1993年に世界自然遺産に登録された屋久島。樹齢7,200年といわれる縄文杉や屋久杉の森などが人気で訪れる人も多いですが、そんな憧れの島、屋久島でもお茶が作られているのをご存知ですか?

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屋久島のお茶は戦後まもなく作られはじめましたが一旦衰退し、昭和40年ごろから屋久島のお茶に注目した島民や、島外からのUターン、Iターンにより新規の茶生産者が増え、現在、屋久島町では30名以上(4法人含む)の生産者がいます。

屋久島がお茶の生産に向いているとされているのは、本格的な緑茶栽培の南限地であるため日本で一番早い走り新茶ができるからです。平均摘採開始日が、一番茶が3月下旬~4月上旬と日本で一番早く茶摘みができます。これは、静岡や京都などの他の産地よりも約半月から1ヶ月も早いです。

新茶のできる時期が早い、これって結構重要なのです。というのも、いまのお茶の市場では「新茶」であればあるほど価値があり、高値で取引されます。その為、地理的に一番早く「新茶」が出荷できる屋久島はお茶作りに最適なのです。


■「洋上のアルプス」「東洋のガラパゴス」!?神秘の島「屋久島」で良質なお茶ができる訳

さらに、屋久島の地形や気象条件が良質なお茶の栽培に向いているという点もあります。年平均気温が約19.1度、降水量は「月に35日雨が降る」といわれるぐらい多く、年間約3,800~4,300mmになります。
屋久島は九州最高峰の宮之浦岳など、1,000m級の山々が40以上も連なり「洋上のアルプス」といわれています。特異な地形により島の気候は亜熱帯から亜寒帯まであり、九州から北海道の気候がひとつの島で見られるといのも驚きです。この屋久島独特の気候により島には1,500種もの植物種があり、これは日本の7割以上の植物種で、屋久島だけの固有種も約40種類と豊富です。この屋久島独特の生態系から別名「東洋のガラパゴス」とも呼ばれています。

「洋上のアルプス」から勾配のある地形に川が流れ植物が茂り霧が立ち込める。屋久島の深い霧と清らかな水、昼夜の寒暖さは良質なお茶を育成します。さらに、周りを海に囲まれているので、他からの農薬が流れてくることもない為、有機無農薬のお茶作りが可能なのです。

世界自然遺産にもなった緑豊かな大自然の中の茶園で、豊富な雨と南国の太陽の日差しの恩恵を受けて育ったお茶。屋久島のお茶は心も体も元気になれるお茶です。飲んだお茶が体内に染みわたり、屋久島の森の気(エネルギー)を飲んでいるようで、飲むとHPが回復するポーションのようです。


■屋久島茶の生産家「八万寿茶園」

そんな屋久島茶を作っている生産家の1つに「八万寿茶園」があります。

「八万寿茶園」という名前は、縁起が良いからつけたのかなと思いきや、創設者3人、柴 八代志(しば やよし)、渡辺万吉(わたなべ まんきち)、久留島寿志(くるしま ひさし)の名前から頭文字を一つずつとったものが由来だとか。

屋久島高校で同級生だった3人は一度島を離れますが、5年後それぞれ帰郷し再会します。屋久島がお茶づくりに最適な土地であることを耳にした3人は協力して、土地探し、資金づくり、技術の習得をし、1985年5月に有限会社屋久島八万寿茶園を設立します。
島の東側、愛子岳の麓に約12ヘクタール(3万6千坪)の農地を入手し開墾、約2ヘクタール(6千坪)の畑にはじめてお茶の苗を植えたのがはじまりでした。

屋久島は雨にも土にも農薬が含まれていなく、茶畑は杉林を開墾した為、周囲には田畑がなく農薬が飛んでくる心配もありません。全ての茶園が有機JAS認定で、化学肥料を一切使わず山野草堆肥、油かす、魚粉など、自然肥料だけで栽培しています。品種は「やぶきた」「ゆたかみどり」「あさつゆ」「めいりょく」など。

屋久島の3人の同級生が協力してはじめた茶園は、開墾当初は2ヘクタールだった茶畑も年々拡大し、時を経て6ヘクタール以上に。1991年には自前の製茶工場を建て、1998年に茶工場の隣に店舗を開店しました。


■ソフトクリームが人気の店舗「お茶工房 八万寿園」

屋久島空港から車で3分のアクセスのしやすい場所に八万寿茶園の店舗があります。

なんといっても人気なのが、抹茶ソフトクリーム!

自園のお茶や、屋久島の埴生(はにい)窯さんの茶器を販売している傍らで、ソフトクリームを販売。抹茶とバニラの2種類あり、200円という嬉しいお手ごろ価格。屋久島の森のような深い緑のソフトクリームは観光客や地元の方にも大人気。サービスで提供される冷たい自園の屋久島茶も好評。滞在中に毎日訪れてしまう人や、大型バスが立ち寄るという話も。屋久島の人気スポットです。

ぜひ屋久島に訪れた際にはお店に立ち寄ってみてはいかがですか。縄文杉トレッキング後に甘い抹茶ソフトクリームを食べて疲れを吹き飛ばそう。


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◇「八万寿茶園」のスタッフ、渡邉桂太さんにお話を伺いました。

――4月は新茶の季節ですが、今年の新茶はどうですか?
八万寿茶園(以下八):
新茶の摘み取りが3月30日から始まりましたが、今季は冬場の寒さと雨で、昨年より5日遅い摘み取りでした。一番茶の生産は4月下旬まで続き、約7トンを東京や静岡、鹿児島などに出荷します。

――屋久島に遊びに行かれる人に、おすすめのスポットがあれば教えてください。
八:
屋久島の西部、いなか浜がオススメです。波の音を聴きながら、水平線を臨む。時間が経つのを忘れます。豪快に沈む夕陽も必見です。

――最後に、屋久島茶に興味を持った方へひとこと。
八:
ぜひ屋久島に来ていただいて、名水100選にも選ばれた超軟水である屋久島の水でお茶を飲んでいたたきたいです。できれば世界遺産の森の中で!

――ありがとうございました。
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一度は訪れてみたい神秘の島・屋久島ですが、日本一早い屋久島茶もじつに魅力的。生産量も多くはない為、東京など都心でもなかなか目にすることもなく、お茶の専門店などでしか販売されていない貴重なお茶です。

屋久島茶をまだ味わったことのない方はぜひ一度おためしください。


◆Shop Data:
屋久島八万寿茶園
・住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田532-24
・アクセス:空港から車で3分、バス停「高見橋」から徒歩3分
・営業時間:8:30~17:00
・定休日:不定休(ほぼ無休)
・TEL:0997-43-5330
・ホームページ:http://www4.synapse.ne.jp/hachimanjyu/


(satomin@日本茶インストラクター)