今にも動き出しそうな、愛くるしい動物たち。木を削りだして作られたにも関わらず、温もりまで感じられそうな彫刻だち。なかには持ち上げるのも大変そうなサイズもあるが、すべて「はしもとみお」さんという女性が創り出しているといったら驚くかもしれない。

1980年兵庫県生まれ。15歳のに時起こった阪神淡路大震災をきっかけに、大好きな動物たちの形を残せないかと美術(彫刻)の道に進む。東京造形大学、愛知県立芸術大学大学院にて学び、現在は三重県にアトリエを構える。「生きている」動物たちを彫刻として残すことをライフワークとして肖像彫刻を制作している。2014年の秋冬、ユニクロのヒートテックのTVCMにも出演しており見た方もいるのでは。

はしもとみおさんが作りだす彫刻動物たちは愛くるしく、まるで生きているよう。特に愛犬の月(つき)くんの彫刻は、いのちが吹き込まれているよう気がしてしまうほどだ。彫刻といえばロダンの考える人、仏像といったイメージ程度しか湧かない記者だが、Twitterで彼女の作品を見かけ、すぐに惹きこまれた。はしもとみおさんが生み出す動物の彫刻たちは芸術作品というよりも身近に寄り添う存在や、子供がずっと離さないぬいぐるみのようにも思える。

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そんなはしもとみおさんの個展が浅草橋ギャラリーキッサで開催されていると聞いて行ってみることに。
はしもとみおさんはTwitterで、「私の彫刻は、どの展示会場でも触って楽しんでいただけるよう心がけています。彫刻のその子に触れた時に、ほんとうのその子に触れたような感覚で、撫でてもらえるととても嬉しいです。」と言う。作品に触れたり、写真を撮るのも自由なのだ。個展会場にわくわくして向かった。


地下鉄浅草線の蔵前駅から程近くに、個展が開催中のギャラリーキッサがある。かわいらしい猫の黄色い看板が目印だ。ビル4Fまで階段を昇りギャラリーキッサに到着。白いドアが開け放たれた開口部からははしもとみおさんの作品が見える。 ギャラリーキッサのスタッフの瀧本佳成さんに挨拶をして入室する。ギャラリーは一段高くなっており、靴を脱いでスリッパに履き替える。

今回の個展「旅する彫刻」は「旅する彫刻プロジェクト」の一環で、制作過程やモデルになった動物と彫刻が並んで写った写真も展示されている。

入り口はいってすぐ右には、黒柴犬の月くんがお出迎え。鼻の質感や、筋肉や骨格の正確さ、目の輝きに感動!!!瞳ももちろん木製なのだが、ガラスなどは使われているような質感を感じる。尻尾を丸めて立っている月くんの横には、首をかしげてお座りをしている月くん。しゃがみこんで目線にあわせると、語りかけているよう。2頭の月くんに挟まれて写真を撮ってみた。写真で見ると、さらに本物感が増してみえる。

何と言ってもすごいのは、同じ目線でも、上から見ても、背後から見ても、犬のカタチ、骨格、筋肉が再現されていること。さらに、木製ということを一瞬忘れてしまうほどの、毛並み感。犬を飼った方なら特に驚くことだろう。


ふと目線をあげると、月くんたちの後ろには、手のりサイズの月くんが!
スタッフさんにお願いして、手に乗せてもった。
おぉーーー、かわいい!!手乗りサイズの黒シバがこの世にいただろうか!?このまま家に連れて帰りたいほどだ。


月くんたちの前方にあるテーブルには、ミニチュアサイズの彫刻がずらっと並べられている。
今回の個展では、これまで制作された肖像彫刻のミニチュアサイズなどが販売されていたが、取材に訪れたときにはほぼ完売状態。スタッフの方にきいたところ、初日の午前中でほぼ売れてしまったそうで、人気の高さが伺える。


そのミニチュアたちのなかに一際キュートな作品がリングピローだ。犬と猫の2種類ある。2頭がワンペアになっていて、飼い主にご飯を懇願するような上向きのポーズになっている。柴犬は鼻先に、猫は耳にリングをかける。こんな純粋な目で見上げられたら、指輪をつけたり、はずしたりする度に癒されるだろう。


さらに進むと壁際にもミニチュアサイズの彫刻が並んでいる。左に目を向けると、台の上に鎮座しているこれは!!!

バナナマン!?

