いよいよ桜の季節到来!鹿児島での開花宣言を皮切りに、桜前線が南から日本列島を北上していくのを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。そんな桜好きの方におすすめのお茶、桜の香りがする日本茶があるのをご存知ですか?

人工香料や、お茶の葉に桜の葉が混ぜられたものではありません。お茶の葉から香る天然の香りです。これは品種特有の香りで、煎茶にしたときに桜の香りがする茶樹(チャノキ)があるのです。

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お茶の原料はツバキ科ツバキ属の常緑樹(学名:Camellia sinensis)ですが、多くの品種がありそれぞれの特性をもっています。煎茶では優良品種の「やぶきた」が主流で、日本で栽培される約7~8割は「やぶきた」です。最近ではその偏重の見直しがあり、「やぶきた」以外の品種の栽培も増えてきています。

そういった品種の中で、「静7132」から作った煎茶は「桜の香り」がするのです。不思議ですね。
「静7132」は昭和40年代に静岡茶業試験場で「やぶきた」の実生から選抜された品種です。実は「静7132」は系統番号で正式な品種名ではありません。特に注目されなかった為、名前がつけられなかったとか。最近はその香りから注目が集まりお茶として製造されはじめましたが、まだまだ稀少なお茶です。

「静7132」のお茶は「まちこ」「小瀬戸桜」「さくらかほり」という商品名でも販売されていて、「まちこ」は静岡県清水の名物茶でもあります。

淹れたときの水色は、深蒸し煎茶とは違った透んだ山吹色です。口に含むとほんのりと桜の香りが広がる上品な味わいです。香料無使用のため強く薫ってくることはありませんが、やや高めの湯温(といっても、80度程度)でさっといれるとほんのりお茶の葉から桜の葉の香りが漂ってきます。


ところで、「桜の香り」といって思い浮かべるのが、桜餅の香りや、桜の葉の香りではないでしょうか。ふわりと心が和む独特の上品な香りですが、あの香りの主体は「クマリン」という芳香成分です。「やぶきた」には含まれていません。

また、道端や公園にある桜の花や葉からは「クマリン」の香りはしません。
桜の葉を「塩漬け」にすると糖が分離して「クマリン」が生成され甘い香りを放ちます。その為、桜餅の桜の葉の塩漬けや、桜あんぱんなどにのっている塩漬けの桜の花の香りが「桜の香り」としてインプットされてしまっているんですね。

桜のその香りを嗅ぐと和みますが、「クマリン」はリラックス効果はもちろん、去痰・咳止め、二日酔い防止といった作用もあるそうで、うまくとりいれたいですね。お花見のときに桜のお茶を飲みながらお酒を飲むと二日酔いの予防によいかもしれません。


ちなみに、静岡清水のお茶「まちこ」のイメージキャラクターは「クマリン」という名前のピンクの熊です。


「静7132」のお茶や「まちこ」などをまだ飲んだことがないという方は、この春は「花より団子」ならぬ「花よりお茶」で、桜を愛でながら桜の香りのするお茶を飲んでみてはいかがですか?



(satomin@日本茶インストラクター)