&Blu-rayシングル「INTERACTIONAL」では、二人の女性ダンサーと共に「完璧」と呼べるほどのステージを披露した。撮り直しのきく映像作品が完璧なのはわかる。でも生の舞台で、それも映像とは違う迫力をまとっていて、心にガツンと響くものがあった。溢れる涙。悲しい曲でもないのに泣ける。これが堂本光一のステージか。

ここからさらに止まらない涙。MCまでのほとんどの楽曲を泣きながら見ていた。何気なく動かしているように見える手や足も、細かい動作が組み込まれている。全体的に滑らかで繊細。指の先やつま先まで美しい。

ゆっくりとした振り付けや、後ろに反るような姿勢、難易度の高いダンスであることは素人目にもわかった。動きも変則的で、まったく予想がつかないから釘付けになってしまう。そこへファルセットなどの歌声が重なって厚みを増すと、生身の人間とは思えない完璧さを感じた。

「とうとうジャニーズは僕一人になってしまいました」
ジャニーズJr.ら後輩が一人も立たないステージだが、「INTERACTIONAL」の二人の女性ダンサーの他に男性ダンサーも加わり、総勢10名のプロダンサーが堂本のステージに華を添えた。振り付けもトラヴィス・ペイン、YOSHIE、ケント・モリらグローバルに活躍する振り付け師が担当するなど、豪華で上質なダンスナンバーが続いた。


■“ドS”キャラ炸裂!ファンとじっくりと向き合うMC

あれだけのステージをこなして、そこまで息をきらしていないことに驚く。MCに入るとすぐに水を手にした。すると会場からは「かわいいよー!」の声があがった。カッコよくてカワイイ36歳。ずるい。

KinKi Kidsのコンサートでは「MCが長いよ」という前評判どおりだったが、ソロコンサートでもそれに近いものがあった。

実際は「長い」というよりも「ファンとじっくりふれあう時間」を設けている感覚。グッズ列に何時間も並んだこと、懐中時計がどの会場でも売り切れたことを挙げて「何してんの?」なんていいながらも、さりげなく体調を気遣う優しさをみせた。ステージでもトークでも心を掴まれっぱなし。

「気分悪いかたー!」の問いに「はーい!」と元気よく答えるファン。「帰って布団かぶって寝ろ!」こんなやりとりからは、長い時間をかけて築いてきたファンとの絆を感じた。実際の距離は遠いのに、今日はじめてソロコンサートへ来たのに、近く感じる。

「このあとにやる曲をお知らせしようと…」と告げるとファンからは「えー」とブーイング。すると堂本は「んなもん知った上でも感動させるコンサートにする」と返した。パフォーマンスに絶対的な自信がなければ言えないし、実際にその言葉どおりだから敵わない。

「もう涼んだでしょ?」これにもファンが食いついたが「そんな体型していると暑苦しいわな!」と一蹴。王子様キャラの後輩、NEWS手越祐也とSexyZone中島健人を例にあげて「子猫ちゃんとか言ってくれるよね」といいつつ、「化け猫」と呼ぶことを自虐的に語った。

何かと食いつくファンだが「女性はワガママでいいんじゃない? これが(僕の)仕事ですから。この時間だけ彼氏でいいですけど、終わったらキッパリ別れます!」と宣言。手の平でころがされてる感が病み付きになる!  40分ほどのMCはあっという間に終わってしまった。


■どこに座っても大丈夫!「感じる」ステージ

手を振ったり、投げキスをしたりというファンサービスをしないことを公言している堂本光一。

「ファンサービスよりパフォーマンスで、お客さんの心をつかめるアーティストになりたい、ならなきゃ、と自分に課した瞬間があって。『もう一度手を振ってほしい』と言われるよりも、『もう一度あのステージを見たい』と言われる人になりたい。」(『日経エンターテインメント』2月号/日経BP社)

以前、連載の中でこう綴ったように、実際に手は振らないし、うちわを持ってファンサを催促するいファンも少ない。「感じてください」というだけに、余計なことを考える隙もないくらいに釘付けにした。

冒頭でバックステージがないと書いたが、なんと上から長いブリッヂが降りてきた。センターステージから対極にあるスタンドまでステージが伸びて、上階の席にも届きそうな距離。そして天井には満点の星空が出現した。 二回目の「INTERACTIONAL」ではスクリーンに「I LOVE YOU」の大きな文字。ロマンチックな演出に続いて、さりげなく愛の告白。

さらに驚いたのが、アンコールにも見せ場を持たせているところ。マイケルジャクソンに憧れている堂本だが「僕はマイケル・ジャクソンにはなれない」という謙虚な姿勢。ケント・モリが振り付けした「SHOCK!」を自分らしく披露した。トータル23曲、疲労感なんておくびにも出さずに、最後の最後まではじまりと変わらぬ姿勢でステージを終えた。

当たり前だが、オープニングからMC、後半のステージ、アンコールまでたった一人でこなした。衣装替えの早さにも驚いたが、映像を多用して間をつなぐこともせずに、ずっとステージに立ち続けていた。 このハードな公演を明日(8月1日)も、それも1日に2回公演を控えていることを思うと再び涙が出た。きっと翌日も、一ミリも手を抜いたりせず完璧を追求したステージを見せてくれたことだろう。

堂本の連載9月号では、「“見る音楽”を作りこむミュージックビデオの世界」と題して『INTERACTIONAL/SHOW ME UR MONSTER』のミュージックビデオについて語っている。「見る音楽」は映像の中だけでなく、ステージでもまさにそれだった。見る音楽に感じるステージ。彼の背中をみて育つ後輩も多く、ジャニーズのコンサートのスタイルをいい意味で崩す、コンサートの進化系を見ている気分だった。

(柚月裕実)

(必死にメモっていたので一部解読不能な文字も多く、セリフについては正確な文字おこしではありませんのでご了承ください)