動物になっているが、醸しだす雰囲気はバナナマンのふたりだ。サイズは前述の月くんと同じ手乗りサイズ。スタッフの方に伺うと、はしもとみおさんがバナナマンのファンということで制作したそうだ。どうりで彫刻からは愛情が感じられる。

はじめに日村ネコが制作され、後から設楽イヌが作られてペアになったとか。日村ネコの髪型!!まさに日村さんのおかっぱ(笑)青いボーダーの上着もそれっぽい。
一方、設楽イヌは背広姿。あの某番組のMC時を彷彿とさせる。

彫刻なのに、このバナナマン感!この不思議な感覚は実際に個展に足を運んでみてもらいたい。


◆超リアル!触ってなでられる肖像彫刻の動物たち

個展では他に、フレンチブルドックのディエゴくん、キジトラ猫のタラちゃん、フェネックのアピさんの肖像彫刻が展示されている。


「フェネックのアピさん」
イヌでもない、きつねでもない、フェネックスの凛とした佇まいがなんともいえない。
モデルのフェネックスとのご対面時を飼い主さんが「アピ(モデルのフェネックス)かと思う生きた存在感!」とTwitterでコメントしているほど。
見ていると「ナウシカ」のテトを思い出す大きな耳。それもそのはず、キツネリスの「テト」のモデルとなったのがフェネックなのだ。彫刻ならその大きな耳にも触り放題。


「キジトラ猫のタラちゃん」
白い台の上に座って冷静に周囲を見ている姿は、一瞬本物の猫かと思うほど。木製なのに、やわらかそうなキジトラ柄のボディ。
肖像彫刻の後ろには、モデルの猫のタラちゃんとの2ショットの写真も。はしもとみおさんも「個展会場で抱っこ、ナデナデ、記念撮影が楽しめます。」とTwitterでつぶやいているが、記者も抱っこさせてもらった。数年前、同じような柄のネコを飼っていたが、作品を抱っこしていると飼っていたネコがみせる眼差しを思い起こした。サイズ感や重さもじつにリアル。


「フレンチブルドックのディエゴくん」
このディエゴくん、月刊誌『MOE』の元AD(アート・ディレクター)を務めていたことがあり、編集部ブログにも登場していたとか。彫刻のディエゴ像もはしもとみおさんとともに紙面でも紹介されていた。
残念なことに今年の2月に天国に旅立たれたとのことで、展示は一時見送りになりかけたが、ご家族の方から「弔いをかねて展示にお貸しします」と展示にいたったとのこと。
実際のサイズよりすこし小さめのディエゴくんの彫刻。見ていると、すべてが丸っこくて愛らしい。



個展会場にははしもとみおさんの絵やスケッチブックのデッサンなども見ることができる。躍動感あふれる絵。一瞬の表情を捉えている。
彫刻はスケッチを元に作るとのことだが、Twitterでも「デッサンは、彫刻の仕事の答えをほぼ導いてくれる。 デッサンは、自分のものの見方の地図のようなもので、彫刻にはなくてはならないもの。」とコメントしている。


はしもとみおさんの作品を見たい、触れてみたいと思うのはなぜだろう。彼女の作品を見ると、その愛くるしさや、話しかけてくるような動物の眼差しや、触れたときの木のぬくもり、それらに人は癒されるのではないだろうか。ご本人もTwitterで、「つらいことがあってもデスクの隣の犬たちをみてしばらくがんばれそうです。」とつぶやいている。


人を惹きつけ、見るものを癒してくれる、はしもとみおさんの彫刻たち。ご紹介した個展「旅する彫刻」は6月20日まで開催中!このコラムをご覧になって、会ってみたい!見てみたい!触ってみたい!と思った方は、この機会をお見逃しなく。



◆◇はしもとみお 個展「旅する彫刻」◇◆
会期:2015年5月16日(土)~ 6月20日(土)
時間 : 水曜日から土曜日 12:00~19:30、日曜日 12:00~17:00

場所:ギャラリーキッサ gallery kissa
住所:東京都台東区浅草橋3-25-7-4F
休廊日:月曜・火曜

「ギャラリーキッサ」サイト
http://gallerykissa.jp/

旅する彫刻プロジェクト特設サイト
http://tabisuruchokoku.com/

はしもとみおホームページ
http://kirinsan.awk.jp


(いまトピ編集部 鹿乃ハル)


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