「正直いまだから言えますけど、けっこうヤバイなって。どうやったら乗りきれるんだろうって思ってたんで」――華やかに見えるアイドルのステージにピンチが訪れたら……。ジャニーズらしい乗り越え方とはどんなものだろうか。

『Myojo』(集英社/5月号)の「10000字インタビュー」にタッキー&翼の滝沢秀明が登場した。ぎっしりと文字で埋め尽くされた誌面には、滝沢の幼少期のことから母との思い出、先輩であるKinki Kidsのこと、そして相方である今井翼についてたっぷりと語っている。どのエピソードも興味深い内容だったので購入をおすすめしたいが、中でも印象的だったのが今井翼とのエピソードだ。

ジャニーズのオーディションから一緒の二人だが、意外にも2010年までは二人きりで食事をしたことがなかったという。しかし事務所先輩の近藤真彦がセッティングによって、思わぬ形で二人きりの時間を持つことになった。喧嘩が絶えないとか仲が悪いわけでもなく、幼い頃から共に戦ってきた戦友としての照れくささが邪魔をしていたそうだ。

「僕の一番の理解者は翼だし、逆に僕も翼のいちばんの理解者だと思ってるし、そうでありたいと願ってる」不仲説が囁かれた時代もあったけれど、公の場で語る姿からはタッキー&翼の健在ぶりが伺えた。

昨年、体調不良により緊急入院した今井翼。タッキー&翼のコンサート『Two Tops Treasure Tackey&Tsubasa Tour 2014 』直前の出来事だった。治療に専念するため今井の休演が決定したが、コンサートはスケジュールどおり行われ、滝沢は「タッキー&翼」の代表として一人でステージに立った。

インタビューで滝沢は「正直いまだから言えますけど、けっこうヤバイなって。どうやったら乗りきれるだろうって思ってたんで」と、当時の心境を明かした。客席にいた身からすればそんな不安を微塵も感じさせないステージだった。

誰もが興味深く見守っていたオープニング。今井からの温かいメッセージがモニターに映しだされた。ステージがはじまれば、二人分の照明、二人分のスタンドマイク、無人なのにぐんぐん上がるリフター、今井を想定して当て続けるスポットライト……今井が不在であることを目の当たりにしたが、しかし「翼の居場所はここ」「待ってるよ!」という愛情あふれるメッセージであることも見て取れた。

滝沢は会場をざっくりと二つに分けて、客席から「タッキー!」そして「翼!」のコールを交互にあおっていった。一言もしゃべらずにジェスチャーだけで。しだいに客席の声も大きくなり、ひとしきり叫んだら会場中が笑いに包まれていた。

オープニングからたった一人で会場を盛り上げる滝沢の手腕は見事なもので、『滝沢歌舞伎』など数々の舞台を経験してきた座長ならではの貫禄をみせつけた。そして一人奮闘する先輩を、SnowManのメンバー(深澤辰哉、佐久間大介、渡辺翔太、宮舘涼太、岩本照、阿部亮平)が徹底的にサポート。ファンも完璧なまでに全ての曲の振り付けを歌いながら踊った。アンコールで滝沢は、大きく「翼」と書かれたTシャツを着て登場していたが、最終日は無地のTシャツに変わると、今井翼本人が登場するという粋な演出も。

MCで口をついて出たという「僕がタキツバを守る」という言葉どおり、滝沢やSnowMan奮闘で心配を吹き飛ばすほどの感動をもたらしてくれた。出たくても出られない本人の心境を思えば、元気な人が元気にこの時間を満喫することがあの場にはふさわしくて。予期せぬことではあったが、普段とは違った角度からエンターテインメントに触れられたいい機会となった。

(柚月裕実